整数の割り算と分数の割り算

子どものときに習ったことがよくわからなくて、おとなになってから「丁寧な説明」を聴いて納得することがある。
「なんだあの時にこうやって教えてくれれば」と、教師を逆恨みすることもあるけれど、じつは「わかる」理由が国語力の成熟だったりするから、話は簡単ではない。

子どもにものを教えるのが大変なのは、子どもの国語力が乏しいので、おとなの言葉遣いだけでは理解できないことに主たる原因がある。
だからといって、「でちゅよー」とかの幼児的な語尾を多用しても、ほとんど意味がない。

それで、教科によっては様々な工夫が凝らせられている。
どうやったらわかりやすいのか?
これを、手先の訓練でひたすら計算力を高めたのは、「ソロバン」のおかげだった。

恐るべき「アナログ計算機」であったソロバンを、だれもが使いこなせた時代のわが国は、まちがいなく「ソロバン大国」だった。
だから、高度成長できた背景に、ソロバンがあったやもしれない。

それでも、やっぱり、国語力という「壁」が抜けないのだ。
覚えることの種類も増えて、知の蓄積が多くなるほどに「理屈」が先行するから、その理屈を理解するための国語力がないと、残念なことになってしまう。

しかし、その「国語」を、軽視しているのも現代の特徴である。
よって、上昇ではなく下降のスパイラルにはまってしまった。
これを、経済力のせい、という表面しか見ない物言いをするのも、きっと、国語力の劣化のせいだろう。

日本人なら日本語、アメリカ人なら英語という「国語」がある。

アメリカの大学にあって日本の大学にないもののひとつが、「国語の授業」なのである。
しかも、アメリカの大学では、どんな教科を受講しても、提出する「レポート」で、もっとも厳しくチェックされるのは、「国語の正しい用法」なのだ。これは、たとえ「理系」でも免れない。

いま、多くの日本人大学生が「できない」ことの典型に、「分数」がある。
工学部の学生だって、分数の割り算が苦手なのであるから、文化系の学生にいたっては、そら恐ろしいことになっている。
もちろん、大学教員は高校教員を、高校教員は中学教員を、そして、中学教員は小学校教員を「逆恨み」している。

どうしてくれるのか?と。

責任のなすりあいになって、もう何十年がたっている。
だから、最初の「被害者」は、いまや中年以上のおじさん、おばさんになってしまった。
そんなわけで、このひとたちの子どもや孫たちが、「トンビから産まれた鷹」になかなかならないのである。

「四則演算」と四字の漢字で表現するのは、いちいち「足し算、引き算、掛け算、割り算のこと」というのが面倒だというおとなの事情があってのことだ。
いまは、おとなに「四則演算」とは何算のことか?と聞けば、スマホで検索する時代なのである。

それにしても、これらの計算の学びも、足し算にはじまって割り算で完成する。
だから、割り算がもっとも高度な計算なのである。
足し算ができないと引き算ができず、足し算ができてこその掛け算で、これら三つの計算法を駆使しないと割り算ができないのである。

ところで、割り算には「二種類」あるのをご存じだろうか?
(1) 単位がおなじものを分ける → おなじ単位の答えにならない
(2) 単位が違うものを分ける → ✕あたり◯◯という答えになる

(1)の例:りんご30個を6個入る箱にいれる
 :30個÷6個=5箱(等分する計算で単位は個から箱になる)
(2)の例:りんご30個を6人でわける
 :30個÷6人=1人あたり5個(1単位あたり)

この「概念のちがい」、お分かりになりますか?
これまでの人生で、なにげに割り算をやってきたとおもいますので、妙な感動があったりします。

ちなみに、「割り勘」とは、飲食代金(単位は円)を、人数で割りますから、1人あたりの金額を計算する、という(2)のタイプのことですね。
余りの端数しか、上司は余分に出してくれないものですけど。

ここから、分数。
1÷2は、1を2分するということなので、1の半分である0.5が答え。
2÷3は、2を3つに分けるということなのだが、割り切れない。それで、2/3と分数のまま表すこともある。
だったら、1÷2も、1/2のままでよい。

ところで、2/3とは、1/3がふたつということでもある。
ということは、◯÷3とは、◯×1/3ともいえる。
2÷3は、2×1/3とおなじだからだ。
すると、割る数が整数nなら、◯÷nとは、◯×1/nというルールがあることがわかる。

そこで、まず(1)の例の等分からかんがえよう。
さっきはりんごを分けるための割り算だった。
今度は、液体として、19/3Lを3/4の容器に入れたいとする。
だから、19/3L÷3/4Lの計算となる。

ややこしいのは、分母が3と4でちがうことだ。
そこで、通分する。
19/3と3/4なら、分母どおしを掛けて12を共通の分母にしてやることで、分子の19には相手の分母4を、一方の分子3には相手の分母3を掛けてやる。

すると、19×4→76/12と3×3→9/12を割ることになる。
1/12が76あるものを、1/12が9あるもので割るということになる。
つまり、76÷9だから、76/9となる。

小学生は、分数の割り算は、割る数の方の分数の分母と分子をひっくり返してから、分数の掛け算をやれと習う。
19/3÷3/4 なら、19/3×4/3 のことだ。
つまり、76/9になる。

(2)の場合はどうなるか?
「鈴木貫太郎先生」の動画をチェックしてみよう。
やっぱりおなじなのである。

納得。

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