むかし、『コント55号のなんでそうなるの?』という30分の人気テレビ番組があった。
1973年から76年までの三期に分けて、日本テレビ系で放送されていた。
高度成長の歴史をとめた?、第一次オイルショックによる大不況は、1974年1月の「月次報告」から「観測」がはじまるので、会社が倒産して泣きたいひとたちがこの番組で笑っていたのである。
日本経済にいいところがないのは、15日に財務省が発表した、「5月の貿易統計速報」でも、22ヶ月連続の、「貿易赤字」であることでもわかる。
ただ、この1兆3725億円の赤字が、前年同月比では、42%縮小したことが明るいニュースになっている。
いま、後期高齢者以上の皆様には、そもそもわが国が恒常的な貿易赤字国になっていることさえも、信じがたいことだろう。
現役の頃に、「巨大な貿易黒字をどうするか?」に苦慮した記憶が刷り込まれているからである。
今回の赤字幅縮小の主たる原因は、原油と天然ガスの輸入量が減ったことで、また、ウクライナ戦争で高騰した原油価格が落ち着いてきたことも挙げている。
ドル建ててで、前年同月を19.9%下回ったけど、為替レートは4.8%の円安なのに、円建て価格も16.1%下がったのは、バレルあたりで34.7%も下がっているからである。
すると、どうして輸入量が減ったのか?が気になるところである。
生産部門の生産量や、稼働率が減ったのではないか?と心配になるからだ。
しかし、「なんでそうなるの?」というのは、電気代の高騰なのである。
輸入量と価格をかけあわせた輸入額の減少が、高騰する電気代と見合わないからである。
電力業界を仕切っているのは、ご存じの通りの、あの「経産省様」である。
いまの経産大臣は、国民に強制的な権力を行使するのが趣味とおもわれる、西村康稔氏で、通商産業省環境立地局調査官で退官しているが、官僚として最初の配属は、資源エネルギー庁石油部計画課であった。
おそらく現在の、資源・燃料部、政策課であろう。
キャリア官僚にみられる、外国留学で国際政治経済学での修士があるのは、その後のキャリアと関係しないのも、また現代的お役人様の特徴である。
税金で学位をとっても、国家に貢献しないのである。
だから、たっぷり税金を投じる、東京大学法学部の卒業生には、民間に「任官」することを義務化すべきなのである。
まぁ、だれが大臣をやろうが大差ないのが官僚制の官僚制たるゆえんなので、チョンぼってる河野太郎も大臣をクビにはならない。
悪いのは官僚なのだ、ということが、自民党政権を支えている一方で、局長にもならなかった人物が大臣を任命されても平気でいられるのは、同期や後輩官僚とねんごろだからである。
ではいったい、わが国の電気代はどうなっているのか?
速報とはいえ、貿易統計の示すところとぜんぜんちがう価格体系があって、さらにまた夏に値上げが予定されているし、なんと、西村大臣は、東京電力管内における、「夏の節電」を公式に要請するにいたっている。
電力会社の社長ではなくて、経産大臣がいうことの意味は、趣味を超えていないか?
つまり、越権である。
これにまた、「なんでそうなるの?」といわない、東京電力の株主が不思議なのである。
ものをいう株主ならば、早々に、経産大臣を裁判に訴えるだろうに。
しかしながら、訴えても得にならないからだとかんがえればその通りで、わが国の電気代は、「総括原価方式」で算出するのを通産省から経産省がしっかり引き継いでいるからである。
その大本が、国家総動員法による「日本発送電」体制を、「GHQポツダム政令」による、「電気事業連合会」としての強制改変だった。
これをやったのが、電力の鬼、松永安左エ門だった。
松永をしれば、東北電力会長におさまった白洲次郎の小物ぶりと、彼にまつわるプロパガンダがよくわかる。
この「総括原価方式」とは、電力会社の経費を「総括」して、つまり、「ぜんぶ」を、原価にして、それに一定報酬を足して料金を決める、という方式をいう。
なので、電力会社はぜったいに損をしないばかりか、経費増はどうでもいいのである。
それだから、わが国の電力会社はこぞって(=電気事業連合会)、産油国から世界最高価格で原油を買い付けているのである。
すると、これを許す政府と政界に、なにが起きるのか?は、恐るべき巨大利権になるのは当然なのである。
そこで、歴代の通産大臣、経産大臣の自民党派閥を、チャットGPTにきいた。
石破派、二階派、麻生派、竹下派、小泉派、安倍派と出てきて、ようはみんなでたらい回ししているのがわかるのである。
そんなわけで、こんな状況なのに、「なんでそうなるの?」と株価の高騰をかんがえたら、円安の中で日本株を購入しているのは、外国人投資家28%、機関投資家28%なのである。
つまり、日本企業が買いたたかれて事実上買収されている。
日銀が新総裁になっても大きく舵を切れないのは、日本株(日本企業)の防衛を日銀がやっているからか?とおもわれるのである。
この意味で、日本企業はこの事実上の買収からどのように自己防衛するのか?が問われている。
いま小学生やらの孫・子の世代が、就職先に日本企業がない、ということになりかねないのである。
株価高騰でよろこんでいるばあいではないのだ。