月次資料はゴミか?

統計用語に「ゴミ」という表現がある.
ろくでもない雑でいい加減なやり方で収集したデータ「らしきもの」を,どんなに精緻な計算で加工しても,でてくる答はつかいものにならない.
材料がさいしょから腐っていたら,最新の調理器具を用いたところで,それは食べることができないのとおなじだから,「ゴミ」からは「ゴミ」しかできない,という意味である.

文春新書に,谷岡一郎「『社会調査』のウソ(リサーチ・リテラシーのすすめ)」(2000年)という本がある.

マスコミ報道など,ふだんの生活でよくみかける「統計」数字や,グラフ表示に,結果ありきのインチキが多々あることを,具体的におしえてくれる.

これをもって統計なんか「役に立たない」と決めつけてはいけない.
ちゃんとしたデータの収集方法をまもって,検討された適確な方法で計算されたものは,役に立つものだ.
もちろん,計算が正しくなければならないが,統計計算機能つき関数電卓やパソコンの表計算ソフトが計算をするのがふつうだから,データ入力さえまちがえなければ,計算は機械がやってくれる.

「発見的教授法」について,以前書いた.
はじめに目標を設定して,それからどうやって目標を達成するかの思考方式を「演繹法」という.
これをベースにしているのが,発見的教授法のポイントである.

ところが,わが国では,あいかわらず一段一段積み重ねる方式の「帰納法」が主流で,これを変えようとしない.
統計がどんなに世の中で役立つかを先に教えず,無機質な計算方法をとにかく教えるから,生徒は苦行的勉強を強いられて,結果がでなければだれだって面白くない.そうして,「理解したい」けどぜんぜんわからない子どもに,脱落するように仕向けているかのようである.
じつにサディスティックなのである.

だから,ほんとうに頭のいい子と,深くかんがえない要領のいい子がフルイに残るようになっている.その深くかんがえない要領のいい子が,大挙して高級役人や経営者になっているから,国力が落ちたのではないか?
「理解したい」という欲求をもたせて,おもむろにやり方を教える方法では,脱落者が減ると予想できるから,結果的に全体の底上げができる.それが,国力になるのは当然ではないか.

生徒の成績があがらないのは,教える側の教え方が下手なのだ,という発想法が予備校にしかない.
だから,学校が部活の場になって,塾が勉強の場になった.
それで,教え方が下手な教師が部活でパワハラするなら,生徒は学校にいく理由がない.
わからない子どもがゴミなのではなくて,教え方が下手な公務員教師がゴミなのだ.

ところで,「数学」という教科の不思議は,三角関数を重視しているようにみえることだ.
経営者が欲しい知識に三角関数はふくまれない.
むしろ,微分と積分のほうがよほど重みがあろうが,いまどきの「文系」の高校生には選択の自由がない.なぜか「理系」の生徒しか習わなくっているから,三角関数と順番が逆ではないか?
これも,世の中でどんなに役立つかを教えずに,計算方法だけに突っ走るからだとかんがえられる.そういえば,公務員教師はビジネス経験をもちようがない.

なんどもこのブログでは損益計算書を批判の対象にしてきているが,損益計算書にはもちろん罪はない.それをありがたがるひとが問題なのだ.
業績がダメな企業ほど,損益計算書をありがたがっている.
それで,こういう硬直した企業ほど「経理部」がしっかりしているから,確定数字しか目にできない.

これは規模の大小に関係ない.
大企業なら自前の経理部,小規模企業なら,顧問税理士からの資料に依存しているのがふつうだろう.
それで,どちらも「3週間」かかる.「3週間」である.先月の数字が確定するのに「21日」を要するのだ.

すると,こうした企業では定例の月次幹部会が開催されるが,社長も含め幹部が先月の数字を,今月の残り10日しかないなかで「議論」している.
いったいなにを「議論」しているのか?3週間前におわった,先月の反省なのである.
たしかに反省は結構だが,どんなに反省しても先月の売上や現金がふえることはない.

各人の時給を足し算すると,おどろくべきコストがこうした反省会にかかっているのに,こうした企業ほど鉛筆一本,紙一枚を惜しむのだ.
そして、残りの10日間で今月をどうするのかを「検討」する.
当日から10日で効果のある対策がとれるなら,先月の反省は,もっと早く対策をとるべきだった,の繰返しにならなければならないが,そうはならないのが業績不振企業の不思議である.

深くかんがえない要領のいい子が,集団でおとなになった成りの果てである.

3週間後の「月次資料」は,ゴミである.

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