残業代がほしい

労働時間を減らすには残業を減らすしかないとしか発想しないから,「働きかた改革」といっている政府の「命令」は,残業に焦点があたった.
これに,うそみたいな残業をしているはずのマスコミがなぜか支持して,さも「残業」が諸悪の根源のようになってしまった.

それで,時間できっちり帰る,が「トレンディ」となったが,実態はいかがか?
働く側からすれば,2割5分増し以上になる残業代は効率よく稼げる手段である.
月間60時間をこえた残業代は,5割増し以上に平成22年度からなったが,中小企業は除外されていた.
これが,今回の労働基準法改正で,平成31年から中小企業にも適用されるので,各社とも「就業規則」の書き換えが必須になっている.

さらに,人手不足もあって,各地の最低賃金も上昇しているから,「人件費負担」はおもくなるばかりである.
少子化で若者の数が今後さらに激減して,年間80万人程度しか新社会人にならない.
若い社員の争奪戦は,当然に初任給の賃金水準を高めるだろう.
すると,業績がかわらないなら,どこかの世代や誰かの賃金を下げないと,やっていけない,とかんがえる経営者は,その方法を熱心に研究しているはずだ.

いまの賃金体系が「既得権」だとする働く側と,真っ向対立の構造がうまれる必然がある.
残念ながら,この構造のままだと平行線で一致点はなかなか見つからないだろう.
ならばどうするか?
前提条件を変えるしかない.

それは,「業績がかわらないなら」を「業績を変える」にすること,しかも上方への修正である.
となると,現状の働き方の見直しがなくて,「業績を上げる」方法はない.
この国は「低賃金で長時間労働」をもってスタートしたと前に書いた.
経営者の「無能」を書いたものだが,これを「有能」にすればよい.

つまり,有能な経営者になりたいなら,無能がする経費削減ではなく,いかによりおおく稼ぐのか?をかんがえるひとになることだ.
なぜなら,従業員は全員「稼ぎに」会社にきているからで,会社の経営者が稼ぐことをかんがえなければ,どうやってもバランスがとれなくなる.

だから,いま,この国の「無能」が経営する会社に覇気がないのは,従業員がほしい稼ぎを会社が払っていないからだ.
ふつうに働いても欲しい稼ぎに達しないなら,ふつうに働くのをやめてなんとか残業に持ち込む.
こうして2割5分増しにすれば,効率よく稼げるとかんがえるのはあたりまえでもある.

「まったく,うちの従業員はグズばかりで,いくら言ってもちゃんと働かない」というのは,無能が自分で従業員をそう仕向けていることに気づきもしないから,無能を証明する発言なのだ.
「いい会社」の従業員は,たとえパート・アルバイトといえども,「きっちり」背筋をのばして働いている.
これをみた「無能」は,「この会社は優秀な従業員ばかり,それに比べてわが社のなんと情けないことか」と口をそろえていうから笑ってしまう.
天に唾するとはこのことだ.

経営者のインタビュー番組というのはむかしからあるが,こういった番組に登場する経営者で,上述の「無能」はひとりもいない.
おおくの「無能」は,この手の番組すら観ないのかはしらないが,観たとしてもなにが「有能」なのか判断できないのだろう.いっこうに改善しないのがその証拠である.

さいきんでは,御殿場にある「時之栖」の創業者が出演していた.苦労人である.
このひとがさらりと言って,聞き手がおもわず聞き返した.
「うちでは定年後再雇用になっても年収は変わりません」
「えっ?」
「だって,同じ仕事を同じようにやっているから変えたらおかしいでしょ」

これが「ふつう」なのだ.
しかし,「無能」が多数のわが国では,「年齢」という基準だけで賃金を半額にして「当たり前」顔をすることが常識になっている.ほんとうはお払い箱だけど,国の命令だから「再雇用してやっている」という姿勢である.
ならば,現役のうちにしっかり残業代も稼いでおこうとするのは,自己防衛である.

「無能」はひとを使い捨てる.
これを若い従業員が,いつかは自分もこうなるという不安でみるから,優秀なものから退社する.
気がつけば競争力まで失うことがある.
「無能」はそれを従業員のせいにする.

「いい会社」は,お金をくれる唯一の存在である「お客様」を強く意識している.
どうしたらよろこんでお金をくれるのか?
そのために,従業員にはどうしてもらいたいのか?それを従業員にもかんがえさせて行動させる.
だからそういう会社の人材は,財産になる.
財産はだれだって手放したくないから,大切にする.

直線的にいえば,人件費をいかにたくさん払える会社にするか?が問われている.
つまり,「稼げる会社」である.

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