社会調査のウソを信じると

新聞や雑誌によくある「社会調査」は、ほとんどが「統計調査」とはいえない「エセ」情報だった。
いまでは、ネットで拡散するから、ずっと始末が悪い。

ちゃんとした調査には、ちゃんとした厳密ともいえるルールがある。
このルールにしたがって行った調査で、結果の分析にもルールを適用していることを明記しないといけない。
調査日や調査対象、サンプル数、有効回答数、それに無作為抽出などの「条件」の明記が必要なのだ。

こうした調査条件を表記しないで、いきなり数字やグラフを示すものは、ぜんぶ「エセ」だとみてよい。
すると、内容をみてはいけない、という判断が瞬時にできる。
「脳に有害」だからである。

残念ながら、人間の脳にある記憶は、覚えたいものと覚えたくないものを区別しない。
有害な情報も、記憶してしまうのだ。
しかも、人間の記憶は時間の経過とともにあいまいになる。

それで、当初は「有害だけど」とおもって記憶したものから、「有害」がはずれてしまうと、無害の記憶との混乱がおきて、わからなくなるのである。
だから、有害と結論づけた情報は、記憶の対象から外すべくみてはいけないのである。

昨今は、放送を観ながら手元のリモコンで質問にこたえられる、「双方向」な方法で、質問と回答を瞬時に出すこともできるようになった。
この方法の「いかさま」な点は、その放送を視聴しているひとだけという限定がはじめからあるのに、あたかも「全国民の回答」のように「演出する」ことにある。

それは、そうした「回答数」や「比率」をもって、番組内の話題を展開することにある。
これを何分も続けると、この放送の視聴者限定という条件が、視聴者の感覚から消し去ることができるのだ。

こうやって、テレビ脳という視聴者の脳(記憶)を操作することができる。
わが国の「放送法」は、とっくに「ザル法」になっているけど、悪質な情報操作であるから、「双方向」のやり方については、法律で規制をすべきだ。
国民の「脳」の「安全」を守るための規制はひつようだ。

一方で、学習指導要領という教育内容の介入についていえば、すぐさま廃止が望ましいけれど、できそうにないのでせめて、「情報操作される」ことの危険性と、その典型的方法については、「統計」の授業で教えるべきである。
むしろ、統計の授業における「主題」はここにある。

ゆとり教育で批判の象徴になった、「円周率=3」は、世間にショックが走った。
それは、「3.14に決まっている」ことへの反発でもあった。
しかし、武田邦彦氏はこうした批判に批判的だ。

そもそも、円周率とは、円の直径に対しての円周の長さの比をいう。
式にすれば、円周率=円周の長さ ÷ 円の直径の長さ である。
これが人生で、「役に立つ」のはどういうことか?
半円状の道路があったとき、直径を歩くのと半円を行くのとで1.5倍の距離が違うことをしっていればいい、と。

これには、教育の目的、という根本思想がないといけない。

上記の例は、経営にも重要な示唆をあたえる。
組織の目的や目標の達成がトップやマネジャーの仕事なので、これらのひとは、目的や目標の達成のための「筋道」をつけないといけない。
そのときに、さまざまな「経路=やり方」が描けるのである。

そして、それぞれの経路ごとに、リスク評価をしないといけない。
もちろん、リスクの低い経路=やり方を選択することになる。
それが、直径のような最短の直線なのか?それとも円周にあたるのか?というイメージができるかどうか?

これが、「経営センス」というものである。

そんなわけで、社会調査を発表した機関や会社が、どんなに有名であろうが、また、無名であろうが、その調査についての信頼性は、あくまでも中身であって、会社名の有名・無名のちがいではない。

有名な調査会社が発表した調査だから、そのまま「正しい」にはならない。
むしろ、あんがいと「話題性」を重視して「売っている」ことがあるので、有名な調査会社の調査ほど、ある意味、意地悪な目線でながめるひつようがある。

しかし、「うそ」とまでいわずとも、「あやしい」調査はたくさんあるから、これに飛びついて火傷を負うことがある。
すると、飛びついた側が「安易だ」という批判を浴びるので、やっぱり簡単に飛びついてはいけない。

わが国を代表する、といわれている大手高級旅館チェーンが販売した、「息子に胸キュン宿泊プラン」が、ここ数日、大炎上した。
「気持ち悪い」という意見が、突如爆発的に発信されたのだ。
それで、この会社は、HPにあった企画商品の案内を削除した。

どういう決済経路で正式な商品化とされたのか?

これが、経営センスのあるひとの見方になる。
元ネタになった調査は、大手広告代理店の発表を参考にしたものだ、とも商品解説の表示があった。

典型的な社会調査のウソで火傷した事例になった。

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