組織崩壊はめずらしくない

人間は理性的であると同時に感情的な動物であるから,その行動には,これらをみなもとにする「動機」がある.
マスコミがある意味どーでもいいことばかり意図的に連日報道しているうちに,興味深い事態が発生していた.ちなみにわたしは,この意図的に連日報道することを,「二分間憎悪」と呼んでいる.

さいきんの「組織崩壊」のひとつが,JR東日本労組の崩壊,である.
今年の2月1日には組織率80%だったものが,5月1日には25%になった.たった3ヶ月での55ポイントもの減少は,「崩壊」といっていいだろう.
こうした事態をまねいた執行部を,まるごと解任して新体制でのぞむことが決まったというが,誰のための労働組合か?からつくりなおすのは,容易ではなかろう.

ことのきっかけは,「春闘」における「賃上げ要求」闘争に,国鉄分割民営化以来封印していた「スト権」をもちだしたので,会社は「JR発足時」に締結した,「労使共同宣言」の破棄を通告したことだ.
むしろ,不思議なのは,スト権行使を嫌うおおくの組合員の声が,事前の決定要件になっていないことだ.つまり,「民主的ではない」という事実だ.

国鉄時代といえば,「国労」と「動労」という労働組合が,政治闘争に明け暮れていて,あまりの傍若無人ぶりに,国民の目線は冷たかったことをおもいだす.
これらには,「セクト」と呼ばれる政治的な活動集団が入り込んでいて,それが「労働組合」の本来あるべき姿から乖離してしまったことが当時も報じられた.
今回の大量脱退に,このあたりが臭うが,詳しい報道がないのは先に書いたとおりである.

一般に,日本の企業労働組合は,「ユニオンショップ」であることがおおいのだが,この事例では,労働組合を労働者の意志で脱退しても「解雇」にならないから,JR労組はユニオンショップ制ではないことがわかった.

会社側の労務政策も,「労使共同宣言」を廃棄したところまでしかわからないから,これからどうするのか?不明である.
そもそも,労働者がひとりだけでは,会社という組織に立ち向かえないから,不利益をこうむることになってはいけない.それで,労働組合法によって,組織とすることが認められている.

だから,このまま脱退した労働者を放置することも望ましくないだろう.
すると,またまた複数の労組ができるのか?
破たんしたJALには,労組が8つもあって,経営再建の妨げになっていた.
毎日乗る電車の会社が,これからどうなるのか?興味深いことである.

つぎの「組織崩壊」は,またまた,あの「雪印」である.
雪印メグミルクの子会社,「雪印種苗」が,牧草などの種子の品種を偽装販売していた.
これは,一気に組織崩壊したあとも,壊れつくしてしまったのではなく,ところどころでいまだ「崩落」が続いている事例だ.

このグループの不祥事の特徴は,あの「雪印(牛乳)事件」もそうだったが,死人がでないどころか,軽い下痢と異臭だったから,なんとなく「軽い」のだが,連山のように連なって不祥事を引き起こすまれな事例だ.
わたしが,この「雪印種苗」が気になる理由は,「雪印」というブランド以外に,「種苗」会社が種子の品種を偽装したこと,つまり「本業」でインチキしたからである.

つまり,これは,製造業でいったら,完全に製品偽装であって,安全基準を満たすみたさない,JIS基準を満たすみたさないという次元の問題ではないことだ.
タネ屋が売ったタネが,別の品種だった.しかも,インチキして,となれば,これを「偽装」と言っていいのか?きちんと,「詐欺」と言うべきで,刑事事件ではないのか?

捜査当局の裁量によって,これが立件されないなら,とうとう,刑事事件までもが「偽装」されていないか?と疑うのだ.
まじめなタネ屋からしたら,おとがめなし,では納得できないだろう.
すると,わが国は法治国家なのだろうか?という疑問すらうまれるから,注目したい「事件」だ.

最後は,連日報道の日大である.
これは,現在進行形だから,これからどうなるかわからない.
しかし,登場人物の意外さもふくめて,いよいよ「劇場化」してきた.
元えらい記者のありえない高圧的な司会ぶりは,ある意味,特攻精神にあふれていて,みごとな「二分間憎悪」を自ら演じた.

これで,大マスコミにとっての「スポンサーとしての日本大学」から,記事にして「売れる」日本大学に昇格したのは間違いない.拮抗していたであろう,マスコミ各社の広告営業の声が小さくなって,編集のイケイケの声がきこえる.
それを,大学広報部の人間という立場で,内部からやりのけたのだからたいしたものだ.

終わってみれば,日大改革の最大の貢献者は,このご老体だった,ということになるのではないか.すると,彼に依頼した広報部も,けっしてマヌケではなく,確信犯的である.
これが,「危機管理学部」の凄みだとしたら,こちらもそうとうな逆転劇になりそうだ.

たしかに,大学のあるべき姿,からすれば,「膿」をぜんぶ出す組織の大掃除が必要だ.
しかし,内部を知ればしるほど,「闇」は深かろう.
まともなやり方では,とても「闇」を追放することはできない.
そのための,近年稀な捨て身の大作戦が,あの記者会見だとすれば,司会者の言説もつじつまがあうから,驚くべき「役者」がいたものだ.

これで,翌日,とうとう「学長」が表に立たざるをえなくなった.
それで,記者から「理事長が出てこない」,という核心がはじめて飛び出したが,これは「編集」からの宣戦布告の号砲であろう.

学生が決死の記者会見をしているときに,理事長がパチンコに興じている姿はYouTubeにある.
各種「闇団体」とのおつき合いもチラホラ言われる「理事長」こそ,本命中の本命である.
内部からの包囲網構築に,この理事長はぜんぜん気づいていない様子だから,劇的な展開が期待できるというものだ.

しかし,まさかこれに水を差すかもしれないのが,「国家」である.
すでに「議員連盟」が,文科省と子会社のスポーツ庁に圧力をかけている.
かれらは誰のために行動するのか?理事長や「闇団体」側に有利なことにならないか心配だ.
今すぐにではなく,大学運営の「正常化後」を見すえて,私学助成金の減額をする,という嫌がらせの有無が,ひとつのバロメーターになるだろう.

盤石にみえる組織も,人間の集団にすぎない.
その人間は,理性と感情の動物であることを忘れると,ある日,突然の崩壊がやってくる.
しかし,ほんとうは突然でもなんでもなく,必然なのである.
人間の理性と感情は,化学反応でもあり,物理法則でもある.

だからこそ,「育ち」が重要なのだ.

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