経理をアウトソーシングできるわけ

英語圏では,インターネットを介して,会計士による国境をこえた経理サービスが普及している.
発注者は,北米や欧州の企業で,受注者は,インドやスリランカの会計士である.
スリランカは,人口が2000万人しかいないが,国立コロンボ大学では,経営学部会計学科において4万人の会計士をつくりだす計画だ.国内需要ではなく,外国からの受注を期待している.
もっとも,会計士や税理士は,将来AIにとってかわられる可能性がたかいから,老婆心として心配である.

コストが安いというだけか?

発注者が,インドやスリランカの会計士に依頼するのは,自国の会計士の1/3程度という「安さ」であるといわれている.しかし,それだけが理由であるか疑問である.

企業にとって経理事務が必要な理由は,おおきく分けて二つだろう.
「会社決算」と「納税」である.
「会社決算」は,株式会社ならやらなければならない.いわゆる,株主への情報公開,である.だから,上場企業なら証券取引所に提出義務がある.
「納税」も,ほとんど世界共通の義務である.世界各国の政府で,納税をもとめないのは,「タックスヘイブン」といわれる数カ所の地域だけだ.
金融機関からの融資を受けるにあたって,これらの書類をみせるのも,会社の経営内容がしれるからだ.

ところで,以上の理由には肝心なものが抜けている.
誰のためのものかを基準にすると,株主のため,政府のため,金融機関のためであって,経営者のためが抜けている.

経営者は,株主のための資料である「会社決算書」をみながら経営しているのだろうか?
経営者は,政府に支払う税額は気になるが,「納税書類」をみながら経営しているのだろうか?
これらの書類は,経営者の経営実務に役立つのだろうか?

この際だからはっきりいえば,経営者の経営実務には役に立たない,というのが結論である.
だから、アウトソーシングしているのだともいえる.
自分のためにならない書類をつくるのなら,「安い」にこしたことはない.これが,経営判断だ.

すると,「国際会計基準」や日本の会社法による「企業会計原則」の議論はなにか?という疑問になる.
簡単にいえば,「株主への情報公開」のために必要な基準はなにか?だけである.
だから,会社経営の本質ではない.
会社経営をやったことがない役人や学者(優秀な学者ほど,ビジネス経験はない)が,「株主のため」という名目で,制度をいじくっているにすぎないから,面倒になった企業は上場をやめたがる.

月次「決算」に三週間かかる

さて,残念な企業共通の特徴は,その役に立つはずもない「決算」を経営資料にしていることだ.
きびしくいえば,「ゴミ」をみながらなにかを決めようとする.
「ゴミ」からは「ゴミ」しかうまれない,という原則もわすれている.

「税理士に経理をまかせている」という中小企業経営者はおおい.
すでに,この段階で経営者として問題である.
「税理士」は「会社経理」を業務としていない.「税理士」の本分は,「税額の算出」である.
つまり,経営者なのに,「経理」と「税務」の区別がつかいないということを「独白」しているのだ.

税理士は,きっちり数字をだすのが仕事だから,月次の数値がきまるのに三週間かける.
だから,先月の結果が確定するのは,今月ものこり十日しかないところになる.
これで,今月の対策をたてよ,と部下にいっても,手遅れである.
この「手遅れ」を,あろうことか毎月くり返している.

以上が,残念な企業に共通してみられる事象である.だから,いつまでたっても残念な状態からの脱却ができない.もちろんそれは,決算に三週間かける税理士のせいでもない.

「経理」をアウトソーシングしないわけ

好調な企業の「経理」は,当然だが「税務」とは無縁である.
経営者に適確な経営情報を適確な時期に提供するのが「経理」の存在意義とこころえれば,会社決算とも無縁である.なぜなら,会社決算は公認会計士の仕事だからである.アウトソーシングすると決めている業務を二重におこなうのはムダだからだ.

「経理」はアウトソーシングできない.
自社のオリジナルだからだ.それは,経営者がもとめる情報提供を追求すれば,かならずそうなるからだ.
こういう企業は,月初に幹部会を開催する.先月(つまり昨日まで)の月次と,今月の作戦をきめるのだ.もちろん,重心は今月の作戦にある.結果をどんなに議論しても,売上が増えるわけもなく,経費が減るわけもない.残念な企業は,結果の議論に時間をついやす.今月は残り十日しかないから,材料が豊富な先月の「反省」ばかりして,出席者の時間を浪費する.こうして,なんとなく幹部会が終了するのも共通の特徴だ.

もし,自社が「残念な部類かも」と感じたら,
どうやったら月初に月次幹部会が開催できるだろうか?
をかんがえてほしい.

やればできるものである.

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