自由を謳歌できないアメリカに移民する

ひとは相対評価で生きている。

なかなか絶対評価ができないから、ラテンアメリカからの不法移民が絶えないのだ、と思ったら、かなりの数の「中華系」が混じっているというから、話が複雑になる。
けれども、「相対」だから、出発点の国からしたら、国民の流出(江戸時代なら「逃散」)なのに、ぜんぜんニュースにならない。

棄民している、ということか?

先月の4月4日、トランプ氏が起訴されたニュースに、黒人男性が涙しながら、「自由の国アメリカの行方が、自分の子孫に対して不安だ」と語る、SNS動画が大拡散した。

これまでの常識からしたら、黒人やヒスパニック系のひとたちは、民主党支持だと相場が決まっていて、そのステレオタイプが日本でも常識化していた。

けれども、バイデン政権になって、トランプ政権が建設していた、「国境の壁」工事が中止され、数百万人の不法移民が流入するに連れて、過去に合法的に移民してきたひとたちの職場を奪いはじめる「被害」が続出して、黒人やヒスパニック系に、トランプ支持者が急増したのである。

ひとは、痛みをしってから、かんがえるようになる、という順番なのだとわかるのである。

だから、悪政もその後の善政の準備のためには悪くないのだけれども、これに強権(ふつう「国家権力」という)がついてまわるのが歴史というものなので、いったん悪政をする者共が権力を掌握すると、善政への切替が間に合わなくなって、何世代もが奴隷にされる。

日本ではいまだに情報統制をしていて、トランプ氏は白人至上主義者だという、およそ悪質なデマが、報道として流されていて、おおかたの善良なる国民はこれを信じこまされている。

なんだか、投資詐欺に何度もあって、財産をその都度失う、詐欺被害の常連客と似ているのは、自分が欺されているかもしれない、という感覚もないことに似ているのである。

トランプ氏は、日本的平等主義者ではないが、キリスト教の博愛主義者なのである。

日本人は、明治の「四民平等」政策の意味を考えさせられないで、とにかく、テストの答に「四民平等」と書けば正解になることを、小学校、中学校、高等学校、と人生で最低でも3回繰り返して擦り込まれるけど、どうして2000年ぐらい続いてきた、「身分社会」が、すぐさま「四民平等」になったのか?をかんがえることをしない。

それなのに、英国新国王の戴冠式は、衛星生中継で観て、現代英国の揺るぎのない身分社会もかんがえることはしない。

なので、「博愛」という、ちょっと洋風で違和感のある表現も、平等のなかに押し込めて、「人類皆兄弟」といって、自らファシストであることを生涯の誇りにしてモーターボート競争なる、世界でも珍奇な博打を公共事業に転換させた人物が、えらいひとになれたのである。

本来の博愛をもって、ホワイトハウスにいても、新聞記事を自分で切り抜いて、不幸にあったひとに手紙を書いて、ときにはホワイトハウスに招待して、その不幸や苦労を労うことをしていたし、私財も提供したことは報道しないのである。

「人類皆兄弟」とテレビでも宣伝して、老いた母親をおんぶしていた老人が、私財を投じた話を聞かないのとはおおちがいなのだ。

トランプ氏のこんな地道な活動が、マスコミの刷り込みでトランプ嫌いにさせられたアメリカ人たちを目覚めさせて、弱者からの圧倒的な支持を取り付けているので、それがまた寄付の内容でも確認できる。

民主党の寄付者が、千万、億ドル単位なのに対して、トランプ氏のMAGA運動への寄付が、1桁(数ドル)からはじまる少額の集合体だということが入金記録(日本の「政治資金規正法」に似ている)で証明されている。

寄付控除対象にもならないのは、子供のお小遣いまである「浄財」だからだ。

列強に勝手に分割されて亡国したポーランドで、ロシア革命の影響から、金持ち狩りがおこなわれて、比較的裕福だったひとたちが家族ごとシベリア送りになったとき、大量の孤児が出現してしまった。
この孤児たちを救ったのが、当時の5大国では日本だけで、2年掛けて栄養状態を改善して、全員を無事帰国させている。

このとき、日本人の子供たちが、自分の小遣いやおやつを現物寄付したことがブームになった記録がある。
いまの日本人の児童は、当時の児童よりよほどいい暮らしをしているけれど、そんなことがブームになるような気配もない。

けれどもアメリカではまだ、寄付者たちの気分は、教会に小銭を寄付をする感覚と同じなのである。

日本なら、「お賽銭」だろうけど、神社仏閣で日本人が祈るのは、自分のことだけ、になったのである。

アメリカ人は、自分の政治的な心情を、車にスッテカーを貼ったり、自宅前にポスターを掲げて意思表明したりしたものだけど、いまや政治的弾圧があるために、民主党以外のものは身の危険を伴うようにまでなってしまった。

銃規制を訴える民主党支持者が、共和党支持者なかんずくMAGA運動支持者を、銃で脅すのである。それがまた、共和党支持者の銃規制反対の根拠になっている。

バイデン息子ハンター氏の罪状容疑に、銃の不法所持とショッピングセンターのゴミ箱に棄てたことが上げられて、民主党支持者でもまともなひとは唖然としている。

さては、そんな息苦しいアメリカに大量の不法移民が入国した(すでに500万人を超えた)のは、受け入れる側の政治的都合が濃厚だから、道具にされているのは、やっぱり移民の側なのである。

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