衰退の日欧は復活できるか?

むかし、日本経済が絶頂だったとき、碩学・小室直樹は、シベリアに円を流通させよ、と叫んでいた。
ウラル山脈の向こう(西)側で、ドイツ・マルクが流通すれば、日独(西ドイツ)でロシア(ソ連)を牛耳れる、と。

あまりの「絶頂」だったから、ソ連の崩壊に興味がなくて、千載一遇のチャンスを逃したばかりか、その後自壊したのは、宮沢内閣による「総量規制」の一律適用だった。
ソ連の経済政策を日本でやった。

ソ連は体制まで転換したが、わが国はバブル崩壊「だけで」済んだ。
ソ連よりはるかに強固な官僚の事務体制が、テッパンの計画経済を維持したのである。
これを真似たのが、中国だから侮れないことになった。

いまのあちらの体制が、日本人から異常に見えるのは幻想である。
自分たちの本当の姿のおぞましさが、「鏡」に映っているだけなのだ。

この時期は、西ドイツも、東ドイツの合併に全力投球したから、こちらもチャンスを逃して、その後は統合ユーロの普及に向かってしまった。
「戦後」の西側国際社会の経済は、徹底破壊されて敗戦した(敵だった)、日本と西ドイツが機関車の二重連のようにけん引した。

日独両国の全体主義計画経済の経験が、本家のはずのソ連よりうまくいったのは、きめ細かい「役人」の(この場合)優秀さが、ロシア人の性格的荒っぽさを上回っていたからである。
それが、東ドイツをして、東側の優等生にさせたのだった。

ヨーロッパの統合が、「EU」という名の官僚体制になったのは、対抗するベンチマークとしての日本と、地域内のドイツの双方が採用する、「官僚制・計画経済」が、美田に見えたからだろう。
だから、中国の体制との親近感があるのも、日本とドイツ(EU)の特徴なのである。

それで、いまとなって地団駄踏んで悔しがっても、あの(統合の方法を決める)とき、ヨーロッパ各国を「ステーツ」とする、アメリカ合衆国・モデルにしなかったのが、衰退の原因だと本気で気づいたのか?が問われるのだ。
けれども、ヨーロッパ人の心に中に、人工的新興国アメリカへの「侮蔑」があると思われるので気づかない振りをするしかない。

よって、EU(欧州)の衰退は、EU解体まで終わらない。

アメリカの二大政党は、ヨーロッパでの貧困から逃れたひとびとの系統と、イギリスを中心とした、ジェントルマン(教養のあるひと)が投資のためにやってきた系統とが、そのまま政治勢力に発展したともいえる。
前者が民主党で、後者が共和党である。

民主党がいよいよ社会主義・共産主義的になってきたのは、もともとの「先祖帰り」ともいえる。
だから、この表面「だけ」を真似て、わが日本でも「二大政党」を理想とするのは、お門違いなのである。

国民の半数以上が農民だった戦前の二大政党は、地方に重点を置く政党(政友会)と、都会(工業地帯)に重点を置く政党(民政党)であった。
いまの細分化された時代なら、どうなるか?
なかなか二大政党に集約できないのが現状だから、わるい意味の「なんでもあり」がある、自民党が勢力を維持できるのであろう。

しかし、残念なことに、「共和党」に匹敵する政党が存在しない。
これが、ひとつのヒントを与えてくれる。

振り子のように「揺れ戻し」があるから、政治力学というかんがえかたが説得力をもつ。
英米は、政権があんがい連動していて、保守党と共和党、労働党と民主党がそれぞれの時代に首相と大統領をだしている。

サッチャーとレーガン、ブレアとビル・クリントン、だが、オバマ時代はねじれて、英国は保守党政権がいまにも続き、トランプ政権でまた元に戻った。

英国の変化は、労働党のブレアが「サッチャリズム」を前提にする、と断言したことにある。
かつて、福祉充実(典型的社会主義政策)がトレンド(英国病発症)だった時代、保守党もこぞって福祉政策に重点をおいたから、英国の揺れ戻しは「波長」が長い。

対して、人工国家(政治理念で建国された)のアメリカは、政権交代による変化がドラスティックなので、こちらの揺れ戻しの波長は短い。
その象徴的スローガンが、「大きな政府」か「小さな政府」であって、大きな政府には「増税」が、小さな政府には「減税」がついてまわる。

大きな政府とは、福祉国家のことなので、財源としての増税が必須になるし、小さな政府とは、自由主義重視なので、自分のおカネが税に獲られることも「自由の侵害」とかんがえている。
もう1年が経過した、消費増税の名分が「福祉の充実」だったことを思いだせばよい。

「巨大」な中央政府をもつ、日本とEUは、アメリカ人から観たら、民主党永久政権のように映るだろう。
だから、わが国の政権交代の意味は薄い。
自民党も民主党も、アメリカ人にはどちらも同じで左派色の濃さの違いだけにみえるだろう。

レーガン時代、わが方の中曽根政権もそれなりに連動したけど、徹底できず相当な腰砕けだった。もっとコケたのが小泉政権であった。
トランプ再選後のアメリカは、よりパワフルに「小さな政府」を追求するにちがいない。

減税は、予算縮小を意味し、自動的に行政権の縮小を促す。
これが、アメリカ経済発展のパターンで、余裕ができると民主党に政権交代して、「福祉」をやるのである。

この繰り返し行われている「成功事例」をどう観るか?が鍵なのである。

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