電子ペーパー「クアデルノ」

特許庁の電子ペーパーに関する調査は、2012年に公開されている。
これによると、「電子ペーパー」というジャンルの特許を最初にとったのは、なんと「松下電器産業」で、1969年のことであった。
その翌年に、「開発中止」を決めている。

それからだいぶ経った、1987年にいまの「製品」につながる、「マイクロカプセル型」の特許を取得したのも、日本企業のエヌオーケーという会社である。
この10年後に「E Ink社」がアメリカで設立された。

それで、「E Ink社」の方の「歴史」をみると、MITの学生がアイデアを出したことに端を発して云々という話になっていて、日本での歴史には一切の言及はない。

2004年になると、松下電器産業とソニーが「電子書籍端末」を発売した。
アマゾンが「E Ink社」と組んで、「Kindle」を発売したのが2007年のことである。

ついでに書けば、富士通が「カラー電子書籍端末」を発売したのは、2009年ということになっている。
そんなもん、あったっけ?

いまさらだけど、「e-ink」というのは、電子的にインクのような粒子を制御して文字や画像などを表示する技術のことで、液晶などと比べたら、圧倒的に「目に優しい」し、一度表示させた画面には通電の必要がないので、最低限の消費電力しか要しないことが特徴となる。

これが、本物の「紙」にインクで印刷したのと同じ原理で、人間の目に見えるのだから、「書籍」に適していることは間違いない。
すなわち、「目に優しい」とは、「目が疲れにくい」という意味なので、長時間の読書に十分人間の方が「耐える」のである。

技術的には先行していたのに、電子書籍端末というビジネスで「完敗」したことに、冒頭の特許庁の調査では以下の「欠如」をその理由を挙げている。

1.明確な市場提供イメージに基づく開発と資源の集中、
2.自社の電子インクを前提とした周辺技術の確立と当該電子インクの基本技術の特許権利化、
3.ビジネスを見据えた海外への展開、
4.電子コンテンツ産業の発展に伴うビジネスモデルの変化

「電子書籍」と「端末」に分けて考えていない、という「欠如」があるのは、「縦割り」のお役所仕事であるからだ。
問題は、「文化庁」が管轄する、「著作権」なのであった。

つまり、我が国では、端末が先に出来たけど、それに載せて電子的に読書利用するための著作権の概念がなかった。
このことは、音楽は、レコード盤やCDで販売するもの、という概念が硬くて、「配信・ダウンロード」するものになるのにかかった手間と同じなのだ。

そして、この「手間」をかけているうちに、アメリカ企業が世界規模でのシェアを確保してしまったのである。
音楽ではアップル、書籍ではアマゾンという具合に。

しかし、「権利」について厳しいアメリカで、どうして「先行」できたのか?
それは、著作権を持っている「既得権者」にも、「民主主義」が根づいているからである。

逆に、「広く薄く」とれた方が「増える」という発想もある。
なんだか、「消費税」のような話なのである。
アナログなら、コピーを制御することは困難だけど、元がデジタルなら容易にコントロールできる。

このメリットに、アメリカ人の既得権者は気がついて、行動が早かったのである。
我が国の伝統的「産業優先思想」では、今の権利を護ることに集中した。
それが、「ウォークマン」で世界を席巻したソニーが、「iPod」に完敗した理由である。

さてそれで、そのソニーが先行したのは、「電子ペーパー」という「メモ帳」分野の端末であった。
製品名は、「DPT-RP1」という無機質で、とうとう販売中止になってしまった。

犬型ロボットで明暗を分けたのは、ソニーの「aibo」とNECの無機質だったと記憶している。
NECはいま「waneco(ワネコ)」で成功しているから、失敗は成功の素に変えた。

だから、電子ペーパーの分野では「外野」の、NECからしたら、「DPT-RP1」と聞いて、おいおいどうしたソニーさん、になったはずである。

それでもって、どういうわけか、富士通がソニーから供給を受けて、これを、「クアデルノ」と命名し、この夏には「第二世代」が発売された。
作っているのはソニーだろうけど。

メモがとれる電子端末なら、まっ先に「iPad」が浮かぶ。
しかし、便利さの裏に、「目が疲れる」という大問題があって、長時間の利用は厳しいのである。
だから、「e-inkのiPad」が欲しい。

「クアデルノ」は、大きさが違う二種類がある。
「A4」サイズとその半分の「A5」で、2万円の価格差がある高価な方の「A4]が欠品している。

この端末の最大の特徴は、「PDF特化」である。
競合の端末では、この「割り切り」がない。

ダウンロードするのもPDFなら、手書きで書いた新規メモもPDFとして保存される。
パソコンとかで、様々な書類(ウェブ上の画像も)を、PDF変換すれば、この端末で「読む」のは当然で、「手書き書き込み」もできて、それをまたPDF保存できるのだ。

ただし、キーボードなどによる「活字変換」はできない。
手書きも変換してくれないから、ワープロ的利用はできない。
そのかわり、第二世代ではワコムの「無電源スタイラスペン」が使えて、書き味は抜群だし、画面が階層構造になっているから、テンプレートを自作することもできる。

紙のサイズで「A4」が主流なのは、世界で我が国だけという特徴があるので、まさに「日本市場向け」というニッチさがある。
紙の書類をそのままの大きさで扱えるメリットは、確かに魅力的だ。
企業内の「ペーパーレス化」の最終兵器になって、欠品しているのか?

2~3ヶ月待ちとの表記があるとはいえ、「お取り寄せ」で数日待てばやってきた意外があった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください