黒字企業には赤字がわからない

ちょっと贅沢なはなしだが,しっかり黒字をだしつづけている企業には,どうしたら会社が赤字になるのかわからない,ということがある.
赤字続きで,いつ資金が尽きるかの心配ばかりしている企業には,そんな黒字企業の「わからない」が,わからないにちがいない.

黒字企業にあるものが,赤字企業にはほとんどなく,赤字企業にあるものが黒字企業にはほとんどないから,どちらも相手が理解できないのである.

安定した黒字が続いていて,経営者の頭脳もクリアさが維持されているなら,なにをどうしたら赤字になるのか?見当もつかないだろう.
逆に,なにをしても儲かってしまう,とかんがえるにちがいないし,そんなことをウズウズとかんがえたら,もっと儲かる方法を思いつくだろう.

それは,ビジネスモデルがしっかり確立しているからでもあり,だからこそ,問題になりそうな点に早く気づき,予防の手当をたえずおこなうことが習慣になっているからである.
結論は,優れた経営者の存在,ではあるが,こういうひとたちは,アンテナが高く自社の内外の情報取得に長けていることに特徴がある.

では,なぜに自社の内外の情報取得が早く,中身も正確なのか?といえば,あたりまえだが,本人の人間性が良質だから,そして,目的をもって内外のひとと接しているからである.

外にあっては異業種交流の場でもある商工会をたとえにすれば,商工会のなかでの役職や活動にはあまり興味がなく,さまざまなひとたちからの「ためになる情報」をもとめて参加している姿がある.

内にあっては,従業員を大切にするのは文字どおりで,目標設定をおこたらないし,そのための教育研修もあたりまえとしているから信頼が厚い.こうして,現場の従業員からの提案などがふつうにあるから,正しい情報を早く得ることができて,悪い情報ほど,いち早く届くのはこのためである.

こうしてみると,めったなことで失敗しないようになっている.
いや,失敗しないように自社組織を造り込んでいる.
だから,どうやったら赤字になるのかわからないのである.

この真逆をいくのが万年赤字企業である.
ところが,鏡のように正反対ではない.
万年赤字企業の目標は,万年黒字企業になること,ではないからである.

では,どんな目標なのか?
第一が,存続.
第二が,黒字化(単年度)
である.

だから,黒字企業がやっている様々な「黒字の原因」になる行動や施策に深い興味がない.
「存続」という低いハードルで汲々としているから,そのはるか上のハードルが目に入らないのだ.
むしろ,走り高跳びと棒高跳びのような,別の競技に見えるだろう.

それで,黒字企業の姿には,投資した設備の違い,が目立って見えてしまって,あきらめる理由づくりに邁進するのだ.
従業員の評価まで,あちらは優秀,こちらは凡庸と決めつける.
経営者が凡庸なら,従業員も凡庸になる原理の存在をしらない.

夢も希望もないことをあえていえば,赤字企業の経営者には,真剣味や追いつめられているというリアル感が決定的に不足している.
だから,金融機関に呼ばれて「突然」融資の打ち切りを告げられて,はじめて気づくか,それが「突然」だとして,金融機関を逆恨みするかのどちらかになる.

しかし,テレビドラマではない現実世界では,はじめて気づこうが逆恨みしようが,会社が生き残れないことは確かである.
まさに,この期に及んで,ということになる.

これを,黒字企業の目からすれば,どうして「突然」なのかすら理解できないだろう.前兆となる数値は,いくらでも事前にあったはずである.
そうした警報に,なんの対処もしなかった,とすれば,もはや理解の外である.
ゲームのルールばかりか,ゲームのやり方すらしらないで人生をかけたゲームをやっている姿に,驚愕するしかない.

人口減少と,それにともなう人手不足は,こんご深刻になることはあっても軽減することはない.
だから,人手をぜったいに必要とする人的サービス業こそ,採用の応募がある会社にしなければ,時間の問題という運命がまっている.

そのためにも,第一目標が「存続」では,もはや存続を放棄したとみられてもしかたない.
「永続」という原点にたって練り直す必要があるのだが,すでに理解できないのかもしれない.
家族経営のばあい,これは一家で破綻することになるから,結末は悲惨につきる.

せめて,血縁者を別の職業につけるなどして,リスク分散をするのが得策というものだ.

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