PCが普及すると生産性は?

わが国の生産性がもっとも高かったのは、製造業の場合、1990年から95年にかけてで、「世界一」だった。
残念ながら、サービス業などは世界比較をしてもせんないほどに、「低い」のであるけれど、これは「いま」も変わりがない。

「政府」という、生産性とはおよそ縁のない組織が、民間のサービス業の生産性の「低さ」を日本経済の「お荷物」として大問題にしたけど、業界はその「深刻さ」にまったく対応できているようには見えない。

それで、「専門家」を集めて、いつものように「委員会」をつくって、サービス業に生産性を上げるべく「提言」をつくらせて、「予算」をつけたけど、ぜんぜん「効果がない」という生産性のないことをしている。

これにイラだって、役人の三段階の資格制度である、上級・中級・初級に見合った「人材育成」をやりだしたら、なんと「経営者のレベルも低い」と認定したのである。

そんなこんなで、わたしは、政府のIR誘致とは、異次元のサービス業を輸入して、既存サービス業を駆逐させようという、かつての「エネルギー転換策」とおなじだが、炭鉱における一大労働争議のようにはならない「うまい手」としたのではないか?と自著に書いたことがある。

しかし、邪悪な思想はもっとすさまじい「うまい手」を実行した。
それが、コロナ禍を利用した「サービス産業自滅化」であった。
たしかに、「経営者のレベルが低い」ために、『羊たちの沈黙』のごとく、自らすすんで「屠殺」されている。

これに抵抗したのは、わずか「グローバルダイニング社」のみなのである。

実際に、2018年6月15日には、「骨太の方針2018」が閣議決定されて、翌19年4月より外国人(単純)労働者の25年までに50万人超を目標と定めれて、「経営者のレベルが低い」ために、業界は「人手不足解消」の施策として「歓迎した」のだった。

しかしながら、それで「生産性が格段に向上した」ということは、寡聞にしてしらない。

さて、昨年末に行われた日経BPコンサルティングのアンケートシステムにて、同社保有の調査モニター2319人を対象に「PCの普及調査」を実施した結果が発表されている。
これによると、企業の普及率は90%を超えおり、1000人以上の大企業では97%超になっている。

では、1990年はどうだったのか?
1989年に発売された「東芝ダイナブック」は、最初のノートパソコンだったけど、そのスペックは、標準メモリが「1.5Mb」で内蔵ストレージはなく、フロッピーディスクという仕様だった。

なお、日本で初めてインターネットサービスが開始されたのが、1992年であったから、1990年当時は「パソコンは単体でつかうもの」だった。
1998年(平成10年)になると、「企業」の60%以上がインターネットを利用していると回答しているけれど、なおも40%は使っていないのである。

これは興味深いことで、パソコンの普及と生産性が「負の相関」を示しているのである。

わたしは、上に書いた、サービス業における生産性の低さやパソコンと生産性の負の相関について、「働き方」の問題よりも、「働かせ方」の問題ではないかとかんがえている。

それが、わざわざ政府から指摘されるまでもない「経営者のレベルが低い」ことと関連しているとかんがえるからである。

なお、政府は「政府のレベルが低い」ことを一切無視するばかりか、あろうことか「政府=官僚は、いまだに優秀だ」という、信じがたい思い込みをしているのだが、ここでは触れない。

その「経営者」の話だ。

わが国のサービス業は、ざっくりおおよそ「3タイプ」の経営者がいる。
・創業者と創業家
・外部招聘(外資系ファンドなど)
・社内昇格

創業家が創業者とややちがうのは、創業者の経営理念や経営手法が、どのように「伝わっているか?」あるいは、「伝える努力をしているか?」で異なる。

「老舗」の「家訓」があんがいと合理的なのは、「伝える努力」の方にあたる。
それで、次世代をどうやって一人前にするか?をちゃんとかんがえてやっているかで、将来が決まる。

残念ながら、この「継承」に失敗したり、先代が急死したりして、次世代への引き継ぎと覚悟の訓練がなされていない場合、「倒産・売却」あるいは、「廃業」となる。
なので、「士業」がいう、「事業継承」とは意味がちがう。

こうなって、外部からの経営者になると、主に「外資系ファンド」の場合、経営の専門家をトップに据えることでの「事業再生」となる。
もちろん、不足資金も投入するが、最大のポイントは経営者の交代なのである。

こうやってみると、業界全体で多数、はては影響力があるとみられるのは「大手」だが、その大手企業こそ、「社内昇格」で経営者になるという特徴がわが国の習慣になっている。

海外だと、株主が経営者を外部から招聘するのがふつうなのだ。

これには、わが国に「労働市場がない」という大問題があるために、「できない」という問題もある。

そんなわけで、働かせ方が下手なので、PCの普及と生産性が「負の相関」になっているのだ。

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