あまりにも大きな「危機」なので、かんがえたくなくなる。
しかし、「最悪」を「想定」することは、リスク管理のセオリーなのだ。
まず目に見えている「異変」は、家庭常備野菜の定番である「タマネギ」の品不足と高騰だ。
「引き金を引いた」のは、昨年夏の北海道での猛暑による「不作」だ。
続いて、各地の天候不順で、たとえば、生産2位の佐賀県では冷夏だ。
北海道は国内の7割が生産されていて、その半分がダメになった。
つまり、3割から4割の供給がなくなった。
しかし、「価格」はもっと敏感に反応して、全国平均で昨年比2.1倍、場所によっては3倍以上にもなっている。
日本人はタマネギ消費世界一という国民で、その理由は「ソース」に加工するためだ。
ウスターソースやらトンカツソースだけで、大量のタマネギを使用している。
なので、これらも「値上がり」するようになっている。
これに、「輸入」のタマネギが補完するというのも、コロナによる世界流通の滞りが加わったし、厳しい「ロックダウン」をやったハブ港の上海が事実上の「業務停止」で、中国産も不足した。
そんなわけで、タマネギが貴重品になっているから、西村康稔前コロナ対策大臣の地元、淡路島産タマネギを与野党の議員にお中元として送ったことが、公職選挙法うんぬんという批判になっている。
どこまでも、トンチンカンな御仁なのだ。
さてそれで、ことがタマネギだけならしばらくの我慢だともいえるけど、もっとおぞましいデータが発表された。
それが、農業人口の劇的な減少なのである。
過去5年で、わが国の農業者は「25%」も減ってしまった。
この減少曲線を放置すれば、向こう5年後には「半減」することになる。
しかも、「従来通り」を連綿とやっている政府の「無策」があるので、実質的に「放置が政策」だから、ほぼ確実に「半減」することが必定なのだ。
もちろん、農業者の平均寿命はとっくに70歳を上回っているから、この「激減」も、「想定内」のことである。
つまり、若年層を農業者にしようとする「政策」が皆無だということなのである。
自由経済での政府の「計画」とは、「計画経済」とはちがう。
政府は、民間の経済活力を「じゃましないこと」を計画する。
しかし、なんどもいうように、日本政府=自民党は、とっくに共産主義・全体主義を志向しているので、「計画経済」を画策するのである。
その具現化に活躍したのが、西村康稔氏であった。
世界の流通が滞ったことの大問題が、「肥料」の不足と価格高騰になって、わが国の農業者の「離農」を促進させている。
「肥料の三要素」とは、学校で習うとおり、窒素、リン酸、カリウムである。
問題は、これらの「原材料」が、「輸入依存品」であることだ。
もちろん、食糧となる植物だって、生き物だから、三要素「だけ」でいいはずもない。
「中量要素」として、カルシウム、マグネシウム、イオウがあるし、「微量要素」としては、鉄、マンガン、銅、ホウ酸、亜鉛、モリブデン、塩素などがある。
「農業は土作り」という理由が、しっかりと育って収穫できる環境としての「土壌」がないといけないからである。
そんなわけで、不足と価格高騰は、一般消費者がかんがえる「物価」とはぜんぜん次元がちがう大問題なのである。
この1年で、「三要素」の肥料が、なんと97%も高騰した。
つまり、「倍」である。
しかしカネを出せば買える、ということでもなく、それが「不足」となっている。
ダブルパンチなのだ。
くわえて、この「農産物原価の負担増」が、直接「出荷価格」に転嫁できないので、トリプルパンチどころか、「赤字」という現実を強いている。
農家が農産物をつくると「赤字になる」というのは、完全に政治的「失策」だ。
政治的にわが国の食料自給率が話題になるけど、「計算方法」によっては「かさ増し」できる。
根本的に、必須の肥料原料の自給率を算出基準にしたら、なんと「0%」という結果になる。
これは国民が飢餓に陥る、というレベルでもない。
「全滅」なのだ。
いま、われわれは、食料品があふれていて世界的にもっとも贅沢な暮らしをしている。
食料廃棄率で、わが国は世界一だ。
しかし、食料自給率実質ゼロという世界一と「表裏をなす」という、おどろくほど不安定な国に生きている。
さらにいえば、政府認可の「食品添加物」も、世界一の種類で約1500もあるのだ。
これらの人工的物質が、人体にどのように影響するのか?
「単体」で安全だといっても、「複数」でどんな「化学反応」が起こるのかについての追及はされていない。
いったん許可した「認可を取り消す」という行政処分が、面倒くさいし、もっといえば「利権」があるからである。
需給バランスが「ちょっとでも」崩れると、タマネギのようになるけれど、単品どころの話ではない「谷間の1本橋」を命綱なしで目隠しで渡っているのである。
政治家も日本人だから、この危機の被害者になるのだけど、自分たちには「特権」あるという「幻想」を信じているのは、添加物で脳が冒されているからとしか思えないのである。