「OSCE」はどうなっている

欧州安全保障協力機構(OSCE:Organization for Security and Co-operation in Europe)は、加盟国が57ヵ国もある、世界最大の「地域安全保障機構」だ。
1972年に発足し、本部はウィーンにある。

名前に「欧州」がついているからといって、「欧州に限らない」のは、NATO同様で、「北米(アメリカ、カナダ)」はもとより「中央アジア諸国」も加盟している。

つまり、「集合」でいうと、「OSCE」∋「NATO」となっている。

なお、わが国を含めて、「協力国」となっているのは、中東、アジア、アフリカ、オセアニアにもある。
また、わが国は事実上、「準加盟国」的に扱われていて、恒常的に常設理事会、安全保障協力フォーラムなどに参加できるのだ。

ただし、NATOが純粋に「軍事機構」であるのに対して、OSCEの目的には、民主主義体制の構築・強化、基本的人権の保障と保護、武力行使の抑止における加盟各国の協力と相互尊重があるので、「緩い」といえば緩い。

これには、1990年の「パリ憲章」の合意がある。
OSCE加盟国が、「ヨーロッパにおける冷戦体制の終結宣言」をして、「民主主義の促進と人権問題解決の確認」などに合意したのである。

だから、ロシアもウクライナ(1992年加盟)も、OSCEに加盟していて、かつ「パリ憲章」にも調印している。

戦争を望むひとたちが焚きつけて、先日はウクライナの大統領がアメリカに対して「迷惑だ」と発言したのに、まだアメリカのバイデン氏は「ロシアの侵攻がある」と言って、ウクライナの経済的混乱に拍車をかけている。

ところで、元海将の伊藤俊幸氏は、「兵站」というキーワードから、ロシア軍の侵攻は「あり得ない」との見解を述べている。
「演習」をしているのは、10万の兵力で「しか」いない。

これが、「侵攻」して弾薬を撃ちつくしても、周辺のどこにも、「補給部隊」の存在が確認できていないのだ。

戦闘要員としてのフロントに10万ならば、弾薬だけでも補給にはトラックが数百台必要だし、食料からなにからとなれば、補給部隊には20万人が必要になるのは、断続的かつ安定的な補給が必須だからである。
もちろん、補給部隊を護衛する部隊もいる。

これらの部隊の姿が、今どきの精緻な衛星からも、見つからない。
補給なき軍隊がどんなことになるのかは、ナポレオンもドイツ軍もモスクワを目前に敗退した理由になったし、秀吉が強かったのも、補給のプロ、弟秀頼の「お陰」だった。

それに、「将兵の心理」という角度からは、「大義名分の有無」ということを重視して、「政治目的との合理性」に鑑みば、やっぱり「あり得ない」という分析を示した。

すると、バイデン氏の「煽り」は、軍産複合体である「同じ穴のムジナ」のブッシュ息子大統領令がやった、「大量破壊兵器がある(はず)」という、(結果的にも)見込み違いの「イラク戦争」と同じパターンなのだと気づく。

敵は内にあり、という「原則」に照らすと、プーチン大統領を追いつめているのは、ロシア議会(下院)の決議だ。
ウクライナのロシア人地域の「独立」を、大統領に要請する議決をしてしまった。

これはこれで、クリミア半島を「併合した」ときと同じパターンだけれども、このときには実際に「独立戦争」的な「内戦状態」であったから、平和時のいまとは条件がちがう。
それに、クリミア半島を併合してからの、「ミンスク合意」に、現状のままなら完全に「違反」する。

ところで、OSCEにロシアが加盟したのは、1973年なのだ。
このときは、「ソ連」であった。
そして、いわゆる「東側衛星国」は、一国も加盟していない。
ついでに、「永世中立国」の、スイスとオーストリアが加盟している。

それから2年後の1975年、OSCEの「最終合意文書」である、「ヘルシンキ宣言」には、なんと、鎖国しているアルバニアを除いて、全欧州各国(東側衛星国も)、ちゃんと署名しているのである。
アメリカとカナダも、だ。

それでもって、2014年の「クリミア危機」でも、このヘルシンキ宣言の適用問題が議論されている。
すると、今回は?

実は、ロシアというかロシア人は、ソ連時代もだけど、「いったん決まったこと」については、妙に「律儀な頑固者」という性格がある。
だから、決める前にはなかなか「首を振らない」で「拒否し続ける」というのも、嫌われる原因だ。

対する、アングロ・サクソンの英米は、「いったん決まったこと」をあっさりと自己都合で一方的に「廃棄」することに躊躇しない、という特性があって、しかも武力で押し通すのだ。

典型的アングロ・サクソンのアメリカ民主党が、ロシアを信用しない理由がこれだ。
自分たちが「裏切り」を何とも思わないから相手もそうにちがいないという、「思い込み」があるのだろう。

なんだか、そんな民族の性格比べが「ウクライナ危機」になっている。

もしやロシアもNATOに加盟したいかも、と前に書いたけど、OSCEにその「本音」があると見える。
ところが、2012年に思わぬ国がOSCEに「申請」して加盟していた。

それが、「モンゴル」なのである。
あれれ、現代世界の人類の敵の「蓋」になる最前線ではないか。

しかもモンゴル人(内モンゴルを含む)は、漢人が大嫌いで、日本が一番好き、二番がヨーロッパというお国なのである。
さすがは、あと一歩でヨーロッパを征服したにちがいない、チンギスハンの遺伝子か。

もしや、モンゴルがアジアで真っ先に、NATOに加盟するやもしれぬ。

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