ロシアをNATOに加盟させる

ことには、「発端」というものがあって、ときにそれは、「歴史」のことを指す。

「ウクライナ危機」を、アメリカがいうから、「茶番」なのである。
一方の当事者のロシアは、「ウクライナ危機」とはいわず、「国家存亡の危機」といっている。

日本人からすると、一種の「ZM」があるという表現がある。
「ZM」とは、「ざまぁみろ」の略である。
それは、「日ソ不可侵条約」を一方的に破棄して、満州(国)に攻め込んできたことの「裏返し」になっているからだ。

今回の「ことの発端」とは、1991年にワルシャワ条約機構が「解体」したことによって、旧東欧圏が「軍事的真空地帯」になったことだ。
それで、最初の動きになった問題は、「東西ドイツの再統一」による、旧東ドイツのNATO加盟だった。

これには、双方の「同意」が元にあった。
90年にゴルバチョフとアメリカのベーカー国務長官(ブッシュ「父」政権)、それに西ドイツのコール首相との間で取り決めた「東ドイツ以外NATOは東方に拡大しない」があったけれども、「くち」約束で「文書はなかった」痛恨になったのだった。

93年には、エリツィン大統領がアメリカのクリストファー国務長官(クリントン政権)と会談した際に、クリストファー氏が、「アメリカは東欧諸国のNATO加盟は認めない」と発言したが、翌年、クリントン大統領自身が「NATO拡大」をエリツィンに直接伝えた、という経緯がある。

もちろん、エリツィン氏は「緩衝地帯が必要だ」として大反発している。
明治政府がかつて、朝鮮半島を南下するロシアとの「絶対的緩衝地帯」として「死守」したのと、状況がそっくり「同じ」なのである。
そのエリツィン政権を引き継いだのが、プーチン氏だ。

なお、アメリカは、2008年(ブッシュ「息子」政権)で、ウクライナを「EU」に誘うという「越権行為」をやっている。
なんだか、衣の下から鎧がちらつく話で、さすがは軍産複合体の代弁者ブッシュ家である。

しかも、NATOは2014年になって、最初の「約束の解釈」は、「東方とは東ドイツのことで、それ以外の東欧圏を指してはいない」との見解を発表し、「事実上の反故」だったものを「正式」にした。

そんなわけで、プーチン大統領が「欧米はいつもうそをいう」といっているのには、「筋」としてはあっているのである。
だから、わが国の側からすれば「ZM」なのだ。

しかしそうはいっても、「ZM」では済まない、当時はなかった「新しい事情」が極東で起きている。
それが、「台湾危機」であり、「尖閣問題」ひいては「沖縄防衛」というわが国の「死活問題」に直結していることだ。

つまるところ、「ウクライナ」での「もしも」が、そのまま、「二正面作戦」となって米軍兵力といえども厳しい資源配分となるから、「台湾」を手にいれて、秋の大会で「現代の皇帝」になりたいと切望しているひとにとっては、千載一遇のチャンスとなる「構図」になっている。

バイデン氏の「親中」の、驚くべき「一石二鳥あるいは三鳥・四鳥」がここにある。
「不発」にはなったけど、「ロシア・ゲート」で一時はトランプ氏を追い込んだものの、最近の「捜査」では、民主党への疑惑に転換しつつある。

それに、反攻に出たトランプ氏が名指しで攻撃する、「バイデン一家」の「ウクライナ疑惑」をすっ飛ばすことができてなお、中間選挙前に「戦争」となれば、「現職有利」が確定する。

そしてなによりも、軍産複合体に面目躍如し、アジアでは「皇帝」の称号まで段取り着けて差し出すわけである。
「党」からたっぷりもらった「おカネ」の返済として、これ以上のものはない。
老人の「律儀」が、とんでもないことになる。

おそるべき「邪悪さ」だ。
これぞ、アメリカの「民主党」なのである。

翻ってわが国は、歴代最長を記録した安倍政権で、同じく最長の在任期間だった、岸田外務大臣の「無能」が光るのである。
このひとに、どんな「国家観」があるのかを、質問してなにを言うのか?怖くてきけない。

ロシアは、ヨーロッパなのかアジアなのか?
少なくとも、ウラル山脈の西側はロシアというヨーロッパである。
なので、プーチン氏は、いまさら「ソ連」と同じに「仲間はずれ」にしないでほしいという願望があるはずだ。

すると、本当は、NATOに加盟したいのかもしれないし、経済的困難が続くロシアにとっては、スペインやイタリア、ギリシャのように「EU加盟」も魅力的かもしれない。

なお、軍事同盟に加わることの具体的意味は、武器弾薬の「規格」を「統一」することである。
このことが、ロシアの軍産複合体には屈辱的になるから、できない、ということに思えるし、「規格」が軍事境界をつくっているともいえる。

ただし、これを、「克服」する試みで成功しようとしているのが「党」の悲願とする国なので、その「党」を追いつめるには、ロシア製兵器の規格がアメリカと同じになることの、戦略的意義は巨大なのである。

一方で、NATOの当事者である、ドイツとフランスは、共に、ウクライナの加盟に「反対」しているから、アメリカ・バイデン政権の「ひとり相撲」の様相が目立ってきている。

そこで、「現代」における、「人類の敵」は、いまオリンピックをやっている国を支配して、トップを「皇帝」に据えようとをしている「党」なのであることを思い出せば、いまロシアに目を向ける意味はない。

ならば、わが国は、ロシアをひとまず「G8」に加えて、「包囲網」の巨大な「蓋」になってもらうことがよほど重要だ。
そのための「条件」として、ウラル山脈の東側に「円流通」の許可をもらう代わりに、「北方領土問題を棚上げ」しても、平和条約を結ぶ「手」だって考えていい。

さほどに、南方に危機が迫っているのだが、北方領土と台湾とでは「価値」がちがいすぎるのだ。
わが国への「物資」のほとんどが、台湾海峡を通過して届いている。
ここが「敵の手」に落ちたら、日本国は事実上の「消滅」となるからである。

お尻に火がついているのは、ウクライナや台湾どころか「わが国」なのだ。

加えて、永久凍土の下にあるシベリアの石油は、わが国の「民間企業」が持っている「掘削技術」なくしては、得ることができない。
それで、産出した石油の「半分」をそのわが国企業は「手数料」として得ているのである。

ロシア人には残念ながら信用がないルーブルではなくて、「円」も使えるようにすれば、わが国にはもっと大きなメリットだって拡がるのだ。
そうやって、「経済圏」をつくってから、北方領土問題を考えてもいい。

そんなわけで、現状でロシアを敵にするのは「下策の下」であるから、ロシアを敵に「したがる」ひとたちが、真の「敵」なのだと認識すれば、よくわかることになっている。

プーチン氏は、とっくにお見通しだろうけど、ロシア国内「世論」という、「煽り」情報に踊らせているのが、「ソ連時代」と真逆の現状だ。
これも、「情報戦」なのである。

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