ようやく共和党が選挙で勝った。
しかも、民主党の牙城、バージニア州知事選挙での快挙である。
なお、バージニア州というのは、建国13州のひとつで、首都ワシントンD.C.の「ベッドタウン」として知られる。
バイデン政権の不人気から、絶対的勝利を画した民主党は、「元知事」という強力な候補者を立てた。
このひとは、クリントン夫妻のそれぞれの大統領選挙で、資金調達を担当して頭角を現した。
対する共和党は、元カーライルのCEOで、経済界では有名人だが、政界ではまったく無名の新人だ。
けれども、トランプ氏が「お墨付き」を出して、いわゆる、「共和党・保守派」の候補として党内を制し、出馬に至った人物である。
何度も書くが、アメリカにおける選挙には、民主・共和の両党とも、「党内予備選挙」という手続きを経ないと、「正式候補者」にはなれない。
党員が自腹で党費を出して、党員たる権利を行使したがるのは、党内の候補者選出に参加できることと、自身が候補者になれるかもしれないのとのどちらか一方、または両方の理由があるからである。
昨年、自民党富山県連で、歴史上初の予備選をやって、富山市長選挙の候補者を選出したのは、この意味で「快挙」であったが、この度の衆議院議員選挙では、元の木阿弥になった残念がある。
新総裁にも、新幹事長にも、「予備選挙をやる政党になる」という覚悟も気概もない。
自民党が「国民政党」になれない理由が、これなのだ。
さてそれで、今回のバージニア州知事選は、来年の中間選挙、そしてその先の2024大統領選挙をにらんだ、「前哨戦」という位置づけで注目されていた。
だからこそ、政権党の民主党は、万全を期したのである。
その効があって、選挙緒戦における支持率では、まったくもって共和党候補をものともしない、「圧倒的有利」さを誇っていた。
しかし、投票日5日前ほどになって、情勢が変わり出すのである。
その理由が、公立学校において実施されている「進歩的」教育に関して、親の関与を認めるか認めないかの大議論が湧き起こって、「認めない」とする民主党の主張に、親たちが大反発したからだった。
保守主義の共和党は、当然に親の関与を認める、という立場である。
これが、「討論会」で拡散されて、投票日直前には、攻守が逆転したのであった。
それでも、民主党が得意とする「郵便投票」のキャンペーンは、怠らなかったから、開票が進んでも容易に「敗北を認めない」状況があった。
しかし、これがまた有権者の不信を買って、とうとう「敗北宣言」を出すことになって、決着した。
おそらく、これは、民主党の上層部には相当のショックを与えたはずである。
なので、一層、どんな手を次期選挙に使うものかと、警戒心を高めているのは共和党の方である。
また、この選挙とは別に、オハイオ州では、辞任した連邦下院(衆議院)議員の「補欠選挙」があった。
辞任の詳細な理由は不明だが、共和党でも「反トランプ」の議員で、来年の中間選挙に「勝てない」ことが議員辞職の最大の理由だという。
なぜなら、トランプ氏が推薦する党内候補が、すでに「予備選」に立候補していて、現職が予備選で敗退するという「恥」を避けたのだと解説されている。
本来ならば、中間選挙でのことが、1年も前倒しになったのである。
もちろん、前回の大統領選挙での「不正」がつぎつぎと明らかになってきていて、日本人には「今さら」と写るけど、アメリカ人の怒りはおさまらない。
最近では、ウィスコンシン州で、認知症の老人たちが集団で郵便投票していたことが発覚した。
本人たちにはもう確認できない、というほどの症状があるひとたちだった。
残念だが、自分の名前も、マークシートを塗りつぶすことも、もうできないひとたちなのだ。
気がついたのは家族で、問い詰めたところ、選挙管理委員会が選挙違反をしていたと騒ぎになっている。
こうしたことが、各地で発覚していて、民主党支持者ですら「不正に怒っている」のだ。
こうしたことに小まめに、トランプ氏もコメントを発表している。
それがまた、トランプ支持を拡大している。
反トランプのひとたちが、予備選に立候補すら辞退しないといけないのは、よほどのぶ厚い支持が、わかりやすい状態になっているからにちがいない。
わが国のように、党の幹部が決めるとか、無所属で立候補したのに、当選したら「追加公認」するというのは、予備選がないことのご都合主義が、有権者を無視できるからである。
つまり、自民党もどこもかしこも、ぜんぜん「民主主義」ではないのだ。
こうしたことが、見えてきた1年であった。