選挙予想が当たらない

昨日の続きである。
大統領選挙からちょうど1年。

そして、大統領選挙後にして初の「国政選挙」たる、州知事選挙が東部2州で実施された。
ニュージャージー州とヴァージニア州だ。
アメリカは、ふつうの「国」に当たる「州」が集まってできた「連邦」国家なので、住民目線では「州知事選」こそ、国政選挙なのである。

その州が条約を締結して「連邦」を形成している。
日本人の感覚にはないから、マスコミに欺されやすい。
それに、戦後一貫してアメリカの属国にあるわが国にして、アメリカを教えないという不当な教育がされてきた。
だから、あんがいと日本人はアメリカという国をしらない。

州が独立国なので、「州知事選挙」という言い方すら正しくない。
たとえば、「大統領選挙」だって、連邦上下両院議員選挙を同時にやるから、日本的には「トリプル総選挙」なのである。
州知事選挙には、さまざまな「選挙」が同時にある。
副知事選挙、州司法長官選挙、州務長官選挙、それに州議会選挙や検事も選挙で選ぶし、西部劇でお馴染みの保安官選挙もある。

アメリカは「民主主義の国」だとは知っていても、「長」がつく公職は、ほとんどが「選挙」の対象だと気づかない。
わが国でいう、「都道府県」とは「仕組み」がぜんぜん違うのである。
それに、議会だって、かならず「二院制」である。
わが国の地方議会は、すべて「一院制」だから、これもちがう。

「独裁」になりやすいのが一院制の致命的欠陥なのだ。
それで、面倒だけど、二院制にして、議会同士で牽制しあうように「設計」されている。
これを、「民主主義のコスト」という。
わが国では、議会の権限を議論せずに、議員数を減らすことばかりを議論して「コスト削減」に熱中するけど、お門違いなのだ。

民主主義の「必要経費」として、覚悟しないといけないのが「筋」なのである。
たかだか億円単位のコスト削減の挙げ句、兆円単位の無駄遣いに賛成されたら、国民の負担としてどっちがいいのか?

さてそれで、東部13州という独立建国の時の由緒ある「州」は、いまではほとんどが「民主党」が支配している。
往時の「国境」がそのままなので、広大な北アメリカ大陸の全体地図では、細かくてよくわからない。
現職知事の圧倒的有利、と予想されていたのに、共和党候補と大接戦になったのは、ニュージャージー州知事選だった。
その他の選挙でも、圧倒的なはずの民主党候補者が軒並み「苦戦」を強いられた。

マスコミ報道では、民主党現職の「僅差の勝利」を、あたかも「事実」のごとく言いふらしているけれど、まだ「確定」していない。
それに、例によって例のごとくの「集計マシン」60台以上が、なぜだか同時に不具合となって、不思議な得票数をアウトプットしている。

さらに、日本だと参議院にあたる州議会上院の民主党ベテラン「議長」が、なんとトラック・ドライバー歴25年という新人候補に敗れた。
「敗北宣言」したので、こちらは確定した。
まさかの「大番狂わせ」になったのである。

ちなみに、日本とちがって、「上院」は「下院」より「上」という棲み分けなので、敗北した議長とは、知事に次いで二番目の立ち位置となる。

ヴァージニア州では、もっと凄いことになった。
こちらも民主党元職知事の出馬で、圧倒的民主党有利と予想された選挙だった。

ところが、民主党は「4タテ」の敗北を喰らってしまった。
知事、副知事、司法長官、下院議会(過半数)、がオセロゲームのようにぜんぶ共和党になったのだ。

こないだ終わったばかりの、わが国総選挙と似ていて、アメリカのマスコミも今回の二大選挙の予想を「はずしまくった」ことになる。

これまでと何がどう違って、かくも予想が外れるのか?
日米ともに「統計」の基本を外した、としか考えられない。
すると、マスコミ内部にある「分析機能の劣化」ということになる。
どうして、「分析機能の劣化」が生じたのか?

少なくとも、原因が「マシン」ではないだろう。
むしろ、コンピュータと統計ソフトの進化の方を考えるべきである。
すると、残るは「人間」ということになる。
「大いなるヒューマン・エラー」が、原因としてもっとも有力になるのだ。

おそらく、マスコミ内部で影響力のある人が(複数でも)、「観たいものを見せる」ように要求したのではないか?
民主党の圧倒的勝利を観たい。

しかし、もしや?事前調査に協力した「有権者」が、心にもない回答をしていたら?
「恣意的な報道」を繰り返すマスコミに、一矢報いようとする暗黙の了解が多数の有権者の心にあったとしたら。
集計したデータ自体が、統計的には「汚染されたゴミ」となる。
そして、残念ながら、「ゴミデータ」からは、どんなテクニックを用いても、ゴミしか出ない、のが統計なのだ。

そんなわけで、日米ともに、選挙予測のための調査が、崩壊している可能性がある。

おそるべし、有権者、なのである。

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