今日は、いわゆる「終戦記念日」である。
「いわゆる」というのは、停戦の日で、『ポツダム宣言』の受諾を表明した日だからだ。
「降伏文書」に調印して、法的に終結したのは、9月2日のことだった。
日本のメディアが伝えない世界の出来事で、おそろしく重要なのは、ヨーロッパの戦争(いまのところ「ウクライナ戦争」)が、ポーランド(=NATO)の参戦で大陸全土に拡大しそうな気配がプンプンすることである。
ロシアは、すでにポーランドに35万のNATO軍が集結・配備されていると確認したと発表している。
にわかに慌ただしくなってきたのは、ウクライナの敗北が濃厚だからだ。
ニューヨークタイムズと共に、左派紙の双璧といえばワシントンポストだ。
そのワシントンポストが、ポーランド大統領への直接インタビュー記事を10日に掲載した。
内容があまりにもあんまりなので書いておく。
第一に、大統領はウクライナの劣勢を認め、これを前提に話を展開しているのである。
おそらく、ロシア軍の夏の攻勢が功を奏しているのだろう。
なんだか、南ベトナムの劣勢と似ている。
ただし、この記事の前提もしっておかないと勘違いするかもしれない。
ポーランドは、この秋に国会選挙が予定されていて、現大統領の与党が苦戦しそうな気配なのである。
ちなみに、現与党はこれまで、「右派(政権)」と評価されているけれど、ワシントンポストは、「ポピュリズム」だと断じている。
一方で、その「右派」を追いつめているのが、例によっての「極右政党」(ナショナリスト)の躍進なのだ。
つまり、いまのポーランド大統領・政権は、大衆受けする選挙対策を打たないといけない、という切羽詰まった状況がある。
そのための「戦争」というのは、過去を振り返れば、「セオリー」だといえる。
そして、この大統領は、ワシントンポストのインタビューで、いまウクライナを徹底的に支援すれば、「ロシア帝国主義」を安いコストで止めることができるけど、そうでなければ高い代償を支払うことになる、と「損得勘定」を述べていることに注目したい。
なんだか、『吉田ドクトリン』なる後付けで、アメリカ軍に守ってもらえば、国防コストが安くつく、という「戦後のわが国固有の論理」と結びつくのである。
ここで、わが国の事情というよりもアメリカの軍産複合体が仕込んでいる技術をいうと、あたかも、わが国を代表する建機メーカー「コマツ」の上をいくのが、アメリカ製の武器群なのである。
「コマツの建機」には、すべて衛星通信システムが搭載されていて、エンジン始動やらなにやらのデータがすべて本社に送信される体系を構築した。
どんな僻地でも、故障する「前に」メンテ部隊がやってきて、修理してしまうのはこのためで、エリアごとの機械稼働率から、ご当地の建設需要を把握して、それがまた自社の生産計画にまで反映させている。
これを悪用したのがアメリカの軍産複合体だ。
アメリカ(政府やDS)に従わなかったら、購入した何兆円分ものアメリカ製武器やら戦闘機やらイージス艦が、「稼働しなくなる」のである。
このことが、アメリカ製の兵器を外国に販売する条件だから、自動的に「同盟国」にしか売らないのだけれども、それはまた一方で、脅迫システムのうちに成り立っている「同盟」なのである。
これゆえに、よしんば政権交替があって、何党が政権をになっても、ビクともしない日米同盟の基礎をなしているので、もはや対等の同盟ではなく、たんなる「隷属」関係にすぎない。
「敗戦」は、継続しているのだ。
さらに、ポーランド大統領がいう、「損得勘定」とは、価値形成の最低レベルなのだと、博学の伊藤貫氏が指摘している。
最上位は、哲学や宗教的な価値観による判断。
二番目は、学術的な見解による判断。
最低なのが、目先の損得勘定。
この意味で、わが国の「戦後史」とは、目先の損得勘定でしか価値判断をしてこなかったことがわかるし、その「末路としての現在」があるのである。
まことに示唆に富む発言を、ポーランドのポピュリストが身を以て教えてくれたことに、感謝しないといけないところだが、政権維持のためにポーランド(=NATO)が参戦したら、集団的自衛権を旨とするNATOの条約規定によって、ヨーロッパは全面戦争に突入することとなる。
もちろん、これを後から操っているのが、民主党・バイデン政権だ。
実務を取り仕切るのは、ウクライナ系で悪名高き「戦争屋」のビクトリア・ヌーランドで、いつのまに(7月25日発表)か、国務次官(筆頭:政治担当)から、「国務副長官代行」に昇格していた。
ポーランド大統領がいう、ウクライナとの共同作戦とは、実質、西ウクライナのポーランド併合案なのである。
第一次大戦で独立を果たしたポーランドは、さっそくに西ウクライナを攻めて併合した歴史がある。
その後の第二次大戦で、ナチス・ドイツにポーランドが飲み込まれたから、西ウクライナもドイツ領になったので、大戦末期にナチス本部がここに「疎開」して終戦となったのである。
そのナチスの正統な後継者が、ゼレンスキー政権なのである。
ウクライナ国内の言語構成地域が、西と東で二分されているのは、東のロシア語との境界があるからだ。
そんなわけで、ポーランド人は、西ウクライナの併合が大衆受けするのだ、と与党がかんがえていることの表明なのである。
ただし、これは、「第一次大戦2.0」となる最悪のシナリオだから、目先の選挙対策としてあってはならない、大きな賭に出たともいえる。
これを見越して、ロシア側はプーチン氏の子分、メドベージェフ氏(元大統領)が、ポーランドへウクライナ分割案を提案している。
戦争なんかやめて、さっさと分けちまおう、というのは、ポーラン人へのカウンターパンチになるのか?
こうやって、わが国も分割されるかもしれない、とおもえば、他人事でもなんでもなく、それが国際政治というもので、原因をつくるのはいつでもどこでも、欲に目がくらんだ、DS:軍産複合体のワンパターンなのである。