さまざまな事情があるから、とくだんのつながりはない「偶然」のようにも見えるけれども、どうなのよ?という話題である。
日本では「七夕」の7月7日、英国のボリス・ジョンソン首相が辞任を表明して、大ニュースになった。
ただし、辞めるのは、秋の次期政権が決まるまで、という長丁場になった。
この間は、レームダックだという宣言だ。
その翌日、わが国では安倍元首相への銃撃があった。
参議院通常選挙期間中の惨劇は、国政レベルでの衝撃となったことは事実だ。
ところが、農民一揆が「盛り上がってきている」オランダも、ルッテ政権が今後どうなるものか?という不安定で、その「一揆」が国境を越えてドイツにも波及している。
だから、ドイツの信号機内閣だって、安泰とはぜんぜんいえない。
そんななか、14日には、イタリアのドラギ首相が辞任表明して、これをマッタレッラ大統領が「待った」をかけた。
イタリアの政界は、相変わらずの不安定なので、現政権も連立を組んでいる。
それで、連立政権内のコンテ元首相が、ドラギ政権に内部から圧力を掛けたことが辞任表明のきっかけになったという。
しかし、ドラギ氏とマッタレッラ大統領が、コンテ氏の圧力を逆に排除しようというのだから、複雑なのである。
日本に置き換えたら、安倍内閣にいた麻生元首相が仕掛けたようなものだけど、「自民党内の派閥争い」として認識されるわが国の常識とはちがって、あちらでは、「別の党」が連立している。
なので、公明党の元首相が仕掛けたという形だとおもえばよい。
その公明党にあたる、「五つ星運動」という党内抗争で、追いつめられたのがコンテ氏だったということだ。
なお、この「五つ星運動」という政党名は、「水・エネルギー・開発・環境・交通」からとられたもので、いわゆる「環境サヨク・ポピュリズム政党」である。
ついでにいえば、首相のドラギ氏は、欧州中央銀行(ECB)の前総裁だった人物である。
かんたんにいえば、「ユーロの番人」だったひとで、ウクライナに端を発するエネルギー・インフレへの経済対策が政権運営の最大事になっている。
日銀総裁が首相になったようなものなのだけど、一方で、ドラギ氏は「未接種者」に対して「社会の一部ではない」という強権的態度をとっていた。
このあたりに、元ECB総裁らしい、全体主義の匂いが醸し出される困ったちゃんだった。
国民目線からしたら、両者が共に「自滅」して欲しいところだろう。
こうしてみると、イタリアの政情を作っている、投票する側の国民性が、いまの日本人に似ているのである。
日本が先に選挙を終えたけど、大統領が命じた来週の国会でのドラギ演説で、イタリア議会も解散総選挙になるかもしれないのである。
そんなイタリア半島は「長靴」のハイヒールの対岸にある、アルバニアも、春から続くインフレへの抗議活動が万人単位になっていて、東隣国マケドニアの先にあるブルガリアでは、昨年の1年だけで解散総選挙を3回もやったけど、今年も秋口に解散総選挙になりそうな気配なのだ。
15日には、バルト三国のエストニアの女性首相が辞任した。
現在の連立を解消して、別の党と連立するためだという。
ここも、インフレ率で「ユーロ圏内最高」の年率22%になっている。
ちなみに、エストニアの「電子政府」は、日本の比ではない普及になっている。
アジアに目を向ければ、スリランカの状態は既に書いた。
4月のパキスタンでの政変は、軍が背後にいることが判明したから、もしやこれから物騒な展開になるやもしれぬ。
そんなわけで、世界のトレンドが「政変」になっている。
その「通奏低音」に、エネルギー資源確保と価格高騰の問題がある。
現代世界の「生活経済」が、エネルギー資源抜きに成立しないからだ。
こんな世界の状況のなかで、13日、東京地裁は「株主代表訴訟」での、原告側勝訴として、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する、当時の経営者たち個人に13兆円の賠償金を会社に支払うよう命じた。
各国の政変と、一国の中の一企業とでは、比較のしようがないように見えるけれども、「相似形」なのである。
要は、政治家の責任が世界で問われ出している。
わが国では、経営者が経営責任を認定された、というレベルになった。
原発をつくったことの政治責任は、本来ならば政治家が負うべきものだ。
さて、エネルギー資源の不足と高騰の問題は、わが国ではこれからやってくるようになっている。
その「遅効」の仕組みは、政府による業界管理にある。
しかし、間もなくこれが限界点をむかえて、国民生活を襲うのだ。
すると、そもそもは、アメリカ民主党バイデン政権(国際資本擁護)による、愚策に原因がある。
これに「与した」各国で、政変が起きているのである。
本家本元は、11月の中間選挙で、「政変」が起きるから、共和党大勝利のアメリカで、どんな「修正」がされるのか?
これがまた、世界各国に「政変」を起こすにちがいない。