以下は、国内に限った話なのであらかじめご承知おきを。
緊急事態宣言とは、『新型インフルエンザ等対策特別措置法』の「等」にあたる「新型コロナウイルス」に対する措置として、内閣総理大臣が「宣言」すると、大幅に都道府県知事へ権限が委譲されることになるものだ。
この権限を、市町村長にもよこせと知事たちが「経済再生担当大臣」に要求している。
すっかり、この病気の「担当大臣」になった感があるけれど、緊急事態宣言を出すのは内閣総理大臣であるし、内閣は国会に報告の義務を負っている。
以上の文から、問題点が3つ出てくる。
・前回の緊急事態宣言と終息宣言の期間と終わってからの今までについて
・地方自治法における知事の権限と市町村長の権限の曖昧さについて
・そもそもの「病気蔓延の根拠」が不明なことについて放置されていること
3番目の「そもそも」が、一番の問題である。
「病気蔓延の根拠」とは、ふつうは「患者数」のことをいう。
もちろん、「患者」とは、「発症して医師から当該の感染症だと診断をうけたひと」を指す。
これが、厳密に行われなければならないのは、社会に広がる病気の蔓延について識ることができる唯一の方法だからである。
その仕組みは、従来のインフルエンザと同じで、現場の医療機関が「診断」した報告が地元保健所に届き、これを地方上部機関がとりまとめ、さらに国ベースでとりまとめるのである。
もちろん、現場の医療機関には「報告義務」があるから成立している。
今回の場合、この仕組みが無視され、なぜか「PCR検査」による、「感染者」を根拠にしてしまっている。
これが、感染症に対して、「意図的」で「悪質」な方法であるのは以下の2点がある。
・感染がはじまった初期の頃、今回のウィルスの遺伝子解析ができていないのに「PCR検査」を基準として、「陰性」と「陽性」の混乱が起きた。
・遺伝子解析ができた後の「PCR検査」の精度は向上したが、「感染」の概念が曖昧なまま放置されている。
特に後者には重要な問題があって、一般に細胞にウィルスが付着した「だけ」の状態を「感染とはいわない」のに、最新のPCR検査では「陽性」になってしまうのだ。
したがって、発症もしていないひとを「隔離する」という、過剰なことが行われている。
人間が発症に要する、ウィルスの数は10万個とも100万個ともいわれているけど、付着しただけの状態では自然免疫が働きだすので、その後の攻撃で何事もなく済む場合だってある。
もちろん、本人も自分の体内でなにが起きているのを知る由もないままだ。
これだけのウィルスが、細胞に付着したあと、細胞に侵入し増殖を開始したとき「感染」という。
しかも、PCR検査を実施するひとたちをどうやって選んでいるのか?という問題もある。
たとえば、豊島区はローラー作戦、新宿区は夜の街作戦という違いがある。
よって、感染者「数」の数字だけをみても意味はないし、検査数との比率も公表されていない。
夜の街の一部で、積極的にPCR検査を受けるひとがいるというのは、新宿区が「陽性者=感染者」と決めつけて、10万円の見舞金を支給するからである。
さらに、「陽性者=感染者」がその後どのくらいの数と比率で、「発症した」のかも発表されていないし、それから重篤化したのかもわからない。
つまり、「砂上の楼閣」、あるいは「幻(まぼろし)」なのである。
われわれの社会は、幻を見て大騒ぎしている。
今般の知事たちの要請が、さもありなんと思えるのは、冒頭の問題点の2番目、地方自治法における知事と市町村長の権限の曖昧さという点である。
法律に曖昧さがあるなら、これを放置しているのは「国会の怠慢」なのだが、三権分立をしていないわが国では、総務省の役人の怠慢となっている。
でも、ぜんぜん「怠慢」なのではなく、その方が総務省の役人にとって都合がいいからである。
そこに、介入の余地ができるからだ。
こうして、総務省の役人は、全国の「自治体」という組織から「自治」を骨抜きにして、命令できるのである。
冒頭の問題点の1番目は、緊急事態宣言発令中よりも、解除された後の方が「厳しい強制」になっていることだ。
終息解除となれば、知事に与えられた権限もなくなるはずなのに、おおくの知事はこれを返上しなかった。
少なくても、『新型インフルエンザ等対策特別措置法』に「違反」している。
ましてや、「県からの指示」と称して、店内マスク着用義務なぞは、「憲法違反」の誹りを免れない。
これを、三権分立していないわが国の「司法」は、やっぱり「無関心」を装って、なにもしないのである。
最後の砦、裁判所の無作為は、犯罪的なのである。
そんなわけで、権限を返さない知事たちを叱るでもない担当大臣は、盗人に追い銭のごとく市町村長にも権限をよこせと追求されているの「図」なのである。
「命令できる」って、こんな気持のいいことはない。
もはや、国民も市民も憲法もない。
だから、国会も「報告待ち」でぜんぜん攻めないどころか他人事だ。
司法の堕落は国会よりも悪質かもしれないのは、「国民生活の自由を奪う緊急事態宣言は憲法違反の可能性がある」とひと言いえばすむからである。
香港よりも酷い国にわれわれは住んでいる。
なるほど、香港人の移住先に選ばれない理由がこれだ。