山陽新幹線の観光放送

数年ぶりの広島出張.更新も数日ぶりだ.
これは,同時にひさしぶりの山陽新幹線に乗ることを意味する.

新横浜から出発した「行き」は,とくになにごともなく広島に到着したが,広島始発の「帰り」に,へんな放送があった.
岡山後楽園,姫路城,淡路大橋.
姫路城にいたっては,◯◯時頃にみえてくると,予告放送までしていた.
後楽園はその面積,姫路城は高さ,淡路大橋は高さと長さを説明していた.

なぜ,「行き」には放送しなかったのか?
JR西日本のサービスの「ムラ」なのか?
そして,なによりも不思議なのは,車掌さんの生声放送で,日本語だけの案内なのだ.
なぜ,英語その他の外国語で放送しないのか?

むかし,時速220km運転を自慢していた時期,客席とデッキの境の通路ドア上にスピードメーターがついていて,220km運転になると,「ただいま時速220kmです」というアナウンスがあったが,これも車掌さんの生声で英語の放送はなかったと記憶する.(本当はどうだったのか?)

それから,各車両に電光掲示板がつくと,ながいトンネルや鉄橋がちかづくとその説明がながれた.これは日英併記だったと記憶がある.
詳しいことは,「鉄道ファン」におまかせするとして,いつのころからか,「広告」と「ニュース」がメインになった.

ところが,ここでも外国語表示は到着まぢかの「駅名」ばかりである.通過駅の案内は日本語表記のみだ.外国人こそ,いま通過した駅がどこか知りたいのではないか?
そうやって,自分がどこにいるのかと,地図と車窓の景色をくらべるものだ.
鉄道会社が,旅情を理解しないのは,うそのようなナンセンスである,
その証拠が,土地土地の歴史や文化を無視してはばからないコンクリートとガラスの駅舎である.
地元観光協会は,本当にこれらを「歓迎」していたのか?と,いまさらそのセンスをうたがう.
はるばるやってきた駅舎を背景に,記念写真をとる気がうせる.

JR西日本のすごさは,トンネルがおおい山陽新幹線でも,通信が切れない自社「SIMカード」の案内を日英併記しているのだ.きっと列車無線回線をつかっているのだろう.
そんなに外国人は,毎日のように山陽新幹線を往復していて,新幹線滞在時間が長いのか?といいたくなるが,要は「広告」なのだ.

つまり,かなりうがった見方だが,広告に占拠された電光掲示板に対抗した車掌さんが,あふれるサービス精神のやむにやまれぬ事情からでた,「フライング」だったかもしれない.
個人客として,この「仮説」を証明することはできないから,バカといわれようが気になるのである.

むかし,渥美清が寅さんシリーズがはじまる前に主演した,「喜劇急行列車」の車掌さんをおもいだす.

この映画の佐久間良子演じるヒロインよりも,食堂車のウェイトレスの大原麗子,それよりも主人公の女房役,楠トシエが気になるのはわたしだけなのだろうか?彼女は,にっぽんのお母さんを代表していた.
ちなみに,主人公渥美の後輩役が関敬六だった,
 
渥美の車掌さんは,もしかしたら現実とファンタジーのギリギリだったろう.
今回の車掌さんは,現実である.
しかし,「会社」からなんていわれるのだろう?

こういうひとの「想い」をくめない会社こそ,ため息の対象であると,わたしの「妄想」はつきない.

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