誰にでも起きる「高齢化=老化」なのに、いわゆる「商品レビュー」に、高齢者向けの紹介が「健康」やらに偏向している。
知的生産性を高めたい、という「悪あがき」をする還暦超えの高齢者は多かろうに。
もちろん、ちゃんと「先は見えている」けど、死ぬまでにしっておきたいことは、若いときより山ほどあるのだ。
自分がほとんど無教養で生きてきたことへのガッカリを、すこしでも取り戻しておきたいのと、残り時間をかんがえたときの「焦り」ともいえる気分がわいてきて、最低でも「良書」を少しでも読んでおきたいのだ。
ところが、若いときとちがって、「目」もすぐに「眼精疲労」を起こすし、そもそも集中力が続かなくなっていることすら自覚する。
だからこそ、「道具にこだわりたい」のだけど、その手の情報が「健常者向き」ばかりで不満なのである。
ここでいう「道具」とは、電子書籍リーダーのためのガジェットである。
たとえば、いま開催中のアマゾンの「ブラックフライデー・セール」では、めったにないアップル社の「iPad mini 6」という現役製品が、14%引きという「破格」で販売されていて、とうとう「売り切れ」になった。
レビュアーのほとんどが、その「絶妙な大きさ」を絶賛しているけれども、残念ながら、わたしの用途では使い物にならないほど「小さい」のだ。
重いのは承知で、12.9インチを持ち歩くのは、10インチクラスでもやや不満の大きさだからである。
「読むだけ」ならば、10インチクラスでちょうどいい。
しかし、「メモ」を書いたりしたくなるような「作品」を相手にして、比較的長時間を覚悟する場合には、確実に眼精疲労からの肩こりがやってくる。
もちろん、iPadで読書をするときには、画面は白黒反転させて、黒地に白文字にしないといけない。
ただし、対象が小説ならば、「kindle paperwhite」でもよくて、付箋やマーカーをして、あとからリストを「Evernote」に飛ばしている。
やっぱり、E-inkの「目に優しい」特徴が、棄てがたいのだ。
これは、iPadに対する唯一の不満で、読書ノートをつくるときに、どうしても「目にくる」からである。
それで、完全PDFに特化したE-ink電子ノート、「クアデルノA4型」を購入した。
快適なのは当然だけど、どうしても機能がシンプルすぎる。
たとえば、手書き検索機能も中途半端で、特定の記号などの検索は可能だけど、文字検索はできない。
iPadの定番アプリ、「GoodNotes 5」に搭載されている当然の機能がないのだ。
しかも、「GoodNotes 5」なら、ファイルを超えて串刺し検索ができる。
また、横書きの論文などの文書を「読む」には、iPadだと、「LiquidText」がある。
Windows版も出たけれど、やっぱりiPadで使うのがいい。
これは、本文の横や下にワークスペースがあって、ここに、マークしたい本文を付箋のようにコピーできて、関連・類似したもの同士を「接着」できる。
それで、マインドマップ状にも表示させることができるので、全体の論理構造が整理できるのである。
これをまた、PDFとして保存もできる。
ただし、日本語のような縦書き文書には馴染まないのが残念だ。
この手のものは、電子化した文書ならぜんぶ対象になるから、電子書籍だけが読めるという限定はない。
とくに、電子書籍だと、PDF化して、さらに、OCR処理をすれば、本文の検索も可能にするのが、スクリーンショットでできるという分、楽だ。
紙の本の場合は、「自炊」が必要という手間がかかる。
こうやって、加工したものを、上述した「GoodNotes 5」とか、「LiquidText」とかの、PDFビューワーで表示させれば、「読書」がだんぜんはかどるのである。
くわえて、原文が外国語でも、iPadに標準装備されている、アップル社純正読書アプリ、「Books」にOCR処理をしたPDFとして読み込むと、選択した範囲の「翻訳」をしてくれる。
これは、探すとでてくる日本語翻訳がされていない作者の場合、とてつもなく便利で知的生産性を向上させる、まさに今様の画期なのだ。
あんがいと、ご当地で有名なのに日本語になっていないひとの作品はたくさんある。
そんなわけで、いまのところ「最強」なのは、「iPad」なのである。
しかして、「挑戦者」がでてきた。
明日、30日発売の「Kindle Scribe」が、レビュアーたちによってこれからの話題になるにちがいない。
けれども、知る人ぞ知る、「BOOX」がシリーズ化されていて、こちらは、E-inkアンドロイド・タブレットなのである。
つまり、「Google Play」に対応している汎用性がある。
E-inkは魅力的だけど、わたしの用途でどうなのか?をかんがえると、やっぱり、「E-inkのiPad」がほしいのである。
さいきんのiPadは、どんどん「高度なチップ搭載」に突き進んでいるけれど、そんなものを必要とするアプリがない。
動画編集もしないわたしには、「知的生産性」の基本、「読む」ことと「理解の補助」に徹した、高齢者の目に優しい端末を要求したいのである。