減税に「恐怖」を感じるひとへの恐怖

7日に発足した英トラス政権は、どんな性格の政権なのか?

すくなくとも彼女の経歴を見る限りにおいて、「自由主義経済」を標榜する人物だ。
それで、サッチャー元首相と比べられて、「サッチャー2.0」と呼ばれることには大反発している。

それにしても、国会議員に初当選して10年で首相になったのは、残念ながらわが国の政治風土ではありえないことだろう。
ここにも、わが国の「閉塞感」と、なんでもいいから「当選回数」という指標が無意味でも続く現実を見るのである。

さてそれで、就任前の党首選挙からいっていた「減税」が、蓋を開けたら「歴史的大減税」だったのである。
これには「内外」から、批判が殺到しているように報道されているので、どういうことか?をかんがえてみたい。

まず、これから参考にする「報道」とは、わが国を代表する「経済紙」の記事に基づく。
就任2日後の8日付けで、ロンドン支局の記者が、「識者」にインタビューした記事がある。

ロンドン大キングス・カレッジのアナンド・メノン教授。
このひとは、「EU残留派」とみられるひとで、「ヨーロッパ政治」が専門の先生だ。
すなわち、EU側に重心を置くグローバリストであるけれど、経済学者ではない。

それで、公約の「減税」は小規模にとどめるだろうと「読んで」いる。
なぜならば、大規模な減税はインフレを悪化させ、一段の利上げにつながって国民生活を苦しめるからだと解説している。

これが、「世界のトレンド」になっているらしい。

しかし、エネルギー高騰による生活への圧迫に対応する、「大型の支援策」を打ち出すように訴えているのだ。
これは、わが国政権与党とおなじ発想で、減税はいけないが「補助金バラマキ」は善とする、典型的な富の再配分、すなわち社会主義政策である。

どうしてこんな人物の言質をとったのかしらないが、そこに経済紙としての「編集方針」があることはまちがいない。
つまり、わが国を代表する経済専門紙は、社会主義がお好き、ということだ。

トラス女史が自由主義経済を標榜するのは、ハイエクを背景にしたサッチャー女史と、ミルトン・フリードマンを背景にしたレーガン氏が、英・米揃って「大減税」を実施して、スタグフレーションからの脱却をした「歴史的事実」も考慮の範囲にあるにちがいない。

ちなみに、近年空前の好景気・経済成長を達成した、コロナ前のアメリカは、トランプ氏によるレーガン時代よりも大規模な歴史的減税の効果であったことは、もはやいうまでもない事実だ。

共和党政権がやる「減税」を、民主党政権が中止してむしろ「増税」をすることは、この30年間の「歴史」でもある。
もちろん、バイデン氏の選挙キャンペーンも「増税」だったのである。
これを、「公約通り実施」するところが、アメリカらしい。

しかして、民主党に投票した有権者は、こんどは呆れて共和党へ投票するというわけで、アメリカの有権者はかならず1歩遅れて、損をしてから気づくのである。
わが国は、どんなに搾り取られても我慢して、政権与党を常に大勝させるのは、野党が与党に飲み込まれて、国民の選択の自由を奪われたからだ。

ブレグジットをやったボリスジョンソン氏が、その後はなんだかわからない中途半端さでウダウダしていたのは、ほんとうはグローバル全体主義側に近かったからではないかと疑っている。

とくに、今年1月にやったコロナ対策の「急転換=一切の政府規制の撤廃」は、国際刑事裁判所で被告人になった直後のことだったから、わかりやすいのである。

そんなわけで、「内」の大学教授だけでなく、「外」のアメリカ連邦準備銀行のなかの「アトランタ連銀総裁」が、26日に発言した、英国の大減税案に恐怖を感じる、といって「小規模化に期待」を示した。

根拠は、「内」の教授とおなじだ。

ちなみに、アメリカの中央銀行たる連邦準備制度は、理事7人によっており、その中の「議長」がトップである。
ただし、100%民間銀行なので、利益優先をさせる。
誰の利益かといえば、当然だが「株主利益」のことで、国民の利益ではない。
では誰が株主なのか?それは秘密の大富豪たちである。

それで、理事会の下に「連邦準備銀行」があって、全米に12行がある。
だからこの記事の「アトランタ連銀総裁」とは、「第6地区」を担当しているひとになる。

「総裁」といっても、支店長みたいなものだから、ちょっと地味なのだ。
けれども、本人は、次期連邦準備制度「議長」の筆頭候補になっているから、バイデン政権に阿った可能性が高い。
だとすると、学者出身として、とんだ曲学阿世の徒である。

そんなわけで、やっぱりアメリカ民主党的社会主義が大好きな「偏向報道」をやらかしているのである。

はなしはいったん飛ぶけれど、27日朝刊の「社説」では、イタリアの新政権にEUと仲良くしろと注文をつけている。

むかしは、経済学徒には必読の新聞だったけど、いまはプロパガンダ紙になったので、まじめに読むと脳が腐る。
やっぱり、せいぜい一面の大見出しだけを眺めれば十分な、その瞬間に「古新聞」になるものに落ちぶれた。

きっと、全国の役所が大量購読してくれてなお、政府広報予算がほしいのだろう。

そんなわけで、政権与党に阿って、「財政均衡のための増税はやむなし」、「減税なんてとんでもない」と読者を洗脳するにちがいない。

これがほんとうの「恐怖を感じる」ことなのである。

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