企業売買というビジネスは、なにも会社を丸ごと売買するだけではなくて、大企業の場合は事業単位に分けて売買することのほうがふつうだ。
日本が世界に誇った「家電メーカー」の場合をみれば、いまや「メーカー名」があるからといって、そのメーカーの製品とは限らないという、消費者にはわけのわからないことになっている。
それが、「のれん分け」手法を用いるからである。
江戸時代にもあった、「のれん分け」も、一種の事業売買で、商家や職人の親方が弟子に支店たる店の出店を「許す」ことも、その「のれんの独占利用」という前提からすれば、立派なビジネスなのである。
なので、弟子入りしたいひとは、子供時分から丁稚奉公に入って、仕事を盗むように鍛えられて、一人前が認められたら「のれん分け」される。
こうして、その「のれん」というブランドの事業拡大が、さらなるブランドの拡大のためのエネルギー源になった。
近代の「支店」とちがうのは、オーナーとして同一ブランドを使用するからで、一種の企業連合を形成するけど、それが「本家」を中心としたものでも、グループ銀行を中核とした「財閥」とはちがう。
あくまでも、実業集団なのである。
5.15事件で有名な海軍士官、三上卓の作という『青年日本の歌』(「昭和維新の歌」ともいう)には、以下の言葉がある。
なお、発表翌年の昭和11年に「禁止」されていたものが、いまは右翼の街宣車でがなり立てている。
財閥富を誇れども 社稷(しゃしょく:国家)を思う心なし
ああ人栄え国亡ぶ 盲(めしい)たる民 世に躍る
どうして禁止にできたかといえば、江戸幕府 ⇒ 明治政府 という政府の、妙な遺伝で、内務省が言論を仕切る権限を持っていたからである。
それで、どうして禁止したかといえば、政府転覆と財閥が跋扈する経済体制の変革を謳う歌詞だからだった。
その「財閥解体」は、あろうことか、GHQが指令したので、三上の夢は敗戦によって実現したし、GHQが自由を与えたのでこの歌を再び歌えるようになった。
しかし、それではGHQの意図とは何であったか?を思い起こせば、「日本の弱体化」にほかならない。
これを仕切ったのが、「民政局」で、その指揮官がホイットニー准将と部下のケーディス大佐だった。
彼らの正体は、「共産主義・全体主義者」だということが、公開されている機密公文書から明らかになって、共和党支持のウィロビー少将が率いる参謀第2部(諜報活動、検閲を担当)と対立したことがわかっている。
誤解なきように注意したいのは、あくまでGHQ内での対立であって、日本国を弱体化させるという大方針が曲がったわけではない。
だからあたかも、日本の民主化はホイットニー側の「おかげ」のように扱うのも、プロパガンダで、この点で、「ああ人栄え国亡ぶ 盲(めしい)たる民 世に躍る」ままにされた。
それもこれも、「俺様気質」のマッカーサーを、ホイットニーとケーディスが手もみしてコントロールしていたことが、いまでは判明しているけど。
そんなわけで、世界に冠たる日本の「官僚組織」をそのまま使って、ひそかに社会主義化をさせて、永遠に衰退するための種まきをしていたのである。
しかし、米ソ冷戦と中国の利用というふたつの戦略から、いったん日本経済の発展を黙認した。
冷戦終結によって、日本の役割が世界の工場になって、それから中国の発展に変更させられたのは、いよいよ欧米の伝統的欲望である、大陸利権という果実の刈り取りのためだった。
それで、日本の政治家やらが、ハニー・トラップにかかるのを、アメリカ側も黙認したのである。
それでやっぱり、「ああ人栄え国亡ぶ 盲(めしい)たる民 世に躍る」になって今に至っている。
ところが、三度目の大戦略の変更で、目的が世界共産化の実現となった。
これの道具が、地球環境保護とか、ありもしない温暖化対策になって、京都議定書でもって、わが国の国富が兆円単位でむしり取られることになったけど、「盲(めしい)たる民」は、これを喜ぶようにプロパガンダされたのである。
さて、炭素税という世界共通化されたムーブメントは、当然に世界共産化のためにあるけど、これを仕掛けるのは、前代未聞の大富豪たちだ。
このために、わが国の企業も「SDGs」を掲げないと、貿易取り引きができないようにされている。
つまり、世界は、「SDGsブロック経済」になった。
ために、あたかも経営者に課せられたごとくのイリュージョンとして、二酸化炭素を多量に排出する既存の事業分野から、あたらしい持続可能な事業分野へのシフトが、大富豪たちが出資する傘下あるいは子分のファンドなどの投資家(ものをいう株主)によって実施されている。
しかし、あたらしい持続可能な事業分野とは、物理・化学的に持続できない事業分野を意味するから、共産主義者がいったんやる世界貧困化で、「盲(めしい)たる民」をして、政府依存にさせるのである。
日本が世界で唯一、この30年間、経済成長せずに賃金も減ったのは、こうした政策が大成功したからで、失敗ではないし、国民は政府依存をふつうのことだと思うようになったのも、思惑通りの大成功なのである。
それに、大富豪たちはあくまでもがめついから、二酸化炭素を多量に排出するこれまで確実に儲かってきた事業分野が、これからも儲かり続けることをしっている。
こうした事業分野を、安く買うためには「評価額」を下げればいい。
それが、手段としての決め手が「炭素税」なのだ。
大富豪たちが出資するファンドとかが、二酸化炭素を多量に排出する事業を、買いたたいて購入して、「ああ人栄え 国亡ぶ」ことを目指している。
この歌詞でいう「人」とは、大富豪たちだけのことで、奴隷たる一般人は、当然に非人扱いだという意味なので念のため。
そうやって、買収が完結したら、今度は炭素税を軽減させればもっと儲かる。
いつでもどこでも、「盲(めしい)たる民」は、痛めつけられることになっている。