読解力の訓練には、「国語ドリル」

ホスト界で、「軍神」と呼ばれているという、心湊一希(みなと いつき)氏は、自らが売上1億円を突破する一流ホストであると同時に、新人ホストの教育研修企業の代表・講師として、おそるべき成果をたたき出すことでしられる、という。

銀座の名物ママは、教養人として書いたことがあるから、ホストも同様に教養人でないとつとまらないのはよくわかる。

ただ、私には縁が薄い場所なので、詳しくはしらない。

教養人ということには、二面性があって、ひとつは自身の教養のことで、もうひとつは、客側の都合に合わせるための教養となる。

どちらも不可分だから、一口に、「教養」というけれど、性格のちがう教養だという認識は持っていたほうがいい。

前者は、自分のためのもので、後者は、他人のためのものだ。

いわゆる、「水商売」とは、基本的に、「接客業」にあたる。
この、「接客業」というものは、拡大解釈すると、たいへん広大な範囲となるのは、あらゆるビジネスの取引が、結局は人間を相手にするからである。

世にいう、「接待」も、自分の本業がなんであれ、取引先を接客することと何ら変わらない。

たとえば、ゴルフでの接待でも、名人級のひとがいるのは、接待相手の事前研究を怠らなかった成果としてあらわれるのである。

これを接待される側が気づくか、そうでないかを、じつは接待する側は観察している。

経費をかけて、接待するのだから目先の取引にとらわれることもあるだろうけど、長い関係構築が最終的な目的になるはずなので、カネをムダにしない接待のためには、相手をみることは必須である。
当然だが、今回は接待される側も、相手はちがえども接待する側になるときに、これがないとただのお遊びになってしまう。

だから、接待上手な企業は永続できる可能性があるが、そうでないと脆い企業体だと判断されかねないのが、ビジネスにおける接待というものだ。

そんなわけで、接待=遊興費と決めつけて、予算削減を命じるだけの経営者は、こうした接待目的をしらずに、ただ会社のカネで遊興してきた職業人生だったのだとしれるのである。

それ故に、銀座やらの高級クラブで締める接待に、わかっている企業人が使う店は、「業界別」の選別をしている。

じつは、業界人トップが集まる特定の店があるのだ。

だからといって、業界人以外がいない、ということではない。
むしろ、ある特定の業界人のトップや幹部とお見知りおきの仲になりたい、といった場合に、こうした店の顔になっていると、ママを介して紹介して貰えるのだ。

昼の時間なら、めったにアポイントメントも取れそうにないひとでも、こうした店なら名刺交換してくれるし、翌日の日中に連絡も許されるのは、ママとの信頼関係があるからである。
だから、一見でママに紹介を依頼しても、そうはいかない。

優秀な営業マンが、昼行灯と揶揄されても、夜の営業に精を出すのは、各クラブのママと双方で、じつはビジネス上の人間関係管理をやっているからで、これの効果で本業での営業成果が出せるのである。

よって、上司はこれを許すばかりか、積極的になるのである。

しかして、人間関係構築には、会話が欠かせない。
これを、冒頭の、「軍神」は、論理的に見抜いている。

それが、「読解力」の強化なのである。

なぜなら、「読解 ⇒ 思考 ⇒ 伝達」というプロセスを必ず経るからだ。
第1ステップの、読解ができないと、次以降のステップ(工程)に進めない。

接客する相手が、主に、ホステスなら男性、ホストなら女性となるので、これらのひとたちがなにを欲しているのか?をまず「読解」しないと、商売としての会話にならない。

どんなに、本人に教養があっても、それをアウトプットすることもできないのである。

ホストという商売が大変だとおもうのは、女心の理解、というわたしにとっての難関・難問があるからで、ただルックスがよくて媚びればいい、というわけにはいかないことにある。

現代のA.I.がまったくできないのが、読解だ。
人間がA.I.を使う側でいる条件が、「読解力を高めること」に尽きるのは、上のプロセスに代わるものがないからである。

逆に、人間がA.I.に使われる分岐点となるのが、「読解力の有無」である。

前に、進学校の授業は、「わかる」を優先させているのではないか?と書いた。
そのひとつの答が、徹底した国語の「読解力」向上のための訓練だった。

中勘助の、『銀の匙』を一冊、年間をかけて詳しく読み込む、ということで、「灘校」を進学校に変貌させたという。

やっぱり、『学習指導要領』に従っていたら、子供はダメになるのだと、読解できた。

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