よくわからないことがいっぺんに重なると、ひとは「あきらめる」という選択をとるものだ。
わるくいえば、「思考停止」である。
複雑なことをかんがえようとすると、気持ち悪くなるのも、脳が拒否しているからである。
それでも、複雑なことをかんがえないといけないときには、慢性病とおなじで、あんがい「転地療法」が効く。
自宅からでて、散歩しながら喫茶店にいってゆったりしながら、かんがえるのである。
散歩の途中でもアイデアが涌いてくるので、ICレコーダーを買ったことがあるけど、すぐにスマホが取って代わった。
喫茶店で、これをヒントにかんがえると、妙にうまくいくことが快感になるから紐付けができる。
こうして、かんがえごとは喫茶店で、というパターンができる。
電源があるカフェをさがすのに、そのまま「電源カフェ」で検索すれば、意外な場所にみつけることができたけど、コロナで閉店もしているから、情報の更新が間に合っていない。
いまのモバイル機器の機能だと、別に電源は必須ではないのだが、電源がないと不安な貧乏性もある。
それで、場所代と電気代を、あたかもコーヒー代としてまとめて支払っている。
だから、喫茶店の経営者は、お客がコーヒーを欲しくてやってくるとおもって経営してはならない。
もっといえば、お客は複雑なことをかんがえに来店するのだ、と。
「AI(人工知能)」が騒がれたのは、コンピュータに仕事を奪われる、という研究が発表されたからであった。
しかし、SF小説や映画にでてくる、人間と同様あるいはそれ以上のAIはできっこない、と解説した本がベストセラーになった。
でも、この本は、けっして「安心」を購入させるものではない。
むしろ、よりリアルな危機を解説しているから、一読をお勧めする。
興味深いのは、コンピュータとは「計算機」だという確認である。
すっかり教育機関になっている、幼稚園でも「数」を習いだす。
小学校にはいれば、すぐに足し算がやってくる。
「オギャー」と生まれて、たった数年で足し算ができるのはすごいことだ。
中学でなんとなく、文系志向と理系志向があらわれて、高校ではクラス分けされる。
文系が理系に、理系が文系に「宗旨変え」のチャンスはめったにないから、この選択が日本人の人生を決めるといっても大袈裟ではない。
外国には、この区別がないことを、もっとしっていていい。
工業社会の人材育成プログラムが、脱工業社会になっても継続していることが、教育問題のなかの「カリキュラム問題」になっている。
この問題が、いつまでたっても解決しないのは、教えられる側ではなくて、教える側の技能がないからである。
それでもって、生徒が数学嫌いになるようにさせている。
定理の証明方法や、計算方法しか教えないから、「つまらない」のだ。
ぶ厚いアメリカの教科書は、「興味を失わせない工夫」の説明に満ちているからぶ厚いのだ。
しかし、テストにでるのは、ぜんぶ数式が書けて計算できる問題しかない。
世の中は、数式に書けないのがほとんどで、よしんば書けても計算できないことにあふれているのだ。
ここに、限界がありつつも、この限界に人類は果敢に挑戦し続けている。
そんなわけで、従来のコンピュータとは「原理が違う」のが、量子コンピュータである。
従来のコンピュータは、トランジスタを極小化して集めた、「集積回路」という技術の細密化が競われてきた。
これには、トランジスタが電気的に作用して、「0」と「1」を表現する電気スイッチの原理が使われている。
よくいう単位の「1ビット」とは、「0と1」の二通りの表現ができるのを基本にしている。
だから、2ビットは、「0・0、0・1、1・0、1・1」という、4つの組合せが表現できる。
ビット数を増やして計算できるのは、トランジスタの組合せによって、「論理回路」をつくれるからだ。
これをもっと組み合わせると、足し算ができるようになって、足し算ができれば掛け算ができる。
しかし、どんどんトランジスタを小さくしたら、「トンネル効果」という物理現象が発生してしまう。
トランジスタのスイッチを切りかえないで、トンネルを通過するように「先の出口」から出てしまうのだ。
そんなわけで、従来型のコンピュータの限界が近づいてきた。
そこで登場したのが量子コンピュータだ。
「量子」とは、光に代表されるように、「粒子」と「波」の二つの性質をもっている。
この性質を利用して、「0と1」を認識するのだ。
従来型と決定的にちがうのは、量子の二つの性質から、同時に並列的な計算ができるため、原理的にも、従来型のべき乗根という「超高速」なのである。
スーパー・コンピュータで数万年かかるものを数百秒で終える。
さて、どんな数式を書いて計算させたのかはしらないけど、トランプ陣営の敵を追いこむ正確な作戦は、量子コンピュータを用いている、という「うわさ」が出てきた。
あらゆる可能性の「確率計算」をやっている、と。
ほんとうなのか?
SFマニアの作り話なのか?
UFOの機密情報も公開するというから、そのうちわかるだろう。