マスクで殺人事件

わが国では「ありえない」事件ではある。

アメリカで、ショッピングセンターにやってきた女性客が、マスク着用を「していなかった」ため、警備員が入口で注意したところ、引き返した客の亭主がこの警備員に、「よくも俺の女房に恥をかかせたな」といって、その友人がピストルで警備員を射殺してしまったのだ。

この一部始終を、防犯カメラがとらえていた。
まことに、おそろしい事件だ。

たかが「マスク」が、こんなことになったのは、他人から強要されることへの拒否反応である。
もちろん、重罪をおかした犯人たちを擁護するつもりは毛頭ないが、「動悸」はこれだろうとおもう。

事件は、ミシガン州で発生した。
ミシガン州はどういう州かといえば、中西部の五大湖地域なので、自動車の街としてしられ、近年では「破産した」ことでも有名になった「デトロイト市」がある。

また、ラストベルト(Rust Belt)といわれる地域で、Rustとは「錆」のこと、すなわち「錆びついた古い工業地帯」という意味である。ニューヨークにまでつづく帯状の工業地帯をいうが、大統領選挙における重要地域となっているのは、人口のおおさにも起因する。

今年は、その大統領選挙の年だ。

アメリカ合衆国は、「青い州」と「赤い州」がある。
「青」は民主党、「赤」は共和党を象徴している。
共産主義の「赤」ではなく、その真逆であるのがアメリカらしい。

アメリカ全土でみると、アメリカ人は民主党支持者が多数を占める国だ。
しかし、大統領選挙は、選挙人を選ぶ方式ながら、得票数ではなく選挙人の「総取り」がルールなので、支持者数がすくない共和党からでも大統領が誕生するのである。

民主党は、日本でいう「リベラル派」のことを指すが、あちらで「リベラル」とは、「リバタリアン(自由主義者)=共和党支持」のことになるから表現として真逆になる。
つまり、わが国で「左派=リベラル」という表現が、まったく矛盾した用語として通用するので、なんだか変なことになるのである。

民主党員ではないのに、民主党の大統領候補をえらぶ今回の「予備選挙」も前回同様に最後までがんばった、サンダース上院議員は、アメリカでは「極左」と呼ばれるように、いろんな「無償」を政策として繰り出している。

高齢なるサンダース氏の最大支持層が、大学生を中心にした若者であるのは、大学授業料の「無償化」が大受けしているからである。
日本の大学授業料は、文部科学省の助成金のおかげで、「無償化」まではいっていないが、すでにアメリカと比較すれば、比較にならないほどの「安価」にて提供されている。

しかも、日本には私立高校の授業料を「無償化」するという政策まであるから、アメリカ人にとってわが国は、とっくに「極左」が支配する国になっている。
もちろん、「オバマ・ケア」という、ゆるゆるの国民皆保険制度だって、トランプ政権発足後すぐに破棄されたから、アメリカには日本的「社会保障」が存在しない。

そんなわけで、わが国に尺度をおけば、アメリカの左派=民主党のなかからもはみ出す「極左」のサンダース氏より、もっと左がわが国「与党」という位置にあることを、すくなくても日本人はしっておくべきである。

40年前のかつて、イギリス保守党のサッチャー・共和党のレーガン両巨頭コンビに、中曽根康弘氏が「仲間」としてからんだけれど、なんだか「違和感」があったのは、日本で「タカ派」といわれた中曽根氏すら「左派」にみえたからである。つまり、「ニセモノ」だ。

いま、共和党トランプ氏と安倍氏をみても、なんだかかみ合わないのは、やっぱり日本で「保守=右派」とみられる安倍氏が、ぜんぜん「保守」ではなくて、アメリカ的には「極左」に位置することの違和感であろう。

さて事件がおきた、ミシガン州は、現在の州知事が「民主党」なのである。
近年は、ずっと「共和党」の知事だったが、民主党が奪還したばかりだ。

アメリカ合衆国を表記する漢字は、「州」なのか「衆」なのか?
建国の理念からすれば「衆」だけど、統治の実際からすれば「州」であって、「合州国」の方がしっくりくるのは、「連邦制」であるからだ。

すなわち、「州」とはいえども「国扱い」だから、州ごとに憲法もあるし「州兵」という軍も保持している。よって、「州」によって税制もちがう。
だから、州知事というのは、わが国の都道府県知事が到底及ばない、大統領的な権限を有していることもしっていないといけない。

いま、民主党知事の州はどこも、強制をともなう「自宅待機」を打ち出しているので、ミシガン州だってもれなくその政策が実行された、という社会的条件がある。
そして、その「期間延長」が議論された4月30日には、「反対」の住民たちが議会にライフルを持ちこんで「抗議」しても、知事は「知事令」に署名したのだ。

ちなみに、議事堂にライフルを持ちこめるのは、合衆国憲法修正条項に、銃保持の権利が保障されているからである。
とはいえ、むやみに発砲してよいことにはならない。

そんな中での、「事件発生」なのである。
だから、単純な殺人事件ではなく、みようによってはおそろしく政治的なのである。

なお、イリノイ州やウィスコンシン州では外出規制に反対する共和党議員が規制の緩和・撤廃を求めて相次ぎ提訴しているから、ミシガン州でも提訴があるかもしれない。

殺人は、まったく許される行為ではないが、アメリカの議員たちは「働いている」のである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください