国家的詐欺の太陽光発電

FIT(固定価格買い取り制度)という国の制度をご存じだろうか?
太陽光発電や風力,バイオマスなどといった「再生可能エナルギー」(おおくは発電効率がわるいが,なんとなく「クリーン」とされる)を,無理クリに普及させようとして,電力会社に「命令」し国が勝手に決めた金額で買い取らせる仕組みだ.

経済学でいう,典型的な「政府の介入」である.
「政府の介入」が,経済活動に「よい」効果をあたえることは,めったにないことでもしられているから,このはなしにもよいことはない.

このブログで何度も「政府の無能」を指摘してきたが,またまたその「無能」どころか「大迷惑」が報道された.
2020年代なかばまでに,太陽光発電でえた電力の買い取り価格を現在の「半分以下」にする,と勝手に決めたという内容だ.

これは,太陽光発電パネルを設置した家庭にも波及するから,発電業者だけがこまるという問題ではない.
すでに,発電事業は大量倒産の時代になっている.
FITという制度は,かつての全体主義同盟国ドイツではじめたのを真似たもので,2012年からスタートしたものだ.要は,たかだか6年しかもたなかった.

愚民化された国民は,どのくらいこのニュースを鼻で笑っているかしらないが,パネルを設置した家庭が損するから「ざまーみろ」ということではない.
強制的に高く買わされた電力会社が,それでは困るといって泣きついたら,政府が「まぁまかせろ」といって,その高い分を電力料金に乗っけて全国民の負担にした.

今回の決定は,その国民負担の軽減になるから,ありがたいと思え,という意味だ.

この雑なやりかたは,典型的な「プロダクトアウト」の発想だから,まったくもって19世紀・20世紀型である.
政治の貧困が,おそろしくふるい体質の政府を変えることができなどころか,強化している.

これに「反抗」したのか?それとも何なのか?さっぱりわからないが,神奈川県が太陽光発電パネルの普及を後押しするという報道が,ほとんど同時にやってきた.
黒岩知事とは,政治記者からはじめて立候補したとき,全県を太陽光発電パネルで埋めると公約して当選したら,財源がないのに気がついてすぐさま撤回してしまう感覚の御仁である.

ところで,このたびの北海道地震で,この太陽光発電の問題が別の角度からあきらかになった.
それは、九州だ.
九州では,太陽光発電比率が高い.これが,大規模停電につながるという.
そもそも,太陽光発電は,太陽がでている昼間しか発電できないし,天候に左右されるから不安定だ.
それで,太陽光による発電の不安定な周波数が問題になるという.

つまり,太陽光発電が増えすぎると,供給過剰になって,周波数の不安定から停電を招くというのだ.
系の中にある火力発電所の「出力をさげる」努力にも限界がある.

まるで,いいことづくめの「再生可能エネルギー」にも,アキレス腱があるのだ.
これは,物理の問題だ.
文系が口をはさんでは,かえって問題がこじれる.

現代の文明生活は,電気に依存している.
だから,発電という最初の一歩をまちがえると,おおきな損になる.
その損を負担するのは利用者だから,科学という基準で啓蒙があっていいだろう.

行政のへんな介入が,科学をねじ曲げて,詐欺になる.

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