強制がとまらない

世の中で強制の最たるものといえば「税」である。
これは、資本主義社会がはじまるはるか以前からあった。ときはローマ帝国で、徴税人だったのが「マタイ」である。
当時、もっとも蔑まされた職業であって、なかでもマタイが専門にしたのは最悪といわれた「通行税」だった。

そのマタイを救ったのがイエスで、救われたマタイは「福音書」をかいたのだから、人生とはわからない。

狭い国内に戦国大名がかってにやたらと関所をもうけて、通行税を徴収していたのをやめさせたのは「楽市楽座」をすすめた織田信長で、経済の空前の繁栄を招いた。当時は身ぐるみ剥いだろうから、税とはいっても掠奪だった。

新大陸の植民地は、本国イギリス国王が勝手にきめた「茶葉への課税」が引き金になって独立戦争になり、とうとう植民地が勝利した。
この一件があるから、アメリカ人はいまでも税に敏感である。それは、個人の権利を侵すものだという認識があるからだ。

世界に類をみない高率な税は、江戸時代の百姓に課せられた「五公五民」だ。すなわち税率は50%。人口構成で8割以上だったのが農民という、一大農業国だったわが国は、そんなわけで、税には鈍感である。

なぜか?いまやこの率に近づきつつあり、高齢者をささえる現役の負担率は最大75%になるという予測もある。
水呑百姓よりも貧乏になる?いや、その前に暴動でしょう。

消費税を上げるのか、そのままなのか、それとも下げるのか?
卑しくなった国民は、賛成派と反対派、自分ではわからない派の三つにわかれている。

あんがいおおい賛成派の下心は、年金がもらえる(かもしれない)、というちんけなはなしで、人類史上公的年金で悠々自適の老後生活ができたことなど一度もないのに、それを信じるという、マタイもおどろくだろう盲目的信仰がこの国を覆っている。

国家が窒息しそうなのに、自分の年金だけが将来の楽しみだといえるのは、学校にいったことがない未開のジャングルに暮らすひとには、なんのことだかさっぱりわからないだろう。

それでも、きっと東大を出たひとたちは、入ったときより優秀なはずだから、大丈夫という財務官僚を信じていれば、きっとなんとかしてくれるはずである。

無力でかわいそうな子羊ならぬ、百姓のひ孫たちは、御上さえ信じていればいいという、江戸時代にバック・トゥ・ザ・フューチャーしてしまった。

トランプ大統領から「ホルムズ海峡」は自分で防衛しろといわれて、あわてて官房長官が記者会見しているけれど、石油がどこからどうやって運ばれてくるのかわからないひとたちが、内閣不信任案を出すという。

いっそ解散して、こんな輩を三原じゅん子のように一喝したいが、そんなことを選挙でやったら、またぞろどーしょうもない自民党が勝つしかない。
いったい野党のひとたちは、どんなマーケティングをしているのだろうか?

再生可能エネルギーなるペテンも、ここにきてようやく破たんしてくれそうだ。電気代だって、21世紀の生活では税金のようなものだが、政府がたくらんだ高コストを、われわれ国民が「特別徴収」されている。
毎月の伝票をよく見れば、理解不能の請求がしっかり加算されている。

それでも飽きずに、レジ袋を強制的に有料化するというから、これも税金とおなじではないか。

下がるものがなくて、強制的に上がるものばかりで、意図的に消費経済を縮小させるアベノミクスとは、いったいぜんたいなんなのか?苗字がついてる本人も、わかっているはずがない。

大義名分があれば何でもできると、「チバニアン」の現場では、やっぱり地元の市原市がへんな条例をつくるらしい。
あいかわらず、報道機関は、どうして市が収容しようとした土地について、強固に地主が反対したのかの経緯を伝えない。

きっと地元の記者はしっているのだろうが、それをいうと、「チバニアン」の発見がすっ飛ぶほどのスキャンダルになるからいわないのだろう。
だったら、はやく記者などやめて、べつの職業についたほうが、こころの平安になる。

「学術」のためなら、他人の土地に強制的に立ち入ってよい、という不道徳が、この一箇所でおわると思ってはいけない。
「前例」こそが、役人の真骨頂なのである。
ふるくはこれを「有職故実」とみやびに呼んだが、いまならたんなる「前例」だ。

学術という「みんなのため」、世界登録というなんだかしらないが「名誉のため」、あなたの土地に他人が勝手に侵入しても、あなたは文句もいえない。
所有権の絶対が、平気に無視されるのは、憲法違反と同時に資本主義以前の時代への回帰である。

まさに、ファシズム、全体主義のはじまりである。

まともな「経済」の知識があれば、日本経済の60%以上が消費者の消費によっていることをみれば、「楽市楽座」がもっとも重要な施策なのである。この真逆をやりつづける発想はどこからくるのか?

財務省の管轄する、国家財政だけを守る。
これこそが、日本経済沈没の原因であり結果なのだ。

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