「野村佃煮」民事再生にひと言

この店のファンとしてのひと言である。

京都、錦市場にあって、東京なら「根津神社入り口」信号の横にあったお店には何度もいっては購入していたのが、「混ぜご飯の素」だった。

炊きたてのご飯に混ぜるだけで、贅沢な混ぜご飯が簡単に作れるのはまさにわが家の「生活の彩り」となっていたからである。

そんなわけで、過日、春の陽気の中、根津神社入り口に、「菜の花ごはんの素」でも買おうかといったら、看板ごとなくなっているので呆然とした。

その場で検索したら、先月13日に民事再生法申請をして、同日、保全・監督命令を受けたという記事がでてきてなお驚いたのである。

かんたんにいえば、倒産である。

あくまでも、この店の味が好きだったファンの声として書いておく。

報道記事によると、創業は1931年(昭和6年)で、2012年には売上高の最高記録、約50億5100万円をあげていたという。
ところが、8年後の2020年3月期は売上高が約39億9100万円にとどまり、約9700万円の赤字を計上した、とある。

あっさり、「需要の減少とともに売上が落ち込み」と記載しているが、どうして需要が減少したのか?についての解説はないので、読者が自分でかんがえないといけない。

まず、売上の推移を幾何平均で計算すると、年率にして-3%ほどの減少だったことがわかる。
計算式は、1-(8√(399100÷505100))=0.029

それでか、経営者は積極的に販売店をふやしてとにかく多店舗展開をやったらしい。

おそらく、これがコスト増(配送、在庫、家賃、人件費など)を招いて、約1億円の赤字となったが、それは売上に対して2.4%ほどという赤字率になっている。

最高益のときで黒字がいくらだっかは、記事からは不明だが、売上比でざっと1%から3%の黒字を想定するなら、5000万円から、15000万円ほどの利益がある商売だとおもわれる。

これに、約1億円の赤字を加味すれば、15000万円から25000万円が、あるべき利益よりも少ないことになって、399100万円の売上比では、6.3%ほどの不足という状況が見て取れる。

それで記事は、「2023年頃からは不採算事業からの撤退などにより再建を目指していた」というが、やっぱり経営判断としては10年以上ある時間を無駄にしたし、着手しようにも、おそらくなにが「不採算事業」なのか?ということもわからなかったのではいか?と疑うのは、月次決算を、税理士に任せていたからではないか?とこれまた典型的な例として疑わざるをえないからである。

税理士は、税金の計算(間違いのない適正な納税額の算出)をするだけが商売の「岡っ引き」なので、会社の経理(「経営の理屈」のこと)をみてくれているのではない。

しかし、おおくの経営者(大企業も含む)は、税理士やら会社法上の決算を見てくれる公認会計士が、あたかもその企業の経理を見てくれていると、信じられない脳天気さで信じているのである。

税理士は納税、公認会計士は、会社法上の決算書類の適正さを見ている「だけ」で、その企業の経営の理屈としてのあるべき姿やら対策を語ることはない。
もし希望するなら、別にコンサルタント契約を要求される(別途料金が発生する)のが「筋」なのである。

依頼している税理士本人か、そのスタッフやらに、だいたい中小企業診断士(国は「唯一の経営コンサルタント国家資格」だと自慢する)なる別の岡っ引きがいて、各種補助金の情報を特別ルートで流してこのひとたちの商売を支援しているが、本来なら、商工会やらを通じて全部の情報公開をすべきだが、それを情報統制して料金を奪うようにしているのである。

さらに、中小零細企業になると、社内で独自の会計システムを導入することも、体力的にできないので、経営の理屈がわからない状態で経営している状態が続いている。

もちろん、国際会計基準という投資家のための会計制度を「日本版」と称して、強制したのも、経営者に経営の理屈をわからせるためではなく、投資家がその企業の価値を判断しやすくして、「売買(かっこうを付けて「M&A」といっている)」による売却を外国人投資家に促すための、深遠なる下準備であった。

ようは、日本企業バーゲンセールのための「値札付け」を、当該企業たちに負担してやらせたのである。
アウシュビッツで、自分たちの墓穴を掘らせたごとく、邪悪な発想である。

この意味で、日本経済の役に立ったことがない、経済産業省とその外局たる、中小企業庁が、まったく中小零細企業の経営に貢献しておらず、成功事例の横取りばかりに専念しているのは、見苦しい限りだ。

くだらない補助金をばらまくのに主人顔をするのなら、こうしたのんきな経営者に、企業会計を教えながら、そのシステム導入に「だけ」補助金をガンガン使えば、よほど日本経済の発展に貢献するはずなのである。

しかし、そうなると税理士会が文句を言い出すかもしれないので、こんな企業に実利のあることはしないし、A.I.に対抗して税法を複雑で恣意的なものに改変することしかかんがえない。

そうやって、税法は納税者の簡易のためではなくて、徴税者(税務署職員と税理士業)のための保護法に変容しているのは、税務署職員が定年すれば、税理士登録ができるからでもある。

また、公認会計士の出る幕でもないのは、中小零細企業にとっては、会社決算も税理士任せで済むからである。

さてそれで、メインバンクの三井住友銀行は、DIPファイナンスをやるという。

「DIPファイナンス」とは、旧経営陣に経営を引き続き任せる手法である。
Debtor in Possession(占有を継続する債務者)ということだが、これは逆に、三井住友銀行をして、旧経営陣に代わってこの企業の経営ができる人材がいない、ということでもある。

ようは、旧経営陣が旧来の方式を継続させてしまうリスクを、銀行が背負うことになる、ということだ。
そのために、この銀行は、税理士が出す資料をくまなく調べて、旧経営陣を指導すればいいのだという、幻想を抱いていることがわかる。

納税目的の月次決算を、なにが目的の書類か?すらわからない銀行マンが、どこを見て経営指導できるというのか、まったく論理破綻しているのである。

なにがいいたいかといえば、これがわが国の資本主義の中核をなす「銀行」の未成熟さを示しているのである。

資本があっても、経営者がいない。
カネはあっても、人材がいない。

そしてまた、家庭でご飯を炊くことがなくなった社会的な変化の背景も重要な要素なのである。

出来合いの惣菜やらインスタント食品ですませ、存在理由が不明の公共広告機構は、「子供にごはんがない貧困」を宣伝して、共産化をめざす「子ども食堂」への支援を訴えている。

共産党と顧客を奪い合うために犬猿の仲になった、与党の片割れは、なにがなんでも「無料化=税金化」という全体主義化=共産化をやって、共産党に一矢報いたいと画策している。

名前が違うだけなのに、また、拝む対象が違うだけなのに、と思えば、共産党のほうがよほど筋が通っているけれど、その邪悪さについてはおなじなのである。

わが家は「炊き込みご飯の素」が手に入ればいいだけなのだけれど、厳しい会社再建となることは間違いないのである。

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