ハンチントンは予言者なのか?

『文明の衝突』(1996年)が話題になったのは、2001年9月11日の「あのこと」が、まさに「文明の衝突」として評価されて、一斉に拡散したことであった。

しかしながら、ハンチントンは、この事件を、文明の衝突だと認めてはいない。

いまも、この事件の事件性についての調査報道が続いていて、まさかのブッシュ息子ネオコン政権による、自作自演だったのではないのか?との「うわさ」が、真実ではないかということになってきているから、世の中はわからない。

だとすると、これも白人が得意とする、「偽旗作戦」のなかに含まれるから、文明の衝突というよりか、人種の特性、となってしまう。
これがまた、ハンチントンの批判者をしてハンチントンを持ち上げたとすれば、それはそれでまた、「偽旗作戦」だともいえる。

日本人なら、「ほめ殺し」というだろうに。

心にもないことを、あたかも心から発しているのだ、というのは、演劇における演者の特権的な役割であった。
なにしろ、「他人の役」を与えられて、そのひとになりきって演じることを使命とするからである。

すると、観客は、観客の自分だけをもって鑑賞するわけであるから、ここで観客が演じることは要求されないし、だれもやらない。

わたしがポップ系のコンサートが嫌いなのは、自分の気持ちとちがって、会場を盛り上げるあの大衆行動が気持ち悪くていけないからである。

ずいぶん前から、プロ野球でも、応援が強制されるようになって、どっちが勝とうがどうでもよいわたしは、スタジアムに行くのがうざくなったのである。
それでもう、この四半世紀、生でプロ・スポーツ観戦をしたことがない。

シーズン中、電車でもどこでも、お気に入りチームのお気に入り選手のユニフォームを着て歩いているおとなたちをみると、もっと意味不明のハロウィンが流行るのも、おなじ心理なのだろうと推測しながら、子供のままでいたい、という症候群の気持ち悪さだけを感じている。

まぁ、それぞれの勝手だから、黙って横を通りすぎるだけである。

せめておとななら、これが「3S政策」で、そのなかに自分がいる、という認識をもちながら、はじけたらいい。

そんなわけで、ハンチントンの生涯で最後の単著となった、『Who are We?(分断されるアメリカ)』が、現代日本人にも必読といっていいものとなっている。

なんだかアフリカ大陸とアラビア半島が離ればなれになっているように、アメリカでは見えない「人間同士の分断」が進んでいる。
この分断エネルギーの供給源が、共産主義=グローバル全体主義、という思想である。

いま放送中のドラマ、『不適切にもほどがある!』は、80年代の日本と現代を行き来するタイムトラベラーとなったひとたちが織りなす、価値観相違をテーマにしたコメディー作だが、たかだか40年ほどで、かくも価値観に格差が生じているのも、「分断」だといえる。

やはり、そのエネルギー供給源は、アメリからやってくる、共産主義=グローバル全体主義、という思想にほかならない。

おそらく、このドラマの主人公が、現代のロシアに出現したら、驚くほどの「やすらぎ」を得るのかもしれないが、そんなことをTBSが描くはずもなく、その描くはずもないことを期待して観ているのも、妙な「やすらぎ」となっている。

ちなみに、わが家はテレビではなく、「TVer」での視聴をもっぱらとしているけれど、これには、「解説放送版」なるサービスがあって、そのサービスの説明は、「映像に関する説明(出演者の表情、情景描写など)を、副音声によるナレーションで伝える放送サービスです。 この動画は、解説放送のナレーションを通常の音声にミックスしています。」とある。

ドラマのなかの場面展開などについても、解説がないと理解できないひといる、ということなのだろうか?

すると、ハンチントンが書いた著作というよりも、こういったひとたちが、なにを学んでどんなことを理解していたのか?の方がよほど重要なメッセージであって、それもまた、解説をつけないと理解できないひとがいる、ということなのだ。

「愚民化政策」を完璧にやってきたら、その成果は、まんべんなく国民が愚民化して、政治家も官僚も愚民化した。

そうやって、一部の「解説放送」を作るものが支配者なのだというかんがえも、愚民ゆえの発想だから、ハンチントンがいう「分断」とは、愚民による愚民の分断ということになっている。

解説放送は無意味だと、もう、演出家も脚本家もいえないから、原作者が絶望したのだとすれば、完全に「国民教育問題」なのである。

すると、まともな親か、先進的にいきすぎた親は、「自己防衛」として、子供を学校にはやらせないで、自分で教えることしか方法がなくなる。

これがまた分断だとすれば、「文明の崩壊」が、ハンチントンの書くべきことだったのではないだろうか。

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