コロナ前のずいぶん前に、長野県の佐久を訪ねた際に購入した、「五郎兵衛米」というブランド米が忘れられなくて、とうとう農家から直送の契約をするに至った。
籾付きか玄米か白米かが選べるので、「玄米」を選択したのだった。
「食の安全」がいろいろいわれる時代になったのは、マクドナルドのビジネス・モデルを「工業化に成功した」といわれていることにも関係して、食材そのものや加工にあたっての「工業化」が、さまざまな化学物質を使用するに至ったことへの心配を表していることは確かだ。
なので、「安心」と「安全」はぜんぜんちがうと書いた。
栄養価が白米よりもだんぜん高いことはわかっていても、玄米ご飯を炊くのも食べるのも、白米と比べたら腰が引けるのは、食感がおなじ「米」とはおもえないほどにちがうからだ。
もちろん、「うまさ」について白米がだんぜん有利にある。
籾を除いた玄米には、「胚」が付いているので、栄養があるけれど、農薬も付いている。
だから、これをもって「玄米毒」というひともいるので、「栽培方法」が玄米を積極的に食べる場合の決め手となるのである。
それがわが家では「五郎兵衛米」を注文している理由だ。
ところで、日本料理の専門家から、「煎り玄米で出汁をとる」という話を聞いた。
米から出汁が取れるのか?と疑ったけど、なんとちゃんと「うまみ」がでてくるのである。
そのために、玄米は乾煎りする。
強めの中火で鍋をかき回し続けると、パチパチとハゼてくる。
焦げないようして音がなくなったら完成だ。
このまま出来たてをスープ類に投入すれば、中華料理の「おこげ」ようになるし、冷ませばポリポリ食感のおつまみにもなるけれど、この冷めた炒り玄米を水から炊けば、出汁が取れるのである。
もちろん、出し殻を捨てる必要もなく、そのまま食べることができるのも玄米ならではなのである。
玄米茶の旨みは、玄米の旨みそのものとお茶の旨みとのマリアージュなのである。
よって、白米を炊くときに、入り玄米を一緒に投じる(水加減も同量を増やす)と、米を米の出汁で炊くという、すごいことができるのだ。
香ばしいかおりは、もちろん「おこげ」とおなじなので、これだけでも食欲をそそるが、カレー用に炊いたらなんとも美味いのである。