地球における「逃げ場」を探して、いろいろ調べていたら、アゼルバイジャンが浮かび上がってきた。
いっとき、スリランカに「はまった」のだったが、ここはいちおう「どん底」は通過したようだ。
しかし、混迷はまだまだ続くはずなので、目は離せない。
「債務の罠」に、いまさらながら、日本政府が援助を開始しているけれど、これもまた日本政府の意思なのかを疑うのである。
だったら、そうなる前にやるべきことがたくさんあった、からである。
ただし、元々が親日のスリランカ人たちは、「日本愛」を再確認しているというので、なんだかより気の毒になるのである。
そんなわけで、「逃げ場」を探すに当たっての条件は、単純で、気候と親日ぶりのふたつである。
もちろん、経済的な発展過程というのも重要だけど、寒すぎたり暑すぎたりはいまさらの老化した身体にこたえるし、反日のひとたちの中に分け入る気力もないからである。
以上に加えて、「外貨持ちだし規制がない」ことだ。
アゼルバイジャンが候補になるのは、この条件を満たしていることで、なかでも「親日」については、アゼルバイジャン人が「世界一」を自覚しているという。
現代日本人の狭い視野からしたら、そもそもアゼルバイジャンがどこにあるのか?からはじまって、「親日」ならば、第一に「台湾」が浮かぶ。
けれども、戦後日本の「裏切り」は、事情をしっている「元日本人」世代の消滅で風化し、台湾に「反日」の火種が燃える日がきてもおかしくはない。
わたしは、マスコミがいう「親日」演出は、「反日隠し」だとおもっているし、いまの総統の「親日」も「政治パフォーマンス」だと感じている。
このこと(建前と本音)を、「日本人」ならわからないはずもなく、この日本人には「元」も含まれるが、もはや絶滅したのではないか?
そんなわけで、アゼルバイジャンの親日は、確かに「異常」なほどの盛り上がりだ。
古くはモンゴル、20世紀にはソ連に飲み込まれてしまった、トルコ族の「悲哀」が、まるで台湾の「悲哀」のごとくにみえる。
「台湾の悲哀」を最初に書いたのは、当時「国民作家」と一般的評価があった司馬遼太郎が書いた、街道を行くシリーズの『台湾紀行』だった。
これを、さらに詳細に解説したのが、『台湾の主張』だ。
台湾のことを理解しないで、「逃げ場」を探すのは不道徳だということは承知している。
ただ、その台湾と日本が、世界で一番危険な場所になったことでの「逃げ場」探しなのである。
日本人にとっての中央アジアという地帯は、梅棹忠夫が「中洋」と呼んだけど、その中身は「空白」という意味だった。
けれども、資源に恵まれていることで、だんぜん脚光を浴びることになったのである。
地理的位置づけは、大陸国家だけあって、地域によるちがいが大きいが、日本人には住みやすいという。
これもまた、わたしには重要なポイントだ。
アゼルバイジャンの位置は、イランの北西、カスピ海の西にあって、その西の隣国はジョージアとアルメニアだ。
いわゆる「南コーカサス」にあたる。
南北を仕切っているのが、「コーカサス山脈」だ。
アゼルバイジャンは、古来、石油を産出することが有名で、ヒトラーのドイツ軍がこれを、「狙った」が失敗したのが、「対ソ連戦」だった。
人類最初の啓典宗教「ゾロアスター教(拝火教)」の発祥地として、アゼルバイジャンとイラン北部がある。
国名のアゼルバイジャンも、「火の国」という意味で、じっさいに、岩からガスが噴き出して火が燃えている場所が観光地になっている。
ただ、ゾロアスター教徒は分散してしまったようで、現代のアゼルバイジャンは「緩い」イスラム教国だ。
民族的には、ウイグル発祥の「トルコ族」であるけれど、シルクロードの歴史が、混血にした。
面積は北海道よりやや大きく、人口は北海道の約2倍にあたる1000万人だから、スリランカの半分の人口だ。
逆にスリランカの面積は、北海道の8割弱である。
この両国のちがいは、資源の「質」にある。
スリランカは、ダイヤモンドを除くほとんどの「宝石」を産出するが、アゼルバイジャンは「石油と天然ガス」なのである。
スリランカは、26年続いた「内戦」がようやく終結したあとに、「債務の罠」にかかった。
アゼルバイジャンは、カラバフ地方の領有をめぐって、アルメニアとの戦争をソ連崩壊前から2020年までやっていて、いまだにきな臭い。
さいきんでは、イランがちょっかいを出しそうな雰囲気がある。
なんだか、似て非なる状況なのがこの両国なのである。
ただし、石油が背景だから、アゼルバイジャンの経済発展は「世界一レベルの成長率」をたたき出している。
「再生可能エネルギー」という、「イデオロギー」に冒されたヨーロッパは、エネルギー政策で自滅した状態になって、ドイツでは旧石炭火力発電所の再稼働が急ピッチで、英国はそれもできずに「凍死」寸前になっている。
それでも、日本にSDGsをやれというのは、日本人を奴隷扱いしているけれど、これを歓ぶひとたちが多数なのは、補助金狙いの乞食がたくさんいるということだ。
それでもって、BP(ブリティッシュ・ペトロリアム )を中心に、アゼルバイジャンからの石油パイプラインが「命綱」の様相になっているし、世界最大級のガス田も発見されて注目されているのだ。
これらの採掘技術は、だれが提供しているのだろうか?
「宝の山」だと注目されればされるほど、一歩まちがうと「火の中に飛びこむ」ことになりかねない、というリスクがある。
やっぱり、世界に「逃げ場」はないのか?