「文明レベル」という尺度

天文学が示すのは、「天文学的数字」になって、なかなかの「巨数」になる。

そんな数字を日用している天文学者たちがかんがえついたのが、「文明レベル」という尺度で、エネルギーの総量をもとに基準尺度を設けている。

最初に考案したのが、旧ソ連のニコライ・カルダシェフだったので、「カルダシェフ・スケール」という。
オリジナルは、レベル1~3までを定義したが、その後さまざまな研究者によって、レベル0~7までに拡張分類されたという。

それで、『コスモス』(朝日新聞、1980年)で、一世を風靡したカール・セーガン(1934年~1996年)が、レベル間のスケールを算出できる計算式を提案し、現代文明のレベルを評価して「技術的な思春期」と表現した。

セーガンが算出した、1973年時点の人類の文明タイプは「0.7」だった。
なお、2018年時点での計算の答は、「0.73」ほどで、73年より約0.03増えた。

 

「レベル1」にも達しない現代人類の計算だから、この数字の意味はもっと高い「文明レベル」でみて、どうなのか?ともなって議論がループしてしまう。
なので、いったん、0.73という計算結果は受け入れておく。

まず、いま現在の「レベル0文明」の定義とは、居住している惑星の天然資源を活用している状態、のことだ。
その計算式は、1秒あたりのエネルギー総量として、「10^16W以上(10の16乗ワット以上)となる。

この数値を、0.1上げるためには、エネルギー総量を10倍にしないといけない。
つまり、地震のマグニチュードとおなじで、「指数関数」になっている。

原始時代に、人間は「火」を手にいれた。
ギリシャ神話なら、「ヘファイストス」、日本神話なら、イザナミが最後に産んで死因にもなった、「ヒノカグツチ」だ。

このころは、薪を使うだけで、移動手段にも内燃機関は存在しない。
なので、かぎりなく「レベル0文明」となって、いわゆる「泰明期」といっていい。
日本なら、「縄文文明」をイメージすればいい。

上述のように、1973年から2018年までの45年間で、「0.03」増加したことからすれば、「0.1」上がって、「レベル0.8」になるのに、ざっと100年以上かかる計算になる。
すると、我々人類の文明レベルが「1」になるのに、300年ぐらいかかる。

しかしながらその時間数は、人類のうち、日本人が「絶滅」している可能性が高いのだ。

いまの「特殊出生率」は、「1.34」(2020年)になった。
「2.1」ないと、人口は維持できない。
どうして、「2.0」でなく、「0.1」を加算するのかといえば、「早世」があるからである。
乳幼児の死亡率と、若者の場合には、「事故率」があって、無視できない数字なのである。

すると、1.34/2.1は、67/105≒0.64という数字になる。
人口を維持するのに必要な数から、64%レベルでしかない。
つまり、36%分が、足りないから人口は「減少」するのである。

もっと深刻なのは、韓国で、この国は、「0.84」(2020年)と、おそるべき速度で「絶滅」に向かっている。
だが、なにも、悪い例で安心するような話ではない。

ちなみに、アフリカのマリ共和国は、ピークよりやや減ったとはいえ、「6.04」(2020年)だ。

特殊出生率の統計があるのは、1930年(昭和5年)からで、「4.72」だった。
戦後のベビーブームで、「4.54」(1947年:昭和22年)。
戦争直前の1940年(昭和15年)は、やや減って、「4.12」だ。
※いずれも参議院の調査

だいたい「4人兄弟姉妹」だったことがわかる。

すると、「文明レベル」を高めることよりも、「人口レベル」を維持することの困難さの方が問題なのだ。
ましてや、昨今の「脱炭素」とかは、文明レベルすら向上させない。

次の、「文明レベル1=惑星文明」を支えるエネルギー源とは、「核融合」なのである。
つまり、どこにも効率が悪い、「再生可能エネルギー」の存立する余地はない。
これが「持続」できる条件は、「補助金」でしかないからだ。

他人からの補助金がないと成立しないものを、持続可能というのは詐欺だ。
それがいま、社会問題になってきたのは、次の文明に移行するためのハードルなのか?

しかし、核融合が実用化されても、石油が重要な資源なのに変わりはない。
なぜなら、プラスチック(樹脂)の原材料としての、「資源」だからである。
この文明レベルだと、人類は太陽系の惑星間を自由渡航するようになる、というけど、放射線の「太陽風」をどうやって防ぐのか?という難問がある。

なお、医学や薬学の進歩で、人類の寿命が延びる、というけれど、その前に、量子もつれの光明があれば、「生命」とはなにか?が哲学的にも見直されることになる。

このレベルを卒業するのに、ざっと3000年かかるという。

けれども、おそらく、「フクシマの始末」はつかないだろう。

それでもって、ようやく「文明レベル2=恒星文明」ともなれば、太陽を「直接」エネルギー源にするようになるという。

本当だろうか?

そんなことをしたら、地球や太陽系の惑星は、「寒冷化」してしまわないのか?
なんだかやっぱり、「エネルギー保存の法則」が怪しくなるのであった。

ただし、このレベルで、10~100万年後というから、まあいいか、なのである。

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