「決断と実行」されたら困る

街を歩けば、いたるところに「政治ポスター」があるのは、日本的な風景の一部をつくっている。

おおくのひとは、これを、「無意識」に観ているけれども、記憶の深いところにインプット(Input:押し込まれるイメージ)されるので、これをしっている政治家や政党は、ポスター製作に余念がない。

セブンイレブンを成功させた、鈴木敏文氏は、「心理学」をよく研究したひとだった。

これが彼を、カリスマ経営者としたけれど、従業員や加盟店オーナーの心理を読むのに失敗してしまったのが、まさに晩節を穢した話になっている。

残念ながら、江戸期や戦前までの、「商魂」が、なんだか古めかしいものになってしまって、なんでもアメリカ製をありがたることになったので、マーケティングにおける高度な「心理学の応用」についても、アメリカ人のやり方をコピーすることになった。

困ったことに、経済学も、じっさいは「アメリカ経済」の研究・分析のことになって、日本経済には役立たない。
これがまた、日本における資本主義きらいという素地と反応して、アンチ資本主義が跋扈するので、アメリカ型の経済学が通用しないのである。

日本人なら義務教育でぜったいに習う、明治初期の失敗事例、「武士の商法」は、当時だれもがしっていた、「あきんど:商人」の常識を、武士という上から目線で客に接して真逆をやって失敗したという話になっている。

これも一種の、「革命賛歌」で、時代に対応しようにも対応できない、「石頭」を嗤って、政商であろうがなんであろうが、身分の低い商人を持ち上げたのである。

仕えた幕府も藩もなくなったので、禄が得られなくなった武士には、公務員になるか帰農して農民になるか、あるいは商人になるしか選択はない。
それで、急遽、刀を算盤に持ち替えた、という話になっているけれど、『武士の家計簿』(2010年)のごとく、武士たちはとっくに刀を算盤に持ち替えていた。

 

わたしは、むしろ、武士の商法とは、「武士に二言はない」ことで、あまりにも「律儀」だったことが、禍してしまったとかんがえている。
いってみれば、詐欺師同然の一部商人たちから、食い物にされてしまったのではないのか?

なんだか、いまの「コラボ問題」のような。
もちろん、都とかの役人が騙されているというよりも、「共犯」の様相はあるけれど。

その武士たちは、名誉(たとえば、「家名」)を最大級に重んじていたから、あえてヨーロッパ文化のことばでいえば、「ノブレス・オブリージュ」という常識があった。

それがまた、「決闘」になったのである。
別に、「果たし合い」とか、不良少年用語では、「タイマン」という。

1889年(明治22年)に制定された、「決闘罪ニ関スル件」で、わが国では禁止されて現在に至っている。

つまり、この法律が改正も廃止もされていない。
法律(条文)とは、社会における最低限のルールにすぎないので、あんがいとふつうに守らないから、法律が残っている、ともいえる。

子供という動物は、この意味で「原始的」だから、子供社会の方では、決闘はふつうにあった。

そこでは、「正々堂々と勝負する」という武士道に起因するDNAが発揮されて、親の出番も否定されていた。
「子供の喧嘩に親が出る」ことは、子供社会のタブーだったのである。

大のおとながやった決闘で、有名なのは、宮本武蔵と佐々木小次郎の、「巌流島の決闘」とか、『忠臣蔵』のサブストーリーにある、「高田馬場の決闘」がすぐに思い出される。

これを、「野蛮」という一言でかたづけると、「名誉」が霞む。
そのくせ、「名誉欲」は衰えることをしらない、厄介なことになった。

それが、「理性主義」なのである。
しかしながら、その理性が、ウクライナをダシに使った「戦争」を招くのだから、いまは、歴史上でもっとも野蛮な時代に生きている。

岸田政権がこの戦争に加担するのも、この野蛮のなせる技なのである。

その岸田総裁を全面に出した、自民党のポスターには、「決断と実行」と大書してある。
わたしとしては、こんなキャッチコピーをよくも思いついたものだと、その厚顔無恥ぶりに驚くばかりなのである。

けれども、キャッチフレーズが先に決まっていて、誰だかの写真が後だったのかもしれない。
要は、党組織として、トップは誰でもおなじだという意味だ。

そんな状態だから、もはや、決断と実行されたら、国民は困るのである。

お願いだから、なにもしないで欲しい。
経済政策も、福祉政策も、政策と名がつくものは、とにかくなにもしないで欲しいのである。

日本国を、内部から、あるいは、根底から腐らせている、腐敗菌が自民党と公明党なのではなく、これらの「タネ」はとっくに溶けて、すでに周辺に「心理的」大繁殖してしているのだ。

もちろん、すでに腐った部分は、大胆に切除して廃棄しないといけない。

ならば、廃棄と消毒を同時にしないといけないのだけれども、それが国内にないから、アメリカ共和党トランプ派頼みとなっている。

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