かゆいところに手が届かない

新製品を世に問う、ということの意味がどんどん「重く」なって、コケてはいけないために、とうとう新製品がめったにでない国になってきた。
それで、なんだか挑戦的なアイデアの製品は、中国製ばかりになって、我々の生活を助けてくれている。

おそらく、中国社会は最低でも3分割されている。
共産党と、政府、それとこれらが制御できない意味での「民間」だ。
アナログで人員をたっぷり使って、この意味の「民間」を制御しようとした「ソ連」は、そのコストが軍事費を超えて自滅した。

なんだかよくわからないけれど、「中国人を豊かにしたら自由主義になる」というキャンペーン(じつは「プロパガンダ」)が、半世紀の蓄積を経て、気がついたら「制御」のためのコストがやたら安くなってしまって、不自由(奴隷)化の方が「効率的」ということになってきた。

「効率的」という概念は、気分のことではなくて計算できる。
投下資本(=資源)に対して、アウトプットの方が大きければ大きいほど「効率的」だと、誰が計算してもなればいえるからである。

このブログでいう、「世界経済フォーラム」メンバーの富豪たちとは、「経営者として大成功した起業オーナー」ともいえるので、「効率的」という概念が、大好物なのである。

それで、人民を監視して余計なことをやらせないことのコストが少ないことに気がついたら、がぜん「共産主義・全体主義」をやりたくなった、という合理性がみられるのである。

つまりこれは、自由主義経済が達成するはずの、「自動調整機能(アダム・スミスがいった「神の手」)」よりも、ずっと魅力的になったのだから、まさに「反経済学」という「ダークサイド」状態に陥ったのである。

90年代からこれまでに、学者の研究予算も、「効率的」というふれ込みで政府が握るように法改正した。
これが、全世界の自由経済圏で実施されたため、たとえば従来からの経済学者が、ぜんぜん声をあげなくなったし、コロナにおける科学者たちの沈黙もこれである。

下手に逆らうと、研究費を削られるばかりか、「大学」から追われるかもしれない。
これは、学者にとって「永久失業」を意味するので、「反経済学」をいわずとも、黙っている方が「おりこう」なのだ。

それで、「あがった」名誉教授たちしか、ご意見を発信しなくなったのである。

しかして、こないだの中共大会における人事の結果だけから判断すれば、圧倒的な不自由をやると決めたも同然なので、上述した意味での「民間」は、きっと驚くほどのスピードで「縮小」するにちがいない。

ならば、まわりまわって、我々の生活も不自由になるのである。

松下電器が成功したのは、二股コンセントの大ヒットだったことは、もはや伝説だけど、伝説にしたのは松下電器自体が、二股コンセントを作らなくなったからだ。

共産主義的「効率的」が大好物の、わが国「経済産業省」は、とうとう白熱電球の生産を禁止して、LEDを作れと業界に命じた。

何度も書くが、株主でもなんでもないこの「単なる」行政機関が、どうして民間企業になにを作るかを命じるのか?も、その法的権限がどこにあるのか?も、わたしにはわからない。

さいきんの子供の目が悪くなるのは、勉強机のライトが紫外線波長が強いLEDのせいだとおもうが、これをしらない親が多いし、眼科医もいわない。
なるべく、「白熱電球」の目に優しい光源が望ましいが、将来ある人間の子供の目より、地球環境が優先だという「理屈」には、とっくに「屁」がついている。

もはや「国産」の白熱電球は売っていない、というお粗末な生活を強いられている。

ならば、ハイテクの典型である、ノート・パソコンの電源はどうか?
新製品は、パワーデリバリー規格の充電器と、USBタイプC(じつはこれも複雑な規格である)のケーブルとで充電できるようになってきている。

しかし、もはやパソコンの性能がよくなりすぎて、高性能を誇る新品でなくとも、ネットサーフィンや、ワープロ作業のレベルなら、企業のリース落ち中古でも十分な性能である。

すると、まだ専用電源のものもあって、外出先でも充電しながら使いたい、といった場合には「荷物」になるのである。
ところが、今度は「充電器」が大出力かつ小型・軽量化の進歩をしているから、DCコネクタさえあれば、大きくて重くかさばる専用電源はいらない。

なんとも悩ましいのが、メーカーごとに「DCコネクタ」の形状規格がちがうから、ピッタリあったものでないといけないが、これをみつけて購入すれば、グッと快適な「モバイル環境」になるのだ。

さてそれで、新製品のモバイル・ノートでもいまだにDCコネクタを専用電源アダプターでつなぐものがあって、なおかつ、USBタイプCからも充電できるという、両刀遣い的「過渡期」の製品がある。

逆に、専用電源がなくて、USBタイプCだけからの充電としている製品もあるけれど、今度はUSBタイプCの接続口が2カ所しかない端末もある。
すると、「ハブ」を別途購入しないと、拡張性がないという意地悪な状態になるのである。

ゆえに、貴重なUSBからではなくて、DCコネクタに小型充電器から電源供給したくなるというものだ。
ところがどっこい、これには「トリガー・ケーブル」というものが必要になる。

このケーブルのUSBタイプCの側の接続口には、電流と電圧調整のためのチップが組み込まれている。
それで、充電器側に欲しい電気の情報を提供(命令)して、いわば無理やり、DCコネクタにPC本体にとって適した電気を供給させるのである。

この、チップが、充電したいパソコンのDCコネクタ規格と合致していないと、充電できないから、ただDCコネクタの形状が合致しているだけではいけないし、過電流ともなればパソコン本体が危険な状態になる。

そんなわけで、自分のパソコンに合致した「トリガー・ケーブル」が世の中に「ない」ことが、検索に2日もかけてたどり着いたのである。
なんという「不効率」。

なんでもかんでも、売れそうなら中国で作ってきたのに、もうやらないかもしれない。
ならば、日本のメーカーは?と、期待はつのるばかりなのだけど。

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