クルクルパーの日銀

28日、円が1日で3円も下がって、1ドル=125円をつけた。
これには、日銀が「指し値介入」したという。
つまり、円安をもっともっとと日銀が仕向けているのだ。

経済企画庁の「文豪」と呼ばれた、原田泰氏が、日銀政策委員になって、経済学者出身の岩田規久男副総裁とコンビを組んでいたけれど、「退任後」の言動は、日銀組織における「経済オンチ」の曝露である。

日銀は、経済学を無視できるほど、経済の専門家はいない、と。

それに、プロパガンダの達人である城山三郎すら、日銀の体質を「御殿女中」としつこく書いたように、つまり、面白おかしく伝わる「江戸城大奥」の人間模様をもって表現された、浅はかなる嫉妬の世界が、そのまま現状もおなじと言っている。

男女のちがいを認めずに、「おなじ」だというひとたちは横にして、女の嫉妬と男の嫉妬を比べると、その陰湿さで女の比ではないのが、男のそれだ。

たとえば、「大奥」では、リンチが行われていた。
「水攻め」からなにから、ときには相手を死に至らしめることもあったそうな。

しかしながら、企業組織内で行われる、男の嫉妬からのリンチは、こんなものではない。
それは、「社会的抹殺」という、読んで字のごとくの「陰湿さ」で、いわゆる「窓際」に置くのである。

そしてそれが、一生つづく。

むかしなら、まだ「定年退職」ができた。
いまは、「再雇用」がだんだん義務化されてきて、それが、「定年延長」から、ほんとうの「終身雇用」になりつつある。
しかし、定年後の悠々自適なんて絵に描いた餅なので、70歳を過ぎても、会社にしがみつかないと生活できない。

しかも、年収にして半分になるのは、「楽な仕事」になるからではない。

これはもう、「奴隷制」なのである。
では、どうして「こうなった」かといえば、「公」に疑問なく依存したからである。
それが、「公的年金」という、とっくに破たんした制度をいう。

公的年金の「掛金」は、民間の年金保険の「掛金」とちがって、「積立金ではない」けれど、この「積立金ではない」ことが、いまだに「ドヤ顔」でいえるほど、知らないひとがたくさんいるのだ。

ではどうやって年金を受けとっているのかといえば、いま「掛金」を払っている分をもらっている。
だから、「掛金」を払うひとが増えれば、受けとるひとは安泰だ。
ところがとっくに、「掛金」を払うひとよりもらうひとの方が増えた。

かんたんにいえば、「公的年金」とは、「公的ネズミ講」なのである。

だから、もうすぐ「そんなものは払わない」という若いひとたちが出てきたら、完全に破たんする。
しかし、そうはならないのは、上からの命令に「従順」な「人間教育」をしているからと、年金を払わなくても「税金」を獲られるからである。

わが国は、「五公五民」の江戸時代にカムバックした。
でも、財務省のポチの自民党政権は、これから「六公四民」の大重税国家(公的社会保障と公共料金やガソリン代などの国民負担)を目指すにちがいない。

江戸時代なら、とっくに一揆が起きる「重税」だけど、死を決して民を救おうとする指導者が先に絶えた。
高貴なる真の「エリート」を、駆逐し絶滅させたのが偏差値教育の成果だ。

さてそれで、わが国は世界で唯一「デフレ」の状態にある国だ。
デフレとは、モノと通貨の価値が均衡しないで、通貨の価値が高くなる状態をいう。
だから、お札をたくさん印刷して、モノと均衡させようと「金融緩和」するのである。

ところが、わが国では、「平成」からずっと金融緩和している。
日銀が刷ったお札は確実に増えているのに、国民の財布や口座のお金は減っている。

ならば、どこに行ったのか?

日銀が刷ったお札を大量に持っているのが、日銀なのだ。
民間の銀行やらにお金を渡しても、「借り手がいない」ということになっている。

お金を集めて起業したかったり、事業を拡大したいひとが「いない」のか?といえば、ぜんぜんそんなことはない。
むしろ、「クラウドファンディング」は、真っ盛りなのだ。

つまり、「貸し方」のルールが古すぎるから、銀行からお金を借りるひとがいなくなったのである。
銀行業は「貸金業」だから、商売あがったりで困って、預金者に金利を払う資金稼ぎに、「国債」を大量に購入した。

そしたら、それを日銀が強制買い上げして、「当座預金」にされてしまった。
当座預金には利子がつかないので、銀行経営がにっちもさっちもいかなくなった。

経済を人間の身体に置き換えたら、「おカネ」は「血液」に相当する。
その「血の巡り」を、日銀が停滞させているのだ。
そして、貸金業のルールを決めるのが「頭取」ではなくなって、「金融庁」になったから、銀行は経営者が経営を決める組織ではなくなった。

すると、銀行員はなんのために出世競争をするのかといえば、経営責任を取らないのに高額の役員報酬が得られる、というインセンティブしかない。
しかし、究極的には「儲からない」ので、将来もずっと高額な報酬を得るとは限らない。

なのでやっぱり、「御殿女中」化するメカニズムが働く。
こうして、日銀の体質が、民間銀行に「伝染する」のである。

それでもって、「デフレ脱却」できれば、もうなんでもいい。
もはや「最長」となる任期の長さだけでは、黒田総裁のメンツは保てない。
しからば、石油が高騰していて円安にすれば「インフレ」になるにちがいない、と、中学生でもわかることをやっている。

しかしその本音とは、外国人投資家に日本を安く買わせてあげる、という「大バーゲンセール」なのだ。

もはや、クルクルパーとしか言いようがない。
「戦後レジーム」という、自民党体制の疲弊がここにも出ている。

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