ドイツ「信号機」内閣の発足

歴史を振り返ると、時代の節目にいるときの人々は、それが時代の節目だとは気づいていない。
やっぱり、終わってから、気づくものなのである。

しかし、遠い外国に住んでいても、今回のドイツの「連立内閣」ほど、「節操のないズルズル」は、滅多にみることはできない「組合せ」なので、よくぞ「政策協定書」をまとめたものだと感心する。
時間がかかっても、その「生真面目ぶり」は、やっぱりドイツ人たちだ。

9月28日の選挙後のメルケル政権は、「暫定内閣」という状態になっていた。

2ヶ月以上かかって、ようやく「組閣」する、新政権は、得票1位の社会民主党(SPD:かつてはブラントとシュミット首相を輩出した)と、第三党の「緑の党」、それに、第四党の「自由民主党(FDP)」による、三党連立となる。

ドイツ社会民主党は、1863年に結党された、由緒ある「修正主義の政党」で、1919年には「ワイマール憲法」の制定を主導した。
この政党が、マルクス主義放棄を宣言して「国民政党」に脱皮したのは、1959年のことだから、「戦後」になってのことだった。

風前の灯火にある、我が日本の「社民党」は、マルクス主義を捨ててはいないし、そっくり入れかわった「立憲民主党」は、日本共産党と提携して総選挙を経て惨敗したら、今度は共産党と手を切るというひとが「新党首」になった。

でも、選挙前から「政調会長」という立場だったので、これからマルクス主義同士の壮絶な内輪もめがはじまるにちがいない。
この意味で、ドイツ社会民主党とは確実に、60年以上「遅れ」ている。

そうはいっても、「保守」のはずのキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)で、16年もの長期政権を牽引したのは、旧東ドイツ出身の社会主義者、メルケル氏だったから、我が国自民党政権と同様に、しっかり「左傾化」して、困ったことにSPDとの差が見えなくなった。

それが、この「混沌」の原因だろう。

連立第二勢力の「緑の党」は、当初CDUと右派、それにSPDを加えた、「保守系」が内部勢力として仕切っていたけど、70年代に過激行動で行き詰まった「左派」の入党を許したら、とうとう「乗っ取られる」という経緯がある。

環境問題専門の政党だから、いまは「左」だけど、結党からの経緯は「意外」なのである。
それでもって、ドイツの左派は、アメリカや日本とちがって「筋を通す」こともやるから、いまの「緑の党」は、「人権擁護」にも熱心なのだ。

連立第三勢力の「自由民主党(FDP)」は、我が国のしゃっきりしない自由民主党とは違って、筋金入りでバリバリの「自由主義」政党である。
こちらは、メルケル内閣でも連立を組んでいたけど、CDUの左傾化を警戒した国民が、それなりに保険をかけていたことが理由らしい。

なお、近年、金銭疑惑から2013年選挙で惨敗し、国会の全議席を失う、という驚きの事態になって、党首以下執行部が全員辞任し、党勢を「刷新した」ことで、今年の選挙で92議席を確保しての「政権復帰」になっている。

こう言う点で、日本人はドイツ人に頭があがらない。

なお、詳しいことは不明だが、同じドイツ語圏の「オーストリア学派(ウィーン学派)」の伝統的自由主義経済思想の影響を受けていると思われる。
いったい、この党の「シンクタンク」には、どんな専門家が名を連ねて「政策提言」をしているのだろうか?

以上から、この連立政権の「守備範囲」は、やたらと広い、ともいえるし、何でもあり、ともいえる。
だからどんな「政権協定書」を書き上げたのか?興味が尽きない。
残念ながら、いまのマスコミに期待はできないから、日本語で知ることは困難だろう。

まったくもって、ベルリンにいるはずの「特派員」は何をやっているのか?
いや、東京の編集部が取材しても無視するのだろう。
「魚は頭から腐る」ということわざは、そのまま「組織は頭から腐る」になって、『会社は頭から腐る』が出た。

すでに、事前情報としては、閣僚の一部が「新聞人事」で発表されている。
首班は、もちろんSPDの党首、オラフ・シュルツ氏。
外務大臣に、緑の党の党首、アンナレーナ・ベアボック氏。
財務大臣に、FDUの党首、クリスティアン・リントナー氏。

さてそれで、このお三方の政党のシンボルカラーが、赤、緑、黄色なので、「信号機内閣」とあだ名が付いた。
ドイツ経済界は、「CDU/CSU」に失望したとして、新政権に期待を表名している。

一方で、お三方の鼻息は「ある分野」でたいへん荒い。

「人権問題」を前面に、中国への懸念を表明したばかりか、香港や台湾といった琴線に触れまくっているのだ。
とくに、台湾の国際機関加盟を支持する、という発言は、台湾側も歓迎するのは当然で、大陸側の苛立ちがつのっている。

中国依存のメルケル政権からの、わかりやすい「脱却」ということだろうけど、ドイツ軍と日本の提携も視野にあると明言したから、いよいよ我が国も二度目の「NATO]に加盟を誘われるのか?

一度目は、来日したメルケル氏から誘われた安倍氏が、「丁重にお断りした」という腰抜けぶりを自慢する体たらくだけど、今度は「ハッキリ回答せよ」と、「緑の党」の女性党首がハッキリものをいえない首相に迫るかもしれない。

そういえば、我が国にも、防衛大臣経験者の「緑のおばさん」がいたけれど、アラブ好きのこのひとは、「リビアのカダフィ大佐」が病的に好きだった「緑色」をパクっただけだろうけど。

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