ランド研究所の「負け方の研究」

「ランド研究所」は、世界的に有名な「戦争研究所」だけれども、どうしてここが、戦争の研究を専門にしているかといえば、アメリカ国防総省の研究所だからである。

わが国には、防衛省のなかに、「防衛研究所」があるのと似ているけれど、単独行動が出来る独立国のアメリカの戦争研究と、アメリカの属国の研究とは、残念ながら、比較しようがない。

もちろん、クラウゼビッツがいったように、戦争とは外交の延長線上にあるものだから、戦争を研究することの範囲には、外交戦略も含まれる。
わが国に、一応、戦争という概念を禁止した憲法がある、といわれているから、大っぴらに戦争が外交の延長線上にあるとはいえない。

だから、話し合いで全てを解決せよ、という至上命令になって、外交の最終手段が外交なのである。

こんな理屈は、人類史上の屁理屈であるけれど、屁理屈を屁理屈だというと、政治的に抹殺されることになっているので、なにもいわないことが利口な政治家の生きる道となった。

もちろん、まともな憲法学者なら、日本国憲法第13条が第9条よりもずっと上位の概念にあたるといいたくとも、やっぱり、これをいうと、東大が仕切る学会から抹殺されるのでぜったいにいえない。
一般国民にではなく、こうしたエリート層のひとたちが、完璧な言論統制下にあるのだ。

ちなみに、日本国憲法の「大黒柱」といえる、第13条の条文は以下のとおり。
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。

欧米人には、外交も戦争のうちだから、なんのための外交か?となれば、自国有利、という結論につきる。
それは、自国民の、「自由及び幸福の追求」を国家が守ろうとするからだ。

この世界の常識を、自国不利にして成功としたのが、戦後の日本という「不思議国家」なのであった。
この「伝統」は根強くて、自国産業を衰退させるだけに役立つ、SDGsやらを、政府は血まなこになってでも推進するのは、日本の滅亡こそが、アメリカの大戦略にあるからだ。

こうして、政府栄えて国民滅ぶ、という、珍奇な事態になろうとしているのに、だれも憲法違反だともいわないのである。

そんなわけだから、アメリカの戦略とは、絶対的有利をいかにアメリカ合衆国「だけ」にもたらすか?にある。
この「絶対的有利」とは、アメリカ人による世界支配をいう。
なにがあっても、アメリカは世界に君臨しつづける、という覚悟が、そのまま文字面になるのが、「ランド研究所の研究成果」なのだ。

さてそれで、今回発表(1月27日)された論文のタイトルは、『Avoiding a Long War:長期戦争の回避』だ。
上記リンクをクリックするか、英文の方で検索されたし。

ここで指す戦争とは、もちろん、ウクライナ戦争のことだ。

そこで、4つの提言をたてているけど。後半の二つには目を疑う。
なぜなら、それこそ、プーチン氏の主張していること、つまり、ロシアのウクライナ侵攻目的そのものだからである。

この提言と、プーチン氏の言い分とを書くと、
・ウクライナの中立に関する保証(NATO東方拡大の停止と同義)
・ロシアに対する制裁緩和(プーチン氏は「制裁解除」)

すなわち、とうとう、「けんかはやめて」が出てきたけれど、それがまた、米軍の頭脳からだったということになる。

これより前の1月20日、マイク・ミリー統合参謀本部議長が、今年中にウクライナからロシア軍を追い出すのは困難と発言してニュースになった。
つまるところ、ウクライナ軍有利という西側メディア(プロパガンダ機関)は、ぜんぶウソで、軍事的にロシアの有利は変わらないことを、アメリカ軍のトップが示したのである。

はたして、ミリー氏の発言を受けて、このランド研究所のレポートには、つづけてあからさまに、「支配のために」とはじめて、「敵の中国に集中せよ」と書いている。
それでもって、「損切りした方がいい」とも。

投資の「いろは」にある、サンクコスト:逸失原価が飛び出した。

どうしてこれが、「いろは」なのか?
それは、あくまでキャッシュ:現金でかんがえないといけないことを教えているからである。

投資行動の判断において、ついやってしまうのが、「いまやめたらこれまでの投資がパーになる」と、過去のキャッシュの流出をあきらめきれずに、追い銭して、もっと大きな損をする教訓をいう。
それで、過去に出たキャッシュは、もう二度と帰らない、逸失原価なのだとかんがえ直すことで、投資のポジションを再構築するのである。

ウクライナを捨てて、中国との決戦に備えよ、という発想は、軍産複合体からしたら、儲けは十分に得ただろうから、これ以上欲張るなという意味にもとれる。
それよりも、グローバリズムの江沢民派(彼らの仲間)を一掃して、権力を固めようとするナショナリストの習政権が、よほど軍産複合体には目障りだということだ。

すると、「戦後」はどういうことになるのか?といえば、いきなり、「米・ロの蜜月」がはじまるかもしれない。
すでに、何を察知したのかしらないが、当の中国メディアという、これまた正真正銘のプロパガンダ機関が、「狂人」だと決めつけた反プーチンキャンペーンを開始した。

ただし、EUのヨーロッパは、アメリカ離れをするのか?どうなのか?

はしごを外された、フォン・デア・ライエンは、生き残れるか?ということになって、ロシアが敵国認定したままでの、エネルギー危機は、恒常化するかもしれない。
しかし、それがまた、EU解体を目論むプーチン氏からしたら、大成功になる可能性がある。

統一通貨ユーロを維持できなくなるからだ。

コウモリ君のわが国は、股裂きになるどころか、米・中・露による分断統治になるかもしれない、建国以来2000年にして最大の危機が「いま」なのである。

北海道はロシア、本州はフォッサマグナの西側(富士川と糸魚川)で分断され、東日本がアメリカ、その他は中国になって、大阪は、「日本維新の会」がいう通り、西日本人民共和国の「大阪都」になるのだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください