気球の移動コース

空を見あげて、ひとびとが叫ぶ。

「見ろ!あれはなんだ?」
「鳥か?」
「飛行機か?」
「スーパーマンだ!」

この気球を見あげたひとたちが、大騒ぎしているのは、まったく『スーパーマン』の登場と一緒なのだ。
「発見」されたのは、アメリカ・モンタナ州上空だという。

ここはどこだ?
モンタナ州は、北西部にあって、北はカナダと接していて、西となりはアイダホ州で、そのまた西がワシントン州、そして、太平洋となっている。

面積は、全米で4番目に大きく、陸地面積ではわが国とほぼおなじ、ただし人口は約100万人でしかなく、全米で少ない方から7番目、人口密度も少ない方から3番目という、「過疎地」である。

この気球がどんな機能をもっていたのか?は、今後米軍が分析して発表されることになる。

中国側が、あっさりと、「気象観測用でコントロール不能になったわが国のもの」と認めたので、その用途はどうであれ、まずは中国のものだということは確定した。

しかしながら、その用途がほんとうに「気象観測用」かどうかは、わかっていないし、信じるものがいないのも、ふだんからの言動でそうなっている。

それに、「ニュースピーク」という、「反語」を多用するのも、全体主義者の常套手段だから、「コントロール不能」ということは、コントロール「可能」な飛行体の意味となる。

上空18,300mの高度を飛行しているものが、地上から見えるのは、それが大型バス3台分ほどの大きさだからという。
なかなか撃墜できないのは、残骸が地上に落下しての被害もあるけど、もしや気球内部に、パンデミックの素があるやもしれぬ、という懸念まで指摘された。

それでも、最新ニュースは戦闘機による「撃墜」を伝えたけれど、どういうわけか?それは大西洋上でのことで、残骸は海上に落ちた、という。

東南に向かっていたはずなのに、どうして「瞬間」移動したのか?
中国はぜんぶが怪しいが、アメリカ軍も怪しい。

怪しさでいえば、有名なのが、「エリア51」である。
イチローのことではなくて、ネバダ州レイチェルにある、アメリカ空軍基地の周辺立ち入り禁止エリアのことで、「ロズウェル事件」の舞台でもある。

この基地での「最新鋭航空機の飛行実験」が、「最高機密」のために、アメリカ国民もその実態を知ることはできないし、ここに勤務していたひとたちにも、厳しい機密保持が義務づけられている。

それで、ナショナルジオグラフィックが、特集番組を製作したけど、やっぱり実態は不明です、という内容になっている。

ちなみに、人口が少ないモンタナ州には、米軍の核ミサイル基地がある。
当然に、最高機密扱いだから、偶然にもこの地域の上空を通過しようとした気球が、なにをしようとしたかを憶測して、それが「観測記事」になっている。

予定されていたブリンケン国務長官の、中国初訪問が中止になって、たぶん、共産党の上層部は慌てているのだろうけど、しれっとこんな「のぞき見」を一方で仕込んでいたことは、だれが責任者だったのか?

それよりも、アメリカ側は、中共にとって厄介な、「議会」が緊張してしまった。
共和党はもちろん、民主党の議員も、対中強硬発言をはじめている。
バイデン政権を御しやすいとみたことの、反動が起きたけど、どこまで織り込み済みだったのか?

なお、同時期、オースティン国防長官はフィリピン訪問中で、南シナ海防衛力強化のための協定をした。

権威主義的な組織にどっぷりと浸かっていると、ときたま、相手もおなじ価値観だと勘違いして、初歩的なミスを犯すものだ。
それでも、権威主義的な組織のトップは、ぜったいに自身のミスを認めないのは、認めた途端に権力闘争が勃発する緊張が常にあるからだ。

さてそれで、この「事件」は、カナダも揺るがしている。

モンタナ州に侵入する「前」には、カナダ領内を通過しているのである。
それで、カナダ軍と政府は、なにをやっていたか?の厳しい追及になっているのだ。

地球という惑星は、自転をしている。
それがまた、結構な「高速」だ。
なにしろ、24時間で1周する。

赤道の周囲は、約4万㎞だから、時速で1,700㎞、秒速で約460m。
音速は、秒速340mだから、なんと、マッハ1.35となる。
わが国はだいたい北緯35度に位置しているので、これで換算すると、時速1374㎞だ。
秒速で約382mとなって、マッハ1.2となる。

地上のわれわれがふつうに生活できるのは、自転速度にあわせて動いているからだけど、上空ではついていけない抵抗が、ジェット気流になって、それを「偏西風」という。
だから、気球の運行がコントロール可能でも、かならず偏西風の影響を加味しないといけない。

すると、中国のどこかから飛ばされた気球は、日本上空を通過しないと、カナダに到達しない。

これを、自衛隊や在日米軍、あるいは日本政府は、どうしていたのか?
東北地方を通過して、仙台で騒ぎになったり、九州でも同様の「事件」があったけど、「県」の公式見解は「不明(UFO扱い)」で、国は無反応であった。

国が、県に「不明」とする、反応をしたとかんがえられるけど、領空の防衛に穴が開いていることでいいのか?どうなのか?が、大騒ぎにならないのである。

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