可愛いパンダと醜い人たち

パンダ、ちゃんといえば、ジャイアント・パンダという珍しい動物がいるこを知ったのは、もう半世紀も前のことになる。
でも、突然この動物が沸いてくるわけもないから、ずっと昔から存在していたことは確かだ。

「地図」というものも、むかしはよく書き換わった。
けっこう頻繁に、国境が変わったからである。
もちろん、つい最近まで「国」でなかった地域がたくさんあったから、国が増えれば国境も変わる。

近代を知っているひとたちが、近代を知らないひとたちを「征服」すれば、たちまちに国境を設けないと、別の近代を知っているひとたちとの争いになることも知っているからである。
こうやって、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸、それにユーラシア大陸で、新しい「国」が林立した。

テレビの架空の物語で、怪しい国の国名でよく使われたのが、「ローデシア」だった。
ところが、アフリカに本物の怪しい国、「ローデシア」があったから、急に使われなくなったのも、「情報化」の効果である。

ほんとうは国境があるのに、なんだかわからなくなっているのが、いわゆる「中国」という国で、いつの間にかに、歴史的な国境線の万里の長城を、地図で呑み込んで、ついでにその他の地域も呑み込んだ。
最後の王朝だという、「清国」の国境は、いまよりずっと内側にあるし、この王朝の支配民族の名前「満州族」を指した故郷の「満州」は、やっぱり知らない間に、「中国東北部」という放送用語となっている。

最後の皇帝が、日本の関東軍にかつがれて、「満州国皇帝」になったのは、ふるさとの国に帰っただけという理屈がある。
これを、「屁理屈」だという論があるけれど、どこが「屁」なのかよくわからない。

くわえて、当時の国連(「国際連盟」)から派遣された、リットン調査団の、『リットン報告書』に反発して、わが国は国際連盟をかっこよく脱退したけど、そもそも提唱者のアメリカが加盟しない国連だから、報告書を執筆した「欧州列強」の曖昧な書き方が一層不気味なのである。

腹黒い列強に、はめられたともいえるのであるけれど、なんだか恋人が痴話喧嘩をして、一方がその場を振り向かずに去るような、無邪気とも純粋ともとれるのが、わが国の「浅い」ところなのだろう。
感情的なその場、はいいけれど、後悔しきりということになる。

「力」の空白地帯には、かならず力が入りこむ。
パワーポリティクスの常識が、多民族のいる場所では、よけいに如実になるのである。

そんなわけで、パンダである。
この動物がどこに棲息しているのか?を地図でみると、なかなかの場所になる。
いわゆる、少数民族の場所にあたるから、すなおに「中国」といえるのか?

それでもって、飛行機にのせて外国へ送り込むことができるので、あんがい「便利」な動物になっている。
その愛くるしさは、人類共通の脳内処理で、「可愛い」という感情を得るからである。

供給できる数に対して、需要が大きければ、価格が上昇する。
けれども、たいへん賢いひとたちが、これを、「販売」でも、もちろん「贈与」するのでもなく、「レンタル」することにした。
「リース」でないのは、途中解約が「できる」からだ。

しかし、解約の通告は、貸した側の一方的権利なので、ここにも貸出を受ける側の、「足元をみる」という需要の高さに対する、価格以外の有利な条件も付加することに成功している。

こうして、まごうことなき、「政治利用」が行われている。

料金は、年間で、一頭あたりおとなが1億円で、貸出先で面倒をみて産まれた子どもにも、一頭あたり4千万円となっている。
これを、生体展示する動物園が負担するのか、どこのだれが負担するのかはあるけれど、きっちり請求が毎年やってくる。

さいきんは、アメリカとオーストラリアで、それぞれ契約期限が終了したけど、次がないのは、関係悪化による提供拒否がはじまっているからである。
こうして、パンダ・ファンたちをがっかりさせて、それが自国政府の「まずい手」によると責任転嫁させるプロパガンダをやるのだ。

みごとな仕掛けが、用意されている。
これを、「パンダ・外交」という。
まったくもって、パンダにはなんの罪もない。
あるのは、邪悪なひとたちがいるということだ。

わが国には、三カ所の動物園でレンタルしている。
東京・神戸・和歌山だ。
東京は北京市、神戸は天津市、和歌山は済南市が姉妹都市になっている。
パンダの生息地、四川省とは関係がない。

さては、いつまで姉妹都市をこれらの「市」と続けるのか?
これも、人間側の話である。

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