欺瞞の「戦犯」

戦争犯罪人、略して「戦犯」なる「ことば」と「罪」が、戦後にうまれた。

人間の思考は、ことばによってなされるから、日本人ならふつうは国語たる「日本語」、アメリカ人ならふつうは国語たる「英語(米語)」をもって、思考する。

もし、本人が理解できない外国語をもって「思考している」というひとがいたら、周辺のひとたちはこのひとを「病気」だと認識するはずである。

だから、その言語の特性(文法)が、その言語を常用するひとたちの思考を支配している。
アラビア語を話して、イスラム教を信仰していれば、「アラブ人」という定義があるけど、日本にやってきて禁断の豚肉(とくに「トンカツ」)を食して、イスラム教から密かに離脱するひともいる。

すると、本人はアラビア語を話すひと「だけ」になるから、もう「アラブ人」ではない。
けれども、やっぱり日本人とはちがう思考をする。
ところが、長く日本に住みついて、日本語を習得したり、子どもや孫が日本語「しか」はなさなくなると、たちまち「日本人」になるのである。

「日本人より日本人らしい外国人」を、結構みかけるのは、日本文化ではなくて、日本語の威力なのであって、後から日本文化がやってくる。
すると、いつの間にか、日本文化の意味が体感的に理解できて、そこに「どハマり」することで形成されるのである。

日本人にも難しくなった、日本語特有の「敬語」の混乱は、尊敬したり謙譲したりする「場」を失ったためだとおもわれる。
この「場」の雰囲気が、尊敬語の使用を決めるのであって、暗記するものではない。

外国人には、もともとこうした「場」が自国文化に存在しないから、当初は日本語習得の「壁」になる。
しかし、「場の意味」を理解すると、おどろくほど日本語が上達する。

それが「茶道」や「武道」での「礼」なのだ。
さいきんではアニメによって、この理解を助けているから、まんがの文化的重要度はたかい。

ここまでは、日本自慢になるけれど、あんがいと古代からの伝統世界のことである。
そして、近代の自慢は、いきなり「産業国家」になってしまうのだ。
ここを、外国人は突いてくる。

木造の大寺院の借景が、ガラス張りの高層ビル。
そして、その高層ビル建築の「薄さ」や「安易さ」と、伝統世界とのギャップを、不思議がって楽しんでいる。

そうしてみると、戦後すぐにやってきた「戦犯」という概念の、「薄さ」やら「安易さ」やらに、日本人も気づかないといけない。
かえって、日本人らしい外国人の方が、よほど「気にしない」という正しさがあるのは、日本以外の「自国」にある「欺瞞」をしっているからだろう。

第一に、わが国に法的な意味の戦犯は「存在しない」のだ。
独立後、すぐに招集された国会で、全会一致をもって「戦犯の名誉回復」が決議されている。
ちなみに、この決議の発議は、日本社会党の女性議員であった。

第二に、「べき」が二つある。
占領軍による、「日本国憲法」の無効と、新憲法制定の「べき」。
わが国から無理矢理切り離された、サハリン(樺太)、朝鮮、台湾の軍人軍属に対する、国内法適用の「べき」である。

第三に、「戦犯」を糾弾する報道の欺瞞だ。
法治国家として、法的根拠のない「戦犯報道」は、深刻な誤解を国民に刷り込むことになる。
つまり、「占領」による欺瞞の意識的継続は、「従属の継続」を意味する。

簡単にいえば、独立国家として筋を通す「柱」がいまだに「ない」、のである。

だから、防衛問題が「経費負担の損得勘定(感情)」になる。
奪われた竹島や北方領土、それに拉致被害者は無視されて、なぜか尖閣だけは「本気で守る」という。

この島々の住人を強制退避させて無人島にしたのは、アメリカ軍の意向であった。
「射撃訓練場」として、陸地をボコボコにするからである。
なので、この島々の管理責任はいまでもアメリカ軍にある。

これが、政権交代してもアメリカ政府が「守る」という、法的根拠なのだ。
大陸の大国が、おいそれと「上陸しない」のは、アメリカ軍の「射撃訓練の標的」とされることをおそれるからである。

そんな下地のなか、元日本人でBC級戦犯で最後の生き残りだった、韓国人の李鶴来(イ・ハンネ)氏が96歳で亡くなったと報道された。
彼は、日本政府に「名誉回復と補償・謝罪」を求めていたが、1999年に最高裁は棄却した。

ここにも日本政府と韓国政府、それぞれの「欺瞞」がある。
・「元日本人」を切り捨てる日本政府と裁判所に、国会も動かない。

・日本はなんでも悪いという「だけ」の韓国政府。

当事者には、まことに気の毒なことである。

昨年8月、ロイターが伝えたところによると、オーストラリア国立大学のロバート・クリッブ教授は「自国民にだけ恩給を支給し、日本軍の一部だった朝鮮人に支給しなかったのは」不公平だと指摘している、と。

ここにも、むかしの日本人らしい外国人がいるのかもしれない。

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