民間企業の核融合発電

「人工太陽」といわれて、「核分裂」を利用した「原子力」とは別格の「夢の技術」を、「核融合」という。

実際に太陽も多くの恒星も、水素の原子核が融合してヘリウムを作ることでの「燃焼」をしている。
最も軽くて小さい原子の水素は、地球のような小さな惑星の重力では留めることができない。

なので、水素ガスを使う水素自動車とかは、容器の壁から水素が漏れるけど、そのまま宇宙空間にまで飛んで行って、二度と地球に戻ることはなく、宇宙にさ迷うことになる。

核融合の「燃焼」とは、石炭や石油を燃やすのとはちがう。
融合するときに原子核から飛び出す、中性子のエネルギーが強烈なのである。
その余波が、太陽風という放射線となって地球にも飛んでくる。

地磁気がつくる、「バンアレン帯」によってこれらが直接地上に届かないように保護しているから、我々は地上で生活ができるのだし、日光浴もできる。

ついでにいえば、太陽風の放射線が雲にあたって、「雨」の核をつくらないと雨すら降らない。
雨がなければ、植物が枯れるので、食糧もなくなる。
まことに、太陽がなければ生命は存在できないのである。

そんなわけで、「人工太陽」の技術は、国際協力という名の下に、各国政府が拠出した「巨大研究施設」を建設して、実験から実用へのステップを踏んできている。

わが国が進める実験施設も、最新のものに600億円を超える建設費を投じているし、EUもこれに3分の1の200億円以上を拠出している。
ところが、これが実験中に壊れてしまった。
それで、大幅に予算超過しながら、数年間をかけての「修理」が行われている。

よって、この間は、なにも研究は進んでいない。

そこで、はたと気がついたことは、「旧型」の施設を取り壊してしまったことだった。
壊れたところをどうしていたのか?が設計図だけでなく、運用としてもどうしていたかがわからなくなっていたからである。

どうしてわからなくなったかといえば、「旧型」で実験をしていた研究者たちが、とっくに定年退職しているし、物故されてもいるのだ。
つまり、「実際の運転ノウハウ」が、消失したという「間抜けな話」になっている。

これの意味するところは、研究者の研究課題ということではなくて、施設の維持管理という、研究者の「補助」となる現場技術者たちの「ノウハウ」のことだといえる。
つまり、一種の「職人技」だ。

前に書いた「ジェットフォイル」の話が思い出される。
川崎重工が、4半世紀ぶりに建造したジェットフォイルの建造目的は、「ノウハウの維持」だったのである。

だから、この「新造船」に、新しい技術は導入されていない。
むしろ、4半世紀経っても「新しい」のである。
しかしながら、それゆえの独自技術が使われていて、以前に建造した経験がある従業員の定年・引退を放置しては、会社としての建造技術が失われてしまうリスクが問題になったのだった。

これは、「民間企業」ゆえの「損得勘定」が働いた事例だ。
発注がないのに建造するのは、一見どうかしている。
しかし、ひとたび発注を受けて、これを受注したくとも、「造れない」となったら、元の木阿弥になってしまう。

中小企業のカリスマといわれた、岡野工業社長の岡野雅行氏は、「設計図通りに作れたら倒産する会社はない」と言っていた。
図面に描けても、その通り指定された材料で指定された強度を維持して製品にすることの難しさを一言で表現した発言である。

デジタルで図面を描くのは簡単になったけど、それを試作品からアナログで作らないといけない。
「試行錯誤」が当たり前の世界なのだ。

岡野工業が作った「画期」はたくさんあるけど、携帯電話やスマホなどの電池が小型化したのも岡野雅行氏の発明だ。
医療注射における「痛くない針」だって、岡野雅行氏の試行錯誤が作りだした。

依頼者には図面はあるよ。
だけどさ、それをどうやって作るのか?が誰にもわからないんだよ。
1個じゃないよ、大量生産だよ。それを考えだすのさ。
俺が。

まず、うちにやって来るのは「大企業」だよ。
大企業にはできないんだよ。
だってさ、責任取らないといけないでしょ。
それが嫌で、うちに持ち込むんだよ。

この話がそのまま当てはまるのが、国がやる研究開発なのである。

YS11も、三菱ジェットも、国が関与してダメになった。
カナダのボンバルディア・エアロスペースも、ブラジルのエンブラエル も、民営化されてから世界市場を席巻している。
なぜに民営化されたかは、国営で経営破たんしたからだ。

そんなわけで、核融合発電も、アメリカの民間企業が参入して、「もしや?」の成功を目指している。
国家が投じる規模の投資額を、市場からしっかり調達もしているのである。

ところで、全部をユニット化してしまう、超小型原子炉も実用化のめどがついてきた。
2007年に起業した、アメリカ、ニュースケール・パワー社は昨年8月に米国での「設計承認」を取得して、建設計画が進行している。

これらが、「脱炭素」の欺瞞に汚れるのは、技術の問題ではなく「文系」の「偽善」によるし、政府補助金という魔の手が伸びたら、やっぱりダメになるだろう。

ならば、わが国の企業は、アメリカに本社を移転すべきなのではないか?
それが、「人類社会」の役に立つ。

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