観光「客」の衰退で「新からゆきさん」

変化が激しい時代ほど、「歴史」が重要視されるものだ。

「有史以来」といっても、えらく長い時間を経ているから、人間の営みの積み重ねで出来上がっている「歴史」には、ある程度の「行動パターン」とその「結果」をしることができるからである。

今を生きている人間には、わずかな未来でも「一寸先は闇」で、今この瞬間から数秒先だって、なにが起きるかわかない。
ましてや、ビジネスにおける「将来」とか「未来」が、かんがえたとおりにならないのは、むしろ「当然」なのである。

政府は「間違うもの」というのも、じつは歴史が教えてくれる。

しかし、わが国は、総じて政府が「まとも」だったために、それと、圧倒的な貧しき「農業国」だったために、「飢饉」以外で生活ができなくなったのは、ときたまある「戦乱」ぐらいだった。

しかし、その「戦乱」に兵となったのも農民だったし、少なくとも「戦場予定地」から一般人は立ち入りを禁止されたし、なるべく耕作地は戦場にもしなかった。

もし耕作地を戦場にして荒らしたら、勝った側でも被害が大きく「損」になるからである。

この意味でも、「脱・農業化」して、工業化以上の産業形態になった「いま」の価値観で、むかしを振り返っても間違えるのである。
なので、「大河ドラマ」は、間違いだらけで洗脳させられるから、観ない方が身のため脳のためなのである。

「歴史」には、「歴史解釈」がつきまとって、それがまた、「先進」と「後進」とに分類したがる傾向がある。
「文明論」とか、「比較文化論」になると、「先進」とか「後進」の議論が、専門家の研究目的を超えてより一層「民族の誇り」にもなるのである。

それを「いけない」ことにしたので、わが国は自国の歴史が「政治(=ポリコレ)」になった。
つまるところ、民族の誇りとなるようなことは「教えない」という方針になって、たいしたことなかったとか、ひどかったことにしたのである。

もちろん、これを決めたのはGHQだったし、その命に従った文部省であり、日教組だった。
日教組も、GHQによってつくられた組織だという「歴史」がある。

昭和の時代までならば、つまり、「昭和天皇が在命中」は、文部省はあたかも日教組と争っている風情があったけれども、歴史の生き証人たる昭和天皇が崩御あそばしたら、たちまちにしてこれ見よがしの「転向」をしたのだった。

やらせたのは、国民が選んでいる自民党だ。

それで、平成も終わりになって、「観光立国」なる、絵空事を「国家の成長戦略」に据えた。
まさに、世の終わりなのであった。

日本がバブルの絶頂だったとき、アメリカ人の所得を超える勢いだった。
それがいま、アメリカの成長とわが国の衰退とで、アメリカ人の所得の1/3程度になってしまった。

しかして、そのアメリカが「覇権国」から転落しそうな状態にあるとは、けっして一部の反米論者による「希望的観測」ではない。
2022年中間選挙における、かつてない「攻防」は、もう無理かもしれないところにまで追い込まれたことで起きているのだ。

ゆえに、共和党がかかげるスローガンが、「MAGA:Make America Great Again」なのである。
なぜに「Again」なのか?がキーなのだ。

現実をみれば、たとえば、ニューヨークにおけるちゃんとしたレストランのウェイトレスの月給は、いま日本円にして70万円程度になる。
これを、「高い」と思うから、日本の衰退がわかるのだ。
もちろん、ニューヨークで生活するには「カツカツ」の収入だ。

ならば、ちゃんとした生活をニューヨークで送るには、いかほどの収入がひつようなのか?といえば、日本円にして1500~2000万円程度となる。
日本における年収500万円の3倍だから、上述の1/3と合致する。

それでは、日本でおなじ職業ならば、いったいいくらか?
年収で200万円~250万円だ。
すると、「観光立国」を目指すと、日本人の年収が下がるのである。

ニューヨークのひとたちは、レストランを利用しても、そこで働いてはいない。

このことは、「観光客」が歴史上で「誕生した」ことの背景を思い出させるのである。
欧米では、産業革命後の「労働者」の誕生があって初めて観光客となった。
日本では、江戸の爛熟期があって、旅が庶民に普及したのだった。

つまり、「労働者」が「労働」している「だけ」の社会に、「観光客」は存在できない。
「余暇」とは、「余貨」がないと「余暇」にならないからだ。

なので、日本人観光客は、自動的に衰退する。
これが、「インバウンド依存」の正体なのである。
しかしもっと重要で恐ろしくも深刻なことが起き始めた。

観光にかかわるサービス業には、良くも悪くも「複雑な人生」とか「家庭環境」のひとたちを「吸収」してきた機能があった。
観光業の衰退とは、この機能の衰退も意味する。
それが、若い女性の「海外出稼ぎ」なのである。

あたかも、海外旅行へ向かう観光客を装ってはいるが、じつは「新からゆきさん」だ。

政府の巧言令色に騙されてはいけない。

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