間接金融と直接金融は逆?

やたら、NISA(Nippon Individual Savings Account)をどうか?という勧誘のメールがあって、消去するのが面倒くさい。

わたしは、ポリシーとしてなるだけ政府のお節介を排除したいので、こんなものに興味がない。

本稿では、こういう、優遇策が大好きなひとにはそぐわない話をするので、はじめにおことわりしておく。

なお、外国人に日本投資(直接投資だか間接投資だか不明)を促した、現首相を出している、与党も。わたしは支持者ではない。
念のためつけ加えれば、直接投資を促すのならまだしも、である。

さて、テーマを含め、冒頭から、「直接」と「間接」という言葉が飛び交っている。
ややこしいのは、似ていて異なるものだからである。

英国経済がいよいよ困ったことになった、70年代、すっかり保守思想が薄まった「保守党」が、一種のやけくそで選んだのが、マーガレット・サッチャー女史であったと記憶している。

なにせ彼女の行政経験は、どちらかというと格の低い、教育相だけ、というありさまだった。

どうして、教育相・教育省の格が低いのか?は、まず、「教育の重要性が低い」と勘違いしてはいけない。
欧米の「自由主義」のはじまりは、王権による宗教弾圧に、「信教の自由」を勝ち取ったことにある。

教育の自由が、この信教の自由と密着関係にあるので、政府がする「教育行政」の格が低くなるのは、教育の自由に、政府がどうしても邪魔になるからである。
つまり、政府は教育に関しては、「控えめに」となっているのがキリスト教社会のヨーロッパでの常識なのだ。

この点、わが国の教育行政は、真逆で、完全支配者にしゃしゃり出ている。

小学校から大学まで、ぜんぶを支配下に置いたので、抜け駆けができるのは、塾と予備校だけになった。

ただし、校名に「塾」がある、慶應義塾もとっくに文科省の軍門に屈して、私学助成金がないと生きていけないでいる。
こうして、わが国の「象牙の塔」から、直接的な政府批判が消え去って、「名誉教授」しか反抗できなくなったのである。

そんなサッチャー女史が、三顧の礼で迎えたのが、当時の日産自動車工場の誘致で、それが、日産の直接投資だったのである。
進出する企業がカネを出すかわりに、迎える側はなんらかの優遇措置を約束するわけだ。

では、間接投資とはなにか?といえば、外国企業の株式とか債券を購入して、経営のための資金を投資することをさすのだ。

すると、国民に対して、銀行に預金する習慣を改めて、企業の株式や債券を購入しましょう!というのは、直接投資なのか?間接投資なのか?ということになって、上の例からしたら、「間接投資」である。

一方で、経済の教科書に、「間接金融」と「直接金融」という用語がある。

企業が経営資金を銀行から借りるのを、「間接金融」といって、株式市場から調達するのを「直接金融」と呼んでいる。

企業側のバランスシート(貸借対照表)には、どちらであろうが、「右側」にまずは記帳されて、株式なら「資本の部」に、銀行からの借入とか社債なら、「負債の部」になる。

会計士の話なら、これでおしまいだ。

しかし、日本政府は、NISAを国民に推奨している。
これはあたかも、戦時国債を半強制で購入させて、紙切れとさせたこととか、「円貨」までも切り替えて、紙クズに変えたのとどこがちがうのか?という目線の話になる。

一般人はふつう、詳しく金融の世界をしらない。

この意味で、銀行も株屋の証券会社も、相手が個人なら、ほとんどが素人ばかりが顧客となる構造だ。
なので、当局が国民にかわって、これら企業の監査(業務監査も含む)をするのはまだ合理的だった。

しかし、箸の上げ下げに介入するごとく、国が銀行と証券会社の行動を規制したので、自由な投資ができないのもまた事実なのである。
不正が行われて、投資家が損をするリスクに重心を置くのはわかるけど、どこまでやるのか?についての裁量が役人にある。

これに、日銀の金融緩和という、大量の国債引き受けで、円が政府に渡されて、完全消費者たる政府はこれをつかって民間におカネを渡すことになっている。

しかし、予算が消化できないまでに、使い切れないという異変が起きている。

ならば、予算の方がおかしかったのでは?という疑問にならないのは、予算を審議して決めるのが国会だからで、要は、国会が責任を逃れるために、余った予算について余らせた役人を責めるのである。

もちろん、予算を審議して決める、衆議院予算委員会で、およそ予算のことが審議されることはない、という、おかしな伝統が、役人天国をつくりだしたのである。

そんなわけで、政府が、国民に貯蓄から投資へ、と甘言をのたまうのは、わたしには、悪魔の誘惑にしか見えないのである。

これを、「霊感」というのだろうか?

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