“British” と “exit”から生まれた「Brexit」は、2020年12月31日午後11時に実行された。
25日のイタリア総選挙で、「戦後初の右派政権」が誕生することになったけど、これを日本のマスコミは「ポピュリズム政権」と書きたてた。
まことに、読者を誤誘導する、「新聞」の名がすたる、もっといえば「企業の社会的責任」を放棄したものだった。
今後の予定は、10月13日に首相指名のための議会が招集されることになっている。
この3日後の16日には、北京で「全人代」が開かれる。
習氏の動向については、10月1日の「国慶節」が注目されている。
さて、イタリア人はどうして「転向」したのか?
欧州中央銀行(European Central Bank:ECB )総裁として、ユーロの防衛に成功した実績のあるドラギ氏を首相にしたけど、イタリア経済の衰退を止めることができなかった。
しかし、バイデン・アメリカ民主党とEU(委員会)が煽った「ウクライナ危機」は、「エネルギー危機」の大ブーメランとなって帰ってきた。
すでに夏からイタリア在住の日本人主婦が、SNSを通じて、「水道光熱費の高騰ぶり」を発信していた。
月間で20万円。
これに、イギリス在住の日本人が呼応して、「こっちもおなじ」と発信しているのである。
そこまでではない日本からは、なんだか別世界のようだけど、それは、「内外価格差」での「吸収」をしているからである。
しかし、とっくに為替の影響(円安)も含まれる「企業物価指数」は、9%程度にまでなっていて、我慢の限界を超えれば一気に「消費物価」に影響すること必至である。
身近な例では、マクドナルドが今年二度目の値上げを発表した。
購買力平価での為替相場で、有名なのが「ハンバーガー」と「ビッグマック」での比較だけど、妙に日本の方が「安い」ようである。
7月のロサンゼルスでのビッグマックは、単品で4.99ドル。
円相場は135円/1ドルだったから、約674円換算となる。
しかし、日本だと、390円だ。
ただし、日米の所得格差は3倍程度にもなっているので、アメリカ人のなかでの価値観でいえば、やっぱり「安い食べ物」になるのである。
この水道光熱費は、イタリアの「夏」でのことだから、冬場を想像するだけで「えらいこと」である。
ちなみに、欧州でもっとも厳しい状態になった「自然派」のドイツでは、20年間で電気代が10倍になっている。
これは、年率にして、毎年12%ずつの値上げに相当する。
同様の値上げで、テスラ車の満充電費が燃料車を超えたことでデモになったのは、ノルウェーでのことであると書いた。
しかし、何度も指摘しているように、EUという組織は、「EU官僚」が仕切る、「官僚独裁体制」なのである。
これは、設立時の事情だった、「日・米に対抗する」という目的から採用された「(合理的帰結としての)制度」だ。
もちろん、手本はわが国の「鉄板・官僚体制」だった。
それがアメリカに伝播して「SES」になって、ヨーロッパでは「EU(委員会)」になった。
ゆえに、道義的責任は「日本国民」にある、といえる。
EUは、民主主義の国家が連合してできている、のではなくて、民主主義を否定した、選挙とは無縁の官僚たちによって運営されている。
なので、「主権在民」を旨とする「共和制」でもない。
その最大の「主権者」が、EU委員長なのである。
つまり、「EU委員長」とは、選挙で選ばれる民主国家群を統治する「君主」なのである。
これを金銭面で支えるのが、欧州中央銀行だ。
加盟各国の中央銀行を、統治、している。
なお、ダミーとして、「EU大統領」とか「EU議会」があるけれど、制度上はまったくの「お飾り」で、なんの権限もないから注意を要する。
日本のマスコミは、EU議会の決議!とか書くが、EU委員長の権限を制御する機能はなく、あくまでも「ダミー」だ。
そんなわけで、今回のイタリア総選挙期間中に、EU委員長は、EUにそぐわないひとたちが立候補している、と指摘し、なお、もし当選したらEUは制裁すると発言したのである。
イタリアでは、「選挙妨害」だと認識されたけど、その「制裁」とは、ずっとハンガリーにやっている手法を指すはずだ。
すなわち、「EU交付金」の大幅削減である。
これがまた、ハンガリー人を「反EU」にさせている。
なお、「ハンガリー」とは、かつて「オーストリア=ハンガリー二重帝国」を構成した、ヨーロッパの名門国家で、「神聖ローマ帝国」にもつながるから、EUなる得体の知れない組織に対して胡散臭いと思う、EU官僚にすればやたら面倒なひとたちなのである。
「EU交付金」も、わが国の「地方交付税交付金」のコピーだ。
各国(国民)が負担するEUへの加盟費を、EU官僚の自由自在で使途を決めるやり方は共産主義とおなじだ。
ちなみに、今回第一党になった政党を、例によって「極右」としていて、ムッソリーニの「ファシスト党」を思い出させるキャンペーンをやっている。
しかし、ムッソリーニは、イタリア社会党左派(当時はイタリア共産党より左)から除名された、最強の「超極左」なのである。
まぁ、極右と極左はグルッと回っておなじではあるけれど。
新政権は早速にも、ドラギ氏をして失敗した「経済」をどうするかが問われることになって、ギリシャ危機で連鎖した「金融の脆弱性」が、再び蒸し返すことになる可能性が高い。
すると、現状では欧州中央銀行に頼るしかないから、EU委員長はきっとこれを妨害するにちがいない。
すると、欧州はふたたび「通貨危機」に見舞われる。
イタリアが「リラ」を復活できないのは、ギリシャが「ドラクマ」を復活できないのとおなじだが、これこそがハイエクが指摘した域内統一通貨「ユーロ」の脆弱性なのであって、イタリア経済の脆弱性の根本もここにある。
もともとが別々の国だったから、域内貿易の決済でつかわれた各国通貨の相場が調整機能を果たしていたけど、ユーロはこれを否定した。
ゆえに、経済力で勝るドイツの一人勝ちが、ドイツ人を「自然派」にした。
一方で、ギリシャやイタリア、スペインは、ドイツの奴隷になったのである。
しかし、世界経済フォーラム:ダボス会議は、こうした「破滅」を望んでいるのである。
これをきっかけに、「グレート・リセット」をやって、世界奴隷化を達成するのがその究極の目的だからである。
イタリアは、EUから脱出しようにも、いったん入った「ヤクザ組織」から抜けられないように、また、脱出を図る他国への見せしめも兼ねて、酷い目にあうだろう。
ならば、どうして「ブレグジット」はできたのか?
それは、英国がEUよりも深くて酷い「ヤクザ組織」だからである。
ならば、本場イタリア・マフィアはどうなのか?
おそらく、とっくにEUにからめ捕られているにちがいない。
いまやイタリア・マフィアが世界市場を仕切っている、「トマトの缶詰」こそ、新疆ウイグル自治区での奴隷労働の賜になったけど、イタリアで二次加工すれば「MADE in ITALY」になるのが「EU法」なのである。
なお、二次加工にもアフリカや東ヨーロッパあるいは中東からの移民が、奴隷労働させられている。
さては、「州」によるイタリア分離・独立か?
まさか、ロシアの「飛び地」を希望するかも。