いまさらの「AWS」

あのアマゾンが提供している、クラウドサービスのことである。
「Amazon Web Services:AWS」。
事業開始は、2006年3月14日なので、もう16年半も経っているから、「いまさら」なのである。

アマゾンといえば、巨大な「eコマース」事業で、いわゆる「ネット通販」の巨人だと思いがちだけど、会社の収益としてみれば、なんと6割ほどがAWSからのものになっている。

つまり、通販事業で儲かってはいない。

そもそもが、eコマース事業で必須の「サーバー」を、他人に貸し出すという発想から生まれた事業だというから、そのアイデアの源泉は、「自分たちだったらこうして欲しい」を「商品化」したともいえる。

企業内での内輪な需要をしっていたことが、爆発的な外部からの支持になり、契約獲得に結びついた、ともいえる。
ここが、単なるサーバーの「賃貸」とはちがったので、既存のレンタルサーバー事業者と直接的な競合をしないで済んだのだ。

それで、わが国に「上陸」して、サーバーを設置したのが2011年のことだった。
だから、国内サービスとして11年の実績がある。

アマゾンのことだから、世界に目を戻すと、AWS同様のサービスにおけるシェアは、すでに45%を超えている。
ちなみに、2位はマイクロソフト(21%)、3位グーグル(18%)となっている。

なので、この3社で世界シェアの84%を「独占」しているのである。

「ネット社会」とふつうに口にしているけど、それは、この3社なくして成りたたない「ふつう」なのである。
この意味で、格差社会のおおもとでもある。

いま、稼げる職業スキルとして、「AWSエンジニア」が知る人ぞ知るになってきているのは、このシェアの確保と契約拡大がまだまだ続くと予想されているからだ。

その「資格制度」は、「AWS認定資格」と呼ばれている。
もちろん、日本政府が関わる国家資格ではなくて、アマゾンが定めている「民間資格」である。

しかし、とっくに国家を超越した存在になった、グローバル企業の代表がアマゾンだから、その価値も国家を超えている。
日本政府の役人は、国家資格制度すら「利権」にしてきたけれど、もう、このような民間資格に太刀打ちすらかんがえるのもムダになった。

じっさいに、AWSの資格もたくさんあって、「初級」から「上級」まで用意されているものの、途中には専門性が問われる「分岐」もあるから、直線上に並んではいない。

これは上述したように、AWSが単なるサーバー・レンタル・サービスではないからだ。
むしろ、これを土台に、開発環境やソフトウェアを提供していることに「強み」がある。

これらの「サービス・メニュー」は、170種類を超えているので、顧客への案内係としての資格保持者が欠かせないのである。
つまり、顧客への知識提供の「標準化」のために必要な資格になっていて、案内が終われば「開発段階」にも資格保持者がいるという「段構え」になっている。

当然だが、提供するサービスのアップデートも重要なサービスだから、年間で2000回ものアップデート(機能追加)が行われている。
それで、資格保持者もこれに対応しないといけないのだ。

しかも、その機能追加は、利用顧客からの直接的な要望に基づく、ということも注意がひつようで、提供側の都合ではない。
さらにこのことが、規模のメリットを出すので「値下げ」にもなって、それがまたシェア拡大の原動力という好循環になっている。

さてそれで、わたしのような個人がAWSを利用するのはどういうことなのか?をいえば、それは、あまたあるなかでの、「仮想デスクトップ」サービスに魅力があるからだ。

企業ならば、リモートワークの実施に重要な意味をもつ。

これは、自分のパソコン(ipadでも)をネットでAWSに接続すれば、たとえば、「ウィンドウズ10」とか「11」の仮想デスクトップを使えるようになるのである。

これらは、サーバー上にあるから、自分のパソコン画面に出ている表示は、そのパソコンの表示ではない。
すると、これは、パソコンメーカーに壊滅的な打撃を与えるサービスなのである。

つまり、通信速度や安定性さえ確保できたら、自分のパソコンのスペックは、ほとんど意味をなさないからである。
どんなに遅い、あるいはちんけなCPUやらメモリーのパソコンでも、AWSサービスが提供するスペックのままになるからである。

もちろん、OSも関係ない。
アップルのMacOSだろうが、ipadOSだろうが、AWSのデスクトップ環境(例えばウインドウズ)に依存するからである。

ハイスペックな高級機とか、1万円台のゴミPCとかという、これまでの機種による値段差もなにもかも、吹き飛ばすことになる。

M1Macが発売されて、ウインドウズの仮想デスクトップを使えるようにするソフトも進化して、このソフト導入時にウィンドウズも正規に購入できることになったけど、AWSなら関係ない。

会社なら、社員の自宅PCを使っても、そのPCにファイルをダウンロードさせる訳でもないから、リモートワークにおける会社から見た安全性は確保できるのである。

そうやって、アマゾンに使い方をしられても、一度使ったら元には戻れないから、拡大の一方通行になっているのだろう。
最初は無料というのも、人生の長さではたいしたことではない。

むしろ、アマゾンは、マイクロソフトやアップルも敵に回すことを承知でサービス展開しているのである。

ここに、グローバル全体主義のアキレス腱がある。

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