現地時間、4月24日(月曜日)朝に番組を打ち切ると放送されて、おおくの視聴者だけでなく、政界からなにからに激震がはしった。
いまや、アメリカでも唯一の保守系大手メディア「FOXニュース」の、最大の視聴者数を誇った、看板キャスターの突然の降板だったからである。
なにせ、その前の週末の放送では、いつものように「また来週お会いしましょう」と番組を締めくくっていたのである。
これから3週間が経過した9日(現地時間)、ふたつの発表を行った。
・FOXニュースを詐欺と契約違反で提訴すること
・Twitterで「新ニュース」を流すこと
FOXニュースとの契約については、前に「契約破棄で正義を得る」と題して少し触れた。
しかしながら、タッカー・カールソン氏が雇った、ハリウッドで有名な敏腕弁護士氏の論は、先に契約を破棄したのは、FOXニュースの側だと主張して、ゆえに、この時点で本契約は廃棄され、タッカー・カールソン氏が他局との新規契約を阻止するとある条項も無効だとしている。
番組中断の事実と、タッカー・カールソン氏の「解雇」がいわれていたけれど、どうやら、雇用契約自体は継続していて、2025年までとあるのは本当のようだ。
この間、FOXニュースは、他局への移籍を阻止すべく、年俸にして2000万ドルをタッカー・カールソン氏に支払うことになっている。
次の大統領選挙は、2024年なので、タッカー・カールソン氏にとっては、これらの報道が任せられたのだと解釈できる契約期間設定だけれども、いまとなっては、FOXニュース側の意図は、彼を黙らせるのに都合のよい、「口止め料」を支払う契約になっていたということだ。
ちなみに、「大統領選挙」に注目が集まるのは当然としても、民主主義の権化、アメリカの選挙制度では、同時に驚くほどの範囲での選挙(投票)が行われる。
日本でいえば、衆参同時選挙に統一地方選挙選挙も一緒にやるようなものだけど、「公職」なら選挙で選ぶのがアメリカの公職選挙だから、日本なら役人が出世して独占する役職までが、選挙の対象になるのである。
なので、生活に身近な役所の選挙(市町村長に副市長とか)も、市町村議会も、地方司法長官も保安官(警察署長)も、地方検事も、教育委員長も、もちろん多くの州知事や州務長官も、大統領選挙と同時に選ぶのである。
タッカー・カールソン氏であろうが誰であろうが、提訴することは自由なので、「結果」については、裁判での決定を待たないとなんともいえない。
しかして、ニューヨーク地裁がトランプ氏に下した、セクハラ損害賠償裁判での5百万ドルに及ぶ支払命令は、メチャクチャであった。
これも、現代の「魔女狩り」といえる、司法の武器化である。
詳細は、「カナダ人ニュース」さんが伝えてくれている。
あまりにもあんまりで、これが自分に対してだったらとしたら、まさに「この世は真っ暗闇」である。
アメリカも裁判所がおかしくなっているから、タッカー・カールソン氏の弁護士がどんなに理詰めをしても、わからないのである。
それで、Twitterにニュースを載せるとは、うまいかんがえである。
「他局への移籍」とはいえないからであるけれど、イーロン・マスク氏もコメントを出して、「タッカー・カールソン氏もふつうの利用者のひとり」だと念押ししている。
ただし、Twitterは今後、サブスクリプションを開始する計画も発表されていて、「課金制度」ができれば、タッカー・カールソン氏のチームにも収入源となることは確実なのである。
おとなと子供ちがいはなにか?を問えば、自分で自分の始末をつけることができるひとを、おとな、と定義すれば、タッカー・カールソン氏は、立派なおとなである。
対する、FOXニュースの無様が目立つのは、どんなに齢を重ねても、大人になりきれないこどもが権力を行使していられることの、気持ち悪さがあるからだ。
この気持ち悪さを感じることができるのも、おとなの証明になる。
本稿冒頭に書いたように、FOXニュースが、アメリカでも唯一の保守系大手メディアだと標榜していたことが、大ウソだったことがここまでバレたのは、隠しようがなくなるまで追いつめられたから、ともいえる。
この意味で、とっくに「左派メディア」を標榜した、他のぜんぶの大手メディアが、かえって正直にみえるものだ。
ひるがえって、わが国の大手メディアは、FOXニュースと似て異なる、「不偏不党」、「公正中立」という、もっと悪質な状態でいるので、おとなが離れるばかりか、もっと直接的快楽を求める子供からも見放されている。
ただし、子供のままのおとなにする、国家の方針は、あんがいと貫かれている。
そうやって、後始末ができないおとなが大量生産されているのである。
日本でも、タッカー・カールソン氏に期待があって、彼のニュースをサブスクでも観たいというむきがいるのは、小数派であれなんであれ、おとなのたしなみというものである。