じゃがいもパンケーキ

料理といえるのか?というほど単純なのだが,おいしいからつくってしまう.
必需品は,四面のチーズおろし器.もっとも粗めの面でじゃがいもを削る.
これがあんがい売っていない.
大根おろしのおろし金ばかりが目につく.

たまたまポーランドに出かけたので,スーパーの雑貨コーナーで購入した.
日本円で300円くらいだった.輸入したら千円ほどになるのだろう.
よく切れる.
なべをかき回す木製のヘラは,一本70円だった.

そういえば,どこかの道の駅で木のしゃもじを買った.
水に濡らすと,ごはんがくっつかない.
寿命がみじかいエンボス加工されたプラスチックのしゃもじよりよほど便利だ.
進化しているのか退化しているのかわからないことがある.

ベルギーでは,「フリッツ」と呼ぶポテトフライ.
そのむかしアメリカで,フランス語をはなす人がつくっていたから「フレンチフライポテト」というようになったとの説がある.
ベルギーで,「フレンチフライポテト」といっても通じない.

そのベルギーの家庭の必需品が,「フリッツ揚器」で,雑貨コーナーにはかならずあるし,電気屋さんにも専用の電気器具として何種類かおいてあった.「専用」なのは,どうやら油の温度管理機能のようだ.日本だと「天ぷら専用」となるのだろうが,天ぷらは主食ではない.
北ヨーロッパの緯度は高すぎるから,糖質であるでんぷんは,じゃがいもからとるのがふつうなのだ.だから、「フリッツ揚器」は,日本の「炊飯器」に匹敵する.

そもそもじゃがいもは南米が原産だから,コロンブス以降にヨーロッパにひろがる.
ルイ14世がベルギーを占領したのが原因で,ベルギーにじゃがいもが普及するから,ヨーロッパにつたわってもじゃがいもはちなまぐさい.

プロイセンのフリードリヒ大王といえば,大バッハが晩年の傑作「音楽の捧げ物」をまさに献げたあいてだが,この大王は「じゃがいも大王」とも呼ばれている.
じゃがいもの栽培を強制したからである.それで,ロシアまでじゃがいもの栽培が伝播する.

その「プロイセン」は,じつは広大で,東西にわけたあとの「東プロイセン」は.いまのポーランドとロシアの飛び地「カリーニングラード州」まで,バルト三国のリトアニアに接している.
ポーランドの「ポー」は,「ポーラ」というそうで本来は「ポーラ・ランド」.その意味は「原っぱ」とか「野っ原」であるから,邦訳するとポーランドは「原っぱ国」である.

首都ワルシャワの「文化科学宮殿」というスターリン時代の建物の30階が展望台になっているから,周辺をぐるりとみわたせば,その「平ぶり」が確認できる.
日本人の目線で,ここまで山がない景色はなかなかない.360°のパノラマが,地平線なのである.

それではと,鉄道の旅でもすれば,家や集落がなければ小麦かじゃがいも畑が延々とつづく.
ときどき森にはいるが,ほとんど坂がない.
「森へ行きましょう」という歌はポーランド民謡だ.
深い森はかならず山の中,というのは,日本人の錯覚で,地面は真っ平らなのに森が深い.
だから,危険なのだ.迷ったら帰れない.
「ヘンゼルとグレーテル」や「赤頭巾ちゃん」にでてくる「森」が,どんなところかはじめてわかった.

ドイツ機械化部隊が蹂躙した,というはなしは,じゃがいも畑を戦車隊が通過したにちがいない.
しかし,ロケット砲がある現代では,戦車だけではあまりに無防備だろう.
かくれる場所がないからだ.
それでNATOは空軍力を強化していると納得する.

こんなことをぼんやりかんがえていると,じゃがいもパンケーキはできあがる.
じゃがいもを削って,塩コショウしてフライパンで焼けばいい.
すこしチーズを入れてみてもいいだろう.

ポーランドのレストランで,単品でじゃがいもパンケーキを注文するのは,日本の食堂なら「ごはん」を単品で注文するようなものだ.
なるほど,これをたっぷり毎日食べていたら,あんな体型になるのは不思議ではない.

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