ふつうの電卓考

ソロバンをならったひとをのぞくと,ふだんの計算には電卓をつかう.
その電卓も,スマホのアプリになったから,ほとんど計算しないひとはスマホですますことができる.
もっとも,買いものでの比較計算とか,アプリによっては本物の電卓より便利なものもある.

「実務」では,PCの表計算ソフトがある.
こうしてみると,電卓はスマホとPCに挟まれたせまい領域にいきているようだ.

さて,そのせまい領域にかおを突っ込むことにしよう.
ここで,電卓の種類を確認する.
ふつうの電卓と関数電卓がある.
ふつうの電卓とは,四則演算の機能にしぼったもので,事務での計算につかう.
大きさもさまざまで,カード型から卓上型まであるし,プリント機能がついているものもある.

ところが,このふつうの電卓にも二種類あって,算式どおりのものと加算(置数)式のものとがある.
また,√(ルート)キー付きのものとそうでないものに分類できるし,数字のキー配列,とくにゼロの位置とクリアキーの位置のちがいや,ゼロゼロキー(ゼロ二つ)があるもの,ゼロゼロゼロキー(ゼロ三つ)があるものと,バリエーションが豊富である.

わたしが不思議におもうのは,かつてあったコンパクトな加算(置数)式の電卓がいまは存在しないことである.あるのは,卓上型クラスのおおきさだけである.
なぜなのか?わからない.

20年以上まえに,職場で誕生日プレゼントとしていただいた電卓が,コンパクトな加算(置数)式の電卓で,さいわいいまも健在である.
これになれると,いまはこれしか売っていない算式どおりの電卓が不便で,ときにイライラすることがある.
それで,とっくに廃盤になったこの機種はどうなっているのかと調べたら,たまにネットオークションに出品されるらしい.最近終了したオークションの落札価格は,35,000円だった.

最近おなじメーカーが,超高級アルミ削り出しボディーの算式どおり電卓をだして話題になったが,そのお値段は30,000円だから,市場は廃盤の電卓によりたかい価値をつけている.
液晶テレビ事業で大失敗し,外国メーカーに買収された会社の電卓製品は,キー配列で「士業系」のひとたちに人気がある.
やはり不思議なことに,このメーカーも,コンパクトな加算(置数)式の電卓をつくっていない.

以上,ふたつのメーカーが,国内二大メーカーである.
算式どおりで比較しても,キーポジションのちがいは上述のとおりなのだが,じつは定数計算のキー操作がちがう.
わたしにとっては,コンパクトな加算(置数)式の電卓ではないので興味がうすい.

第三のメーカーとして,カメラで有名な会社が,コンパクトな加算(置数)式の電卓をだしていた.これは,「高級実務電卓」としての売りだしだったそうで,算式どおり式と加算(置数)式の選択スイッチ付きだった.しかし,これも不思議なことに,√(ルート)キーと+/-(サインチェンジ)キーがないのだ!
どうしてなのだろう.この二つのキーがなくて「実務電卓」といえるのか?しかも,すでに廃盤になっている.

コンパクトな加算(置数)式の電卓がないことは,生産性の低さの象徴かも知れないが,外国製の実務電卓をみる機会がほとんどないから,欧米先進諸国ではどうしているのか,さらに不思議である.
かれらは手がおおきいから,加算(置数)式の電卓が卓上型クラスであってもちょうどいいのだろうか?
しかし,それでは国内のネットオークションでの落札価格はどうなのだ?

まぁ,しつこく個人的要望をいえば,コンパクトな加算(置数)式の電卓を復活生産して欲しい,につきる.
わが家の優秀なコンパクトな加算(置数)式の電卓が不調になったら,とおもうと不安になってしまう.

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